音楽ナタリー Power Push - 焚吐

欠落から生まれた初めてのラブソング

スパイスがあってこそ輝く

──闇か光かといったら、これまで焚吐さんは闇の部分を表現することが多かったんだろうと思うんですね。でもこの歌では「愛というパーツひとつあるだけで 闇は晴れていく」と歌っている。闇をよくわかっているからこそ、そう歌えたんだろうなと思ったんですよ。

そうですね。「陰日向に咲く」という有名な小説がありますけど、やっぱり陰の中で日向は映えるし、日向の中で陰は映えると思っていて。「愛というパーツひとつあるだけで」というところだけ聴くと、“愛ってパーツなのか!?”とネガティブに捉えてしまう人もいるかもしれませんが、そういうスパイスみたいなものがあってこそ大きな愛という事象が輝くんじゃないかと思って。だからネガティブとポジティブをごちゃ混ぜにして作りました。

──「埃をかぶったままの 未来を もう一度探そうか」とも歌っていますが、「探そうぜ」ではなく「探そうか」と言ってるあたり、まだ完全には日向に出ていない感覚、行ったり来たりしている感覚があるのかなとも思ったんですが。

確かに未来を「もう一度」探そうかと言っている時点で、1回未来をなくしているということですからね。そういう裏返しもありつつ、結果的には一緒に探そうとするところに行き着く、そのポジティブさを表現できたらいいと思ってましたね。

──愛という1つの答えをもう見つけたというわけではなく、愛、または自分自身のアイデンティティといったものを今は探している最中であり、探そうと踏み出したこと自体に意味があるということなんでしょうね。それは「名探偵コナン」のテーマにも通じるところがあったりするんですかね。

焚吐

コナンくん自身、以前は高校生探偵として活躍していたけど、体だけ小学生に退行してしまったという欠落を持っていて。ヒロインの蘭ちゃんにも工藤新一という恋人が急にいなくなってしまったという欠落がある。でも、それまでのカップルの状態とはまったく違う形でふたりが再会して、そこから歯車が動き出すという。そういう意味で通じるところがあると思います。互いの欠落した部分が歯車のように合わさって動き始めたら、そこからすべてが肯定できるんじゃないか。そんな願いをこの曲に込めていて、だから歯車だとか秒針といった言葉を曲の中に入れてみたんです。

──なるほど。それから後半には「曖昧な言い訳など 何の役にも立たないだろ」という強烈な言い切りがあります。言い訳がいらなくなる次元までいってこそ、愛という実感も持てるということなんでしょうか。

やっぱり愛ってすごく大きなものだから。今まで強がって「愛なんていらない」だとか言ってたところもあったんですけど、それさえもかき消してしまうような愛を大学に入って知ったので、それをこの歌詞にしました。

踏み出してみることって大事なのかな

──焚吐さんにとって大学生活が始まったことがとても大きかったわけですね。

はい。中学と高校のときは、人と本気でぶつかるということがなかったんですよ。人との関係は自分にとって厄介なものだったから、それを増やさないようにしてたところもあったんですけど、やっぱり何か踏み出してみることって大事なのかなって大学に入ってから思うようになって。優しさに触れることのない時期もあったんですけど、きっとそれを渇望していたからこそ、今こういうちょっと幸せっぽい歌も書けるのかなと思うと、まあ結果オーライかと。

──歌詞のことばかり聞いてしまいましたが、この曲はまず何よりメロディがいいんですよね。どこか和風の旋律で、情緒もある。とてもメロディアスな曲だなと。

自分はわりと曲の中に言葉をたくさん詰め込むタイプなので、これまで歌詞ありきで考えて作ってきたところがあったんです。でもこの曲に関してはメロディ先行で、鼻歌っぽく弾き語りをしながら作りました。その際にどれだけキャッチーにできるかということも考えていたので、それが出たんじゃないかと思います。曲展開も王道ですし。

──いいメロディができたという手応えが強くあったのでは?

サビの頭の部分が出てきたときはうれしかったですね。

──もともとフォークソングが好きでよく聴いていたという話を前回されてましたけど、そういう影響も出ているんじゃないかと感じました。とはいえサウンドは打ち込みで、そのバランスもユニークだなと。

前作がギターロックだったので、今回は打ち込みっぽい音にしたいなと思っていて。もともと自分はフォークソングとVOCALOID曲を並行して聴いてきたので、サウンド的にはそういうところをイメージしてましたね。

2ndシングル「ふたりの秒針」 / 2015年5月4日発売 / Being
CD+DVD盤 / 1500円 / JBCZ-6045
名探偵コナン盤 [CD] / 1000円 / JBCZ-6046
CD収録曲
  1. ふたりの秒針
  2. てっぺん底辺
  3. ふたりの秒針(TVサイズ ※名探偵コナン盤のみ)
DVD収録内容
  • 「ふたりの秒針」ミュージックビデオ
無料ファンクラブ「リアルタイム・カプセル」会員限定
焚吐 無料招待ワンマンライブ
2016年7月21日(木)
東京都 Zirco Tokyo
OPEN 18:30 / START 19:00

※焚吐無料ファンクラブ「リアルタイム・カプセル」(http://takuto-official.com/member/)にて応募受付中。
応募期間:2016年5月2日(月)12:00~2016年5月23日(月)11:59

2nd Single「ふたりの秒針」発売記念
アコースティックミニライブ&サイン会
2016年5月4日(水・祝)
東京都 タワーレコード池袋店 6Fイベントスペース
START 15:00
2016年5月4日(水・祝)
東京都 タワーレコード渋谷店 4Fイベントスペース
START 20:30
2016年5月5日(木・祝)
愛知県 タワーレコード名古屋パルコ店
パルコ西館1Fイベントスペース
START 14:00
2016年5月7日(土)
大阪府 あべのHoop 1Fオープンエアプラザ
START 14:00
2016年5月8日(日)
東京都 東京ソラマチ
イーストヤード5階 スペース634
START 13:00
※イベント「名探偵コナン in 東京ソラマチ」内で出演。
2016年5月8日(日)
神奈川県 タワーレコード横浜ビブレ店
START 18:00
2016年5月10日(火)
北海道 タワーレコード札幌ピヴォ店
START 18:30
2016年5月11日(水)
宮城県 HMV仙台 E BeanS店
START 19:00
2016年5月14日(土)
神奈川県 小田原ダイナシティ
ウエスト1Fキャニオンステージ
[1回目] START 13:00
[2回目] START 15:00
2016年5月15日(日)
東京都 ニコニコ本社 B2Fイベントスペース
START 18:00
※りゅうせーをゲストに迎えたトークイベントも開催。
2016年5月21日(土)
福岡県 キャナルシティ博多 B1Fサンプラザステージ
START 16:00
2016年5月22日(日)
広島県 イオンモール広島府中 1Fスターギャラリー
START 14:00
焚吐(タクト)

1997年2月20日生まれ、東京都出身のシンガーソングライター。小学4年生でギターに目覚め、1年後にはオリジナル曲の制作をスタートさせた。2012年、ビーイング主催「トレジャーハント~ビーイングオーディション2012~」において審査特別賞を受賞。2015年12月にはシングル「オールカテゴライズ」でビーイングよりメジャーデビューを果たした。2016年5月には2ndシングル「ふたりの秒針」をリリース。表題曲はテレビアニメ「名探偵コナン」のエンディングテーマとして使用されている。