音楽ナタリー PowerPush - 瀧川ありさ
「七つの大罪」新EDでデビュー! 期待の新人を作りし“バンド”と“沼”と“誰か”
四季を切り取る楽曲で音楽生活を集大成
──その詞なんですけど、なぜ「Season」=季節をモチーフに?
季節の移り変わりって“青春”みたいな意味でも使われるじゃないですか。“○○の季節”みたいな感じで。そういう気持ちの移り変わりであったり、逆に季節や時間が移っていっても変わらない何かを言葉にしたいっていうのは、自分の創作活動のベースになっていて。あと風景が見える曲が好きなんです。街の風景そのものも好きで、数日に1回「あっ、これは!」って思う景色に出会うことがあって。その街の写真や空の写真を撮ってはひと言添えてInstagramに投稿していたりもしますし(参照 : 瀧川ありさ Instagramフォトギャラリー)。
──拝見させてもらいましたけど、すごく印象的な写真が多いですよね。
ありがとうございます(笑)。
──そうやって風景になんらかの意味や物語を見出す作風になったきっかけって具体的にあります?
3歳の頃、ユーミンさんの「春よ、来い」を車の中で聴いたのが私の音楽の原体験で(笑)、しかもバンドを始めてからはユーミンさんの初期の曲であったりとか、70年代、80年代のポップスやロックやフォークソングを聴いていたので。あの頃の曲にはものすごく景色を美しく描く曲が多くて、それがすごくステキだなと思っていて。だから私もデビューするにあたって、そういう音楽的な影響を一度集大成してみたくて。「Season」っていうタイトルで、Dメロに「桜舞う春 花火が夜空を染めていく夏 もみじ揺れる秋 雪降る冬 すべてに君が居てほしい」ってあるように、私には四季がどう見えていて、その季節の中で何を思っているのかをちゃんと歌いたかったんです。
知らない街の知らない部屋の誰かに届く歌
──もともとあけすけに「君が居てほしい」と歌えるタイプですか?
別に悲劇のヒロインぶっているわけではないんですけど、デフォルトでネガティブなタイプなので、バンド時代の曲に幸せな曲はほとんどないですね。なんなら「君が居てほしい」みたいな曲を聴いたら「何を!」とすら思ってました(笑)。
──あはははは(笑)。じゃあなぜ今回ポジティブな言葉を?
バンドの後期にすごく独りよがりな曲を書いていたことが今もトラウマになってるんです。月に2~3本ライブをやってたんですけど、当時の曲って「あれっ? お客さんに何も伝わってない」って感じになっていて(笑)。だから今は誰のことも無視したくない。これは歌詞だけじゃなくて、曲もそうなんですけど、ライブハウスのお客さんだけでもなければ、私が住んでる東京の人たちだけでもない。もっともっと広いいろんなところ、どこか遠くの私が知らない街の、知らない部屋に住んでいる誰かにも伝わるものを作りたいと思っています。これにはたぶんバンドが解散してしまったことも影響していて。これまではバンドの中で世界を完結させられてましたから。バンドをやっていれば幸せだから、これでいいや!って。でも1人になったら、ちゃんと自分から窓を開けていかないと誰も聴いてくれないし、誰も聴いてくれないと何も楽しくないですし。そういうこともあって、こういう作風になったんだと思います。そういう意味ではちょっとだけではあるんですけど、沼の1年に感謝してます(笑)。
メインストリームを突っ走りたい
──ビッグタイトルのタイアップで華々しくデビューを飾る2015年はどういう1年にしましょう?
繰り返しになっちゃうんですけど、とにかく音を共有したいです。だからアニメが好きな方にも聴いてもらえることになる「七つの大罪」のテーマソングに選ばれたことはすごくうれしいですし、あとメジャーに行くことをきっかけに大きなステージでライブができたらな、って思ってます。
──それこそロックフェスなんかで?
そうですね。ライブはサポートの方々についてもらってバンド形態でやるつもりなので、とにかく大きなステージで大きな音を鳴らして、メンバーと大勢のお客さんと音楽を共有したいと思ってます。
──それもちょっと面白いですよね。高校卒業と同時に順風満帆だと思っていたバンドは解散し、曲が書けなくなり、クラスでキラキラしているようなノリでは生きていけなくなった。沼の季節を経験しておきながら、それでもまだちゃんと“みんな”に期待を寄せている。
最初に好きになったのがユーミンさんだったように、小さい頃から、すごくいい音楽をメインストリームで鳴らせる人が好きだったからなんだと思います。確かに私自身「それならヒネくれてもしょうがないだろう」って思える経験はしているし、バンドをやる人の中には「メインストリーム、なんぼのもんや!」みたいなタイプも多いんですけど、やっぱりユーミンさんたちへの尊敬の絶えない人生だったので(笑)。メインストリームを突っ走りたいんですよね。
- メジャーデビューシングル「Season」 / 2015年3月4日発売 / SME Records
- 通常盤 [CD] / 1300円 / SECL-1646
- アニメ盤 [CD+DVD] / 1500円 / SECL-1647~8
CD収録曲
- Season
- ロストラブレター
- ふたりよがり
アニメ盤DVD収録内容
- 「七つの大罪」ノンクレジットエンディング
瀧川ありさ(タキガワアリサ)
5月8日、東京都生まれのシンガーソングライター。幼少期より音楽に親しみ、小学2年生の頃から本格的な歌手を目指す。中学2年生のときからバンド活動を開始し、高校時代には彼女の手がける楽曲群が数多くのコンテストで評価を集める。高校卒業と前後してバンドが解散すると1年のブランクののち、ソロアーティストとして活動を再開。2015年3月4日、アニメ「七つの大罪」1~3月期のエンディングテーマにして、デビューシングル「Season」をリリースする。
2015年3月27日更新