音楽ナタリー PowerPush - 瀧川ありさ
「七つの大罪」新EDでデビュー! 期待の新人を作りし“バンド”と“沼”と“誰か”
沼のような生活を送ってました
──実際にどんなコンテストに?
「閃光ライオット」とかですね。高2のときに閃光に応募して、3次審査まで進んで、あと小さな大会にいくつか出ては優勝したり、賞をもらったりしているうちに、今の事務所に声をかけてもらって。私としては「メジャーへの道に片足突っ込んだかな?」「よしこのままみんなでやっていこう」っていう感じだったんですけど……。
──今はソロのアーティストですよね。
高校卒業して1年くらいしたらギターが抜けてしまったんです。まさか辞めるとは思ってなかったし、5年間くらい一緒にやってきたバンドだっただけに“4人でいる”ことが私にとってはすごく大事なことだったので、彼女が抜けたあと1年くらい曲を作れなくなっちゃって。残った2人は「3人でがんばろうよ」って言ってくれてはいたんですけど、高校卒業の1年後からまた1年っていうと、大学生だった2人は「そろそろ就職活動を」っていう時期でもあったので。私の都合でみんなを宙ぶらりんのままにしておくわけにもいかないな、っていうことで解散することにしました。
──そしてソロ活動を?
いえ、そこから1年くらい沼のような生活を送ってました(笑)。
──沼?
音楽活動1本でやっていくんだって決めてたから、バンドがなくなったら本当にやることがなくなっちゃって(笑)。スタジオに入ってみんなで「せーのっ」って音を鳴らすこともできないし、ライブもできないし。それでも何かしていないと本当にダメになると思ったので、一応宅録で曲作りは続けて、あとバイトをして、そのお金でギブソンのファイヤーバード(ギター)を買ってみたりはしたんですけど、ほとんど人には会っていない。特に目的や目標があるわけでもないのに曲を作り、バイトをしてギターを買うっていう1年間を送ってました(笑)。
才能が集まった時代に生まれて
──聞くだにその生活は沼ですね(笑)。
ですよね(笑)。でも本当にそのくらいしかやれることがなかったんですよ。高校時代ってバンドは順調だったし、クラスでもけっこう中心にいて。行事ごとなんかにも積極的に参加するタイプで、今思うと世界がキラキラと輝いて見えていたような気がするんです。でも高校を卒業して広い世界に出てみたらパッと魔法が解けたというか。私たちは小さな世界で輝いていただけ。社会に出たら私たち自身、いろいろ考えることが増えたし、世の中には私たちなんかよりももっとキラキラした存在がいっぱいいて……。
──例えば誰?
高校時代からThe SALOVERSと仲がよかったんですけど、彼らは一気にメジャーまで駆け上がったじゃないですか。もともとすごいバンドだと思っていたから「この人たちががんばってくれるなら、私は音楽やらなくてもいいのかもな」とすら思ってました(笑)。
──高校時代に出た「閃光ライオット」ってThe SALOVERSが決勝に進出した大会(2009年大会)ですか?
そうですそうです。
──じゃあ瀧川さんのバンドは決勝進出は叶わなかったものの、同期はThe SALOVERSにズットズレテルズにブライアン新世界にGLIM SPANKYに挫・人間。
才能が集まった年だったんですよね。それも沼生活に拍車をかけた原因の1つでした(笑)。
みんなの夢の責任をとりたい
──沼から浮上したきっかけは?
沼にいた1年間、事務所の人がずっと味方でいてくれたことが一番の理由のような気がします。バンドをやってる頃、お客さんやライブハウスの人から「いい声だね」って言われることがけっこうあって。でも私たちはバンドだし、ほかのメンバーの手前、私の話だけされる気まずさもあって「声だけなの?」ってなってたんですけど(笑)、1人になっちゃったときに、事務所の人が「声を評価されることも多いんだし、ソロでやりなよ」って言われて。
──そのときは「声だけなの?」とは……。
なってました(笑)。やっぱりあの3人のことや、バンドで活動することにこだわりがあったので。でも事務所の人からそう言われた直後に立て続けに周りのいろんな人に同じことを言われたんですよね。友達もそうですし、親からも「1人でやればいいじゃん」って。
──なるほど。
改めて事務所の人の言葉を思い返してみたときに、バンドの頃から私のことを見ていてくれた人が言っている上に、みんなも同じことを言っているんなら、1人で歌うのも向いているのかもしれないな、と思えるようになって。バンドをやっていた頃、みんなで「いつかフェスのステージに立ちたいね」って話をしていたんですけど、その4人の夢の責任を自分がとりたい。ここで私が終わったら親にも顔向けできないし、バンドメンバーや友達にも顔向けできない。1人でもやっていこうって覚悟できたんです。
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- メジャーデビューシングル「Season」 / 2015年3月4日発売 / SME Records
- 通常盤 [CD] / 1300円 / SECL-1646
- アニメ盤 [CD+DVD] / 1500円 / SECL-1647~8
CD収録曲
- Season
- ロストラブレター
- ふたりよがり
アニメ盤DVD収録内容
- 「七つの大罪」ノンクレジットエンディング
瀧川ありさ(タキガワアリサ)
5月8日、東京都生まれのシンガーソングライター。幼少期より音楽に親しみ、小学2年生の頃から本格的な歌手を目指す。中学2年生のときからバンド活動を開始し、高校時代には彼女の手がける楽曲群が数多くのコンテストで評価を集める。高校卒業と前後してバンドが解散すると1年のブランクののち、ソロアーティストとして活動を再開。2015年3月4日、アニメ「七つの大罪」1~3月期のエンディングテーマにして、デビューシングル「Season」をリリースする。
2015年3月27日更新