音楽ナタリー Power Push - 瀧川ありさ
運命を感じた「ノーサイド」、今だから歌える「ONE FOR YOU」
軽音楽部って認められにくいんですよ
──「ノーサイド」にしても「ONE FOR YOU」にしても、今作は「脇目も振らず前進する人」に対する瀧川さんの憧れや強い思い入れを感じる作品になりましたね。
強いですね。これ、話し出すと長くなっちゃうんですけど(笑)。私はいつも一歩ずつ考えて考えて、やっと行動するようなタイプなんです。だけどなりふり構わずがんばっている人の姿を見ると「考えているだけじゃ意味ないな」って痛感するんですよ、ちゃんと行動に移さなきゃって。別にステージに立つような人に対してだけじゃなくて、あらゆる人にすごいなと思うんです。毎日満員電車に乗って通勤している人とか。
──はい。
で、つい損得を考えちゃう自分が嫌いで面倒くさいなと思うんですけど、同時に「がんばっている人たちの力になりたい」とも思っちゃうんです。そこでいつも葛藤していて。ただ、そういう人への憧れとか尊敬の気持ちがあるおかげで自分は毎日音楽できているなとも思って。
──そういう人たちの背中を押すために、自分自身の姿勢を正すというか。
そうです。眩しい人たちがいてくれるおかげで「自分もやらなきゃ」と思える。そういう子たちがいないと音楽やらないんですよ、きっと。
──なるほど。瀧川さんは学生時代に軽音楽部に所属していたと伺っているのですが、それこそ当時はなりふりかまわず部活動に明け暮れていたんじゃないですか?
そうですね。ただ変な話、軽音部って学校から本質的には認められてないんですよ! これ、ずっと引きずってやると思ってることがあって。高校のとき、各部活動の成績をまとめた冊子があったんです。試合とか大会で取った賞を学校に提出すると、その一覧がばーっと載って。それがステータスというか、載っていれば両親やおじいちゃんおばあちゃんも喜ぶ1冊で。
──はい。
私は軽音部で部長のようなことをやっていたんですけど、どうにか音楽ってものを認めてもらいたくて高3の夏にすごい量の大会に出たんです。それで金賞とかベストボーカル賞みたいなものをけっこうもらって、「これだけもらえば学校も何も言えないだろう!」と息巻いて提出して。それなのに! 1つも載せてくれなかったんですよ! 本当にね、最低と思って(笑)。差別よくないですよ、軽音部に対する。
──あはは(笑)。
どんなに賞を獲っても軽音部はチャラく見られてるんだなと思って、すごく悔しくて。そのときのチクショウ根性でここまできてますから(笑)。文化祭にしても、演劇部とかは大ホールで立派な照明を浴びているのに、我々は教室の隅みたいなとこでやるしかなかったりとか。だから余計に、王道でやっている子たちがキラキラして見えたんですよ。
──そうなんですね。
……まあでもやっぱり、照明ががっつり当たるようなキャラでもないんですけどね、軽音部の子たちって(笑)。自分も含めて。なんかこう、暗がりで輝く子たちなんです(笑)。
気負わず、楽しく
──確かに瀧川さんはデビュー当時から「メジャーになりきれないコンプレックス」みたいなものをずっと抱えていた印象があります。ところが今や、自身がカバーした松任谷由実さんの楽曲がアニメのエンディングで流れて、なおかつその楽曲が両A面シングルでリリースされるという。
そうですね。
──さまざまな経験を重ねていく中で、ご自身の中に変化を感じることはありますか?
ありますね。やっぱり1stアルバムを出したことが大きくて、もっと大きなところに堂々と立てる自分でいたいと思えるようになった。自分を卑下することって、結局は私の音楽を求めてくれる人を裏切ることなんだと感じたんです。ちゃんと花道を進める人間になりたいと決意したタイミングで「ノーサイド」のお話をいただいて、巡り合わせってあるんだなと思ったし。いい意味で視野が広くなったと思います。
──4月から始まるアコースティックツアーはどんなライブになっていくんでしょうか?
バンドはバンドですごく楽しいですし、お客さんの盛り上がり方も違うんですけど、並行してソロのミュージシャンとしても強くなっていかなくちゃと感じているので。春は修行じゃないですけど(笑)、1人ぼっちでどこまでできるのかに挑戦したいなと思ってます。これまで行けなかった地方にも行けるので楽しみですね。
──2017年はどんな年になりそうですか。
「気負わずに行こう」っていう最近のスタンスがあって。もちろん前進する気持ちしかないんですけど、変に気負いはしない。なるようになれって言うと無責任ですけど、気張らないほうがちゃんと曲書けるので(笑)。
──まさに「僕は僕なりに頑張るから」ですね。
うん、デビュー当時の焦りはなくなりましたね。今、10代の時一緒にライブしてた同世代のミュージシャンが売れていることがすごくうれしくて。これ毎回言ってますけど、本当にうれしいんですよ(笑)。毎日みんなの活動を見てニヤニヤしてますし。そこに焦らないでちゃんと私は私のペースで音楽を楽しめてるほうがお客さんも付いてきてくれると思うので、攻めつつ楽しくやっていきたいですね。
- ニューシングル「ノーサイド / ONE FOR YOU」 2017年2月22日発売 / SME Records
- 期間生産限定盤 [CD+DVD] 1500円 / SECL-2117~8
- 通常盤 [CD] 1300円 / SECL-2116
期間生産限定盤CD収録曲
- ノーサイド
- ONE FOR YOU
- SUNDAY
- ノーサイド -Instrumental-
- ONE FOR YOU -Instrumental-
期間生産限定盤DVD収録内容
- ノーサイド Music Video
通常盤CD収録曲
- ノーサイド
- ONE FOR YOU
- SUNDAY
- ノーサイド -TV size ver.-
- ノーサイド -TV size ver. Instrumental-
瀧川ありさ 1st recital live tour 2017 "Spring Journey"
- 2017年4月6日(木)静岡県 LiveHouse 浜松 窓枠
- 2017年4月7日(金)広島県 Live Juke
- 2017年4月13日(木)長野県 NAGANO CLUB JUNK BOX
- 2017年4月14日(金)新潟県 ジョイヤミーヤ
- 2017年4月20日(木)宮城県 darwin
- 2017年4月22日(土)北海道 札幌くう
- 2017年4月27日(木)兵庫県 神戸VARIT.
- 2017年4月28日(金)京都府 京都MUSE HALL
- 2017年5月3日(水・祝)神奈川県 Yokohama O-SITE
- 2017年5月6日(土)埼玉県 西川口Hearts
- 2017年5月13日(土)長崎県 Ohana Cafe
- 2017年5月14日(日)福岡県 ROOMS
瀧川ありさ(タキガワアリサ)
1991年生まれ、東京出身のシンガーソングライター。幼少期より音楽に親しみ、中学2年生のときにバンド活動を開始する。高校卒業と前後してバンドが解散すると1年のブランクののち、ソロアーティストとして活動を再開。2015年3月にアニメ「七つの大罪」のエンディングテーマ「Season」を収録したシングルでメジャーデビューを果たす。7月に2ndシングル「夏の花」、11月にはアニメ「終物語」のエンディングテーマに採用された3rdシングル「さよならのゆくえ」を発表する。コンスタントにリリースを重ね、2016年11月にメジャー1stアルバム「at film.」を発表。2017年2月22日に自身初の両A面シングル「ノーサイド / ONE FOR YOU」をリリースした。