竹内唯人|ありのままの自分で、仲間と共に音楽を楽しむ

もう俺にとって友達だよ

──1曲目を飾るのはリードトラックにもなっている「MY FRIENDS」です。友人への思いをつづりながら、「僕はここで歌うぜ」と高らかに決意を表明している1曲ですね。

竹内唯人

この曲では常に自分の音楽を楽しみにしてくれている友達や、音楽を通してつながった仲間に対する思いを込めました。それと同時に、ドラマ「鈍色の箱の中で」の主題歌になった「ニビイロ」という曲をリリースしたことで海外の方からメッセージをいただくことも多くなったので、そういった人たちへのメッセージも込めています。国境を越えて僕の歌を聴いてくれるあなたたちはもう俺にとって友達だよという。

──なるほど。だからなのか、歌詞は英語がかなり多めですよね。

そうなんですよ。トラックとの相性を含め、いろいろバランスを考えた結果、今の形になりました。日本の方にはちょっとわかりづらくなっちゃうかなとも考えたんですけど、この曲は海外のファンに向けた思いも強かったので、これでいいかなって。逆に4曲目の「Drive」のように日本語が多めの曲もあるから、全体としてのバランスも取れていますしね。まあでも、英語が多い歌詞を歌うのはめっちゃ大変でしたよ(笑)。発音に関しては英語が堪能なMattくんの歌をとにかく耳で覚えて挑むという。

──違和感はまったく感じなかったですけどね。すごく上手な発音だなって。

ホントですか? Mattくんにも褒められたんですけど、自分ではちょっとよくわからなくて。でも違和感がなかったならよかったです(笑)。

自分なりのラブソングを

──6曲目の「At That Place and Time」は竹内さんの声の魅力が堪能できる1曲だと思いました。これ、平メロとサビではかなり声色が違っているんですけど、1人で歌ってるんですよね?

1人で歌ってます。でも、違う人が歌ってるのかというくらい違いますよね。自分でも思いました(笑)。僕は「ニビイロ」を歌ったことで、Aメロ、Bメロ、サビというパートごとに違った歌い方をすることを強く意識するようになったんですよ。それがこの曲では特に現れた感じだと思いますね。この曲のAメロ、Bメロはめっちゃ力を抜いて、地声くらいの低さで歌ったんで、サビとのギャップが大きいんだと思います。

──声のレンジはかなり広いんですね。

最近ボイストレーニングに通ってるんですけど、そこでも「音域がめっちゃ広いね」と言われました。「お前、けっこう声が低いな」って友達に言われることもあるし、高いキーもかなり上まで出ますからね。ボイトレの先生曰く、低い声は練習してもあまり出るようにはならないみたいなんですよ。なので、そこは自分の武器として使っていきたいところです。

竹内唯人

──竹内さんのレパートリーには、ご自身の生き様を投影したライフソング的なものや聴き手を鼓舞するタイプの楽曲に加え、「At That Place and Time」のようなラブソングも大きな柱として存在していますよね。そこに対しては何か思いはありますか?

僕は「オオカミちゃんには騙されない」(ABEMAで配信されている恋愛リアリティショー番組)に出演していたこともあって、あの番組のイメージを持って楽曲を聴いている人もたくさんいらっしゃると思うんですよ。正直、番組の中での僕しか見てもらえないのかなと思った時期もあったんですけど、あの番組があったからこそ僕が歌うラブソングに対して興味を持ってくれる人も多くなったんですよね。同時に、「オオカミちゃんには騙されない」のことを知らない人からすれば、生身の竹内唯人が歌うラブソングとして楽しんでもらえたりもする。要は、活動を続ける中で僕の曲を聴いてくれる層が広がったことで、いろんな価値観、いろんな視点で僕の曲を楽しんでもらえるようになった。なので今はフラットな気持ちで、自分の要素の1つとして自分なりのラブソングを作れるようになったところはあります。

──ちなみにラブソングは実体験を元に書くんですか?

実体験のこともあるし、ドラマなんかを観て想像することもあるし、友達に相談された恋バナを元にすることもありますね。しかも今はコライトで作詞をすることも多いので、そこにクリエイターさんの視点も入ってくるわけで。それによって表面的ではない、よりリアルな内容になることも多いような気がします。

これからも信頼できる仲間と一緒に

──今作を作り上げたことで、アーティストとしてどんなものを手に入れられたと思いますか?

まず、歌に関してはすごく成長することができたんじゃないかなと思います。「ニビイロ」を歌っている頃の自分を考えると、当時じゃ絶対「MY FRIENDS」で使った声は出せてなかったはずなんで。ただ、逆に言えば新たな歌声を手に入れたことで、「ニビイロ」を歌うときに変な癖が出てしまう可能性もあるわけですよ。そうすると「ニビイロ」にあったよさを消してしまうことにもなりかねない。そういう意味では、進化や成長は続けていきつつも、初心を忘れちゃいけないんだなって思ったりもしてますね。

──何かを手に入れたら、また新たな課題が見えてくるということなんでしょうね。

そうだと思います。メロディなんかにしても、その場の感覚で即興的に生み出すことが多いので、自分がこれまで作ってきた曲だったりに似通ったものが出てきてしまうことも多いんですよ。なので、今後はもっともっと幅広くいろんな曲を聴いていくというインプットをしっかりしなきゃなって。とは言え、あまり難しいことは考えず、売れる売れないということもあまり考えすぎず、これからも信頼できる仲間と一緒に、楽なテンション感で真剣に音楽を作っていきたいですね。そのスタンスはこれからもずっと変わらないと思います。

──持ち曲も増えてきたことですし、ライブで歌う竹内さんも早く見たいですよね。

デビューして以降、まだ2回しかライブの経験はないんですけど、ステージに立って歌うのはめちゃくちゃ気持ちいいですからね。ライブは観るのもやるのも大好き。それこそ今回の作品の楽曲は音源として聴く以上に、生で聴いてこそ伝わるものがあると思うので、早くライブはやりたいです。まだまだコロナ禍が終息しそうにないですけど、いつか状況がいい流れになったらみんなの前で大声で披露したいなって。

──その間にもアーティストとしてどんどん成長し続けることになるでしょうしね。

それをぶつけたいですよね。実は3月に幕張メッセでライブをする予定があったんですけど、それもコロナで中止になってしまって。でも今考えると、そのタイミングでライブをやったとしても楽曲は少ないし、自分のスキルも全然足りてなかったと思うんですよ。そんな俺に対して、「まだ出るべきじゃないよ」って神様が判断してくれたんじゃないかなって。なので、そのお告げを信じて、ここからもがんばっていこうと思ってます!

竹内唯人