ナタリー PowerPush - 竹内まりや
クリス松村と紐解く「Mariya's Songbook」
レアなおまけのデモトラック
クリス それから、初回限定盤のボーナストラックの選曲。私からすればもう全部入れてよ!と思うぐらいなんですけど、これを選ばれたのは?
竹内 音としてある程度肉付けされたデモから選びましたね。初期のものはほとんど私の弾き語りなんです。「けんかをやめて」の頃の曲はエレピと私の声だけのデモを渡してたんですけど、あるときからもうちょっと肉付けしたものを渡したほうがシングル化されるが度合いが高かったり、コンペの場合も採用される確率が高いことがわかって。例えば、エレピとリズムボックスだけではなくベースラインを入れる、キーボードを2回重ねる、達郎にちょっとギターを弾いてもらう、みたいなことを広げていったのが、ここに入っている「夏のイントロ」などの頃からです。
クリス 「ミック・ジャガーに微笑みを」も?
竹内 はい。これも今回デモを引っ張り出すまで、達郎がこんなギターソロを弾いてたっていう事実は完全に忘れてましたね。掘り起こすと、まだ面白いものが出てきそう。
クリス 何気なくおっしゃってますけど、こんな豪華な……ねえ。「夏のイントロ」なんて最高ですよ。
竹内 ありがとうございます。本チャンの編曲もわりとこれに忠実ですよね。つまり達郎のラフアレンジが(福永)恵規ちゃんバージョンの基礎になってる。あの頃は、私が弾き語りしたテープを達郎に「お願いします」って渡しておくと、彼がパパパッと楽器を入れてくれて、そのあと私が歌入れするというパターンでデモを作ってました。今もだいたいそのやり方ですけど。
クリス いや、聴いてて全然違和感なかったんですよね。今のまりやさんが歌い直してもいいんじゃないかって思いました(笑)。面白かったです。
竹内 じゃあ、いつか歌おうかな(笑)。デモテープの掘り起こしは、私も30年近く聴いてなかったんでいろんな発見がありました。音質はちょっとよくないですけど。まあ、レア音源として楽しんでいただきたいです。
クリス はい。すごいと思います。
竹内 おまけです。
7歳で始まって85歳で終わる
クリス 2枚の曲順っていうのは?
竹内 自分で決めました。いろいろ並べてみて、あーでもないこーでもないと。7歳の愛菜ちゃんの歌で始まって、85歳の森さんの歌で終わるのがいいかな、と。
クリス 2枚目だってKINYAさんがスタートって(笑)。どうしてKINYAさんがトップなんですか?
竹内 「Mania's Songbook」だから、まず知る人ぞ知るマニアックなこの曲から行こうってことで。唐突にこのへん(中盤を指さす)に入れるわけにいかない作品ですから。
クリス 確かにそうですよね!(笑)
竹内 なので、最初にバーンと昭和歌謡を持ってきました。
クリス でもKINYAさんはね、オネエ業界の中で一番幸せな人だと思います。まりやさんに曲を作ってもらって。
竹内 ははは。それは言いすぎ(笑)。
次なる提供アーティスト候補
クリス ちなみに今オファーもされてないけど、イメージが湧く、この人に書けるかもって思う人っていらっしゃいます? 歌手じゃなくても、女優でもなんでもいいですが。
竹内 今? うーん……。それが直近であったのは亜弥ちゃんだったので。もう歌ってはいらっしゃらない方ですが、ちあきなおみさんには一度でいいから書いてみたかったですね。
クリス あー、じゃあもうしばらくない?
竹内 そこは逆にクリスさんに聞かないと。この人いいですよっていう推薦ありますか?
クリス そうですね……。例えば、今度復帰イベントをする桜田淳子さんなんてどうでしょう。淳子さんだったら「駅」とか「終楽章」の世界を絶対歌いこなせると思いますね。
竹内 へえ、そうですか。女性とか男性とか、年齢なども問わずに、またいろいろと書けたらいいですね。私はどちらかというとステージに出て歌うのがわりと苦手なタイプなので、達郎みたいに精力的にツアーをやったりはできないけど、レコーディングスタジオで緻密に歌を作り上げていったり、曲を書いたりしてる時間はすごく好きなんです。だからもし自分の声が使えなくなっても、ほかの歌手への曲提供はこれからもずっと続けていきたいなと思いますね。
- コンピレーションアルバム「Mariya's Songbook」/ 2013年12月4日発売 / Warner Music Japan
- コンピレーションアルバム「Mariya's Songbook」
- 初回限定盤 [CD2枚組] / 2940円 / WPCL-11618~9
- 通常盤 [CD2枚組] / 2940円 / WPCL-11666~7
DISC 1:Mariya's Songbook
- みんなのハッピーバースデイ(芦田愛菜)
- リンダ(アン・ルイス)
- ファースト・デイト(岡田有希子)
- けんかをやめて(河合奈保子)
- 駅(中森明菜)
- 色・ホワイトブレンド(中山美穂)
- Miracle Love(牧瀬里穂)
- 待ちぼうけ(堀ちえみ)
- 元気を出して(薬師丸ひろ子)
- MajiでKoiする5秒前(広末涼子)
- みんなひとり(松たか子)
- いのちの歌(茉奈佳奈)
- 特別な恋人(松田聖子)
- 夏のモンタージュ(みつき)
- Subject:さようなら(松浦亜弥)
[Bonus Track(Mariya's Demo)]※初回限定盤のみ
- ときめきの季節(シーズン)(中山美穂シングルカップリング提供曲)
- ミック・ジャガーに微笑みを(中森明菜アルバム提供曲)
DISC 2:Mania's Songbook
- 涙のデイト(KINYA)
- リトル プリンセス(岡田有希子)
- Invitation(河合奈保子)
- Hey! Baby(森下恵理)
- とまどい(広末涼子)
- OH NO, OH YES!(中森明菜)
- Sweet Rain(桑名将大)
- Dreaming Girl~恋、はじめまして(岡田有希子)
- 55ページの悲しみ(増田けい子)
- 夏のイントロ(福永恵規)
- リユニオン(松たか子)
- 終楽章(薬師丸ひろ子)
- 声だけ聞かせて(松田聖子)
- Guilty(鈴木雅之)
- 月夜のタンゴ(森光子)
[Bonus Track(Mariya's Demo)]※初回限定盤のみ
- 夏のイントロ(福永恵規シングル提供曲)
- MajiでKoiする5秒前(広末涼子シングル提供曲)
竹内まりや(たけうちまりや)
1978年、シングル「戻っておいで・私の時間」でデビュー。「SEPTEMBER」「不思議なピーチパイ」など次々とヒットを飛ばす。山下達郎と結婚後は作詞家、作曲家として「元気を出して」「駅」など多くの作品を他の歌手に提供する傍ら、1984年に自らもシンガーソングライターとして活動復帰し、1987年に発表した「REQUEST」以降すべてのオリジナルアルバムがミリオンセールスを記録している。また、1994年発表のベストアルバム「Impressions」は350万枚以上の記録的な大ヒットとなり、日本ゴールドディスク大賞ポップス部門(邦楽・女性)でグランプリアルバム賞を受賞。ベスト盤ブームの先駆けとなった。2007年、6年ぶりとなるアルバム「Denim」を発表。2008年にはデビュー30周年を記念した自身初のコンプリートベストアルバム「Expressions」をリリースし、オリコン週間ランキングでは3週連続1位を獲得。2010年12月には10年ぶりのライブ「souvenir again」を日本武道館と大阪城ホールで行った。その後もコンスタントに作品を発表。2013年12月、デビュー35周年記念企画として、他アーティストへの提供楽曲を集めたコンピレーションアルバム「Mariya's Songbook」をリリースした。
クリス松村(くりすまつむら)
外交官の長男としてオランダの政治都市ハーグで誕生。5歳のとき受験のため帰国し、学習院初等科に入学後イギリスへ。帰国後日本に在住するも、学生時代にアメリカ、カナダ、ブラジル、メキシコ、フランス、オーストリア、ポルトガル、エジプト、ギリシャなどの海外各都市を回る。大学卒業後、広告代理店に勤めるも激太り。3カ月で30kgのダイエットに成功。インストラクターへ転身する。現在はタレントとして活躍する傍ら、邦楽、洋楽問わずの音楽好きが高じてCDの音楽解説も。アナログ盤、CD、DVDなど約2万枚を所有し、現在も収集中。