ナタリー PowerPush - taffy
気が付けばUKメディア大絶賛 日本人インディーバンドの不思議な道程
ボーカルの声だけが違うカバーなら原曲のほうがいいよね
──個人的には、すごく独特なタイム感を持ったバンドだなと思っていて。そう、この4曲目の「Boys Don't Cry」って、The Cureのカバーですよね?
アイリス そうなんですよ。その曲も、「あ、これ、The Cureだったんだ?」ぐらいの勢いだったというか、何か1曲ぐらいカバーを入れようかってなったときに、「この曲、どう?」っていう案があって。で、聴いたときに、もうそのアレンジが思い浮かんだんですよね。「私だったら、こうしたい」っていうのがあって。カバーはときどきやるんですけど、その際いつも意識しているのは、なるべく原曲に近付けないようにというか、「taffyだったらこうだよね」っていうことで。
──テンポもすごく遅くなっているし、ほとんど別の曲になっていますよね?
アイリス サビまで来ないとわからないみたいな感じになっているんですけど(笑)。ボーカルの声だけ違って、後ろの演奏がほぼ一緒だったら、それは原曲のほうがいいよねって、私はなってしまうので。であれば、まったく別のものを提供したいっていう意識は、すごいあるんですよね。
──その「Boys Don't Cry」もそうですけど、サウンド的にはけっこう重いところがあったり、わりとシューゲイザー的なギターが鳴っていたりしますよね? それとアイリスさんの歌声の対比が面白いというか。
アイリス そうですね。最初に彼(小泉)とやり始めたときから、一応テーマがあって……私の声とか歌い方って、アコースティックを合わせられることが多いんですけど、そうやってこの声から連想される楽器じゃなくて、この声だからこそラウドなものとか、そういう相反するものが、私はすごい好きなんですよね。
これを機に日本でもちょっとがんばろうかなって思ってます
──なるほど。で、その「Lixiviate」が、イギリスでのリリースから約半年を経て、ようやく日本でもリリースされることになったわけですが、今後日本ではどんなふうに活動していくんですか?
アイリス うーん……どう思います?
──え?
マネージャー や、彼ら的には、やっぱり日本ではダメでしょっていうのが、いまだにけっこう強くて……。
浅野 日本に住んでいるからこそ、逆にわからないというか……。
──こういう音が好きな人は、日本にもけっこう多いと思いますけどね。グラスゴーのバンドはもちろん、My Bloody Valentineの来日公演も盛況だったし、ブルックリンだったら、The Pains Of Being Pure At Heart周辺のバンドとか……。
マネージャー あ、まさに今言った、ペインズのツアーエージェントの人が連絡してきてくれて、彼がぜひうちと契約してイギリスを回ってほしいって熱心に誘ってくれて。それがツアーをやり始めた、そもそもの経緯だったりするんですよね。
──すごい。すごく局地的に世界がつながっているんですね(笑)。
マネージャー そうなんですよ。イギリス以外にもブラジルとかイタリアから、ラジオに出てくれみたいな依頼がよく来るんですけど、局地的すぎて……。
──今ある日本のシーンの中に居場所を見つけるのではなく、自らシーンを作っていくぐらいのほうがいいんじゃないですか?
アイリス シーンを作る……その発想はなかったです(笑)。
粕谷 でも、確かに、イギリスに行って一番感じたことって……この秋にサポートをやらせてもらったThe Wedding Presentもそうなんですけど、やっぱりお客さんとの距離が近いというか、終演後は普通に物販とかに立って、ファンと交流したりしているんですよね。そのダイレクト感っていうのは、やっぱり大事だなって思っていて。だから、今後は日本でもそれと同じようなことをやって、いろんな人とダイレクトに触れ合いながら盛り上がっていきたいですね。
アイリス 今回、ようやく日本でも正式にリリースされることになったので、これをきっかけとして、日本でもちょっとがんばろうかなっていうのは思っています。
──じゃあ最後、そんな日本の人たちに向けて、何かひと言ずつメッセージを。
小泉 ええと……聴く機会があったら聴いてください。あまりうまいこと言えないですけど、ライブではスイッチが入るタイプなので、きっとライブは楽しんでもらえると思います。
粕谷 やっぱりライブっていうのが、いろいろ難しいことを簡単にさせてくれる、一番の入り口なのかなって思うので、とにかくライブに来てもらって、そこでお客さんとダイレクトにコミュニケーションしたいですね。
浅野 うん。とりあえずライブに来ていただければ、きっと楽しんでもらえると思います。
アイリス まあ、いろんなことが前後しちゃったり、タイムラインがめちゃめちゃだったりするんですけど、今この時点でも、けっこう我々を知ってくれている人がいて……こんな我々を見つけてくれてありがとうっていうのを、まずは言いたいですね。で、まだ見つけてくれてない人も、今後私たちも積極的に努力をしていくつもりなので、そこで見つけてもらえたらうれしいなって思います。あと、さっき彼(小泉)も言っていましたけど、ライブは音源以上に激しいというか、実際イギリスとかでも、ライブを観て好きになってくれる人が多いので……機会があったらぜひ一度、ライブで体感してもらいたいですね。
収録曲
- Sweet Violet
- Tumbling
- Snowberry
- Boys Don't Cry
- Stewert and a Yellow Bicycle
- When Is Forever
- Dawn Red
- Train
- Maple Art
- No Endings but only the Beginnings
ライブ情報
- THREE THUMBS UP!
- 2013年12月13日(金)
東京都 三軒茶屋HEAVEN'S DOOR
<出演者>
taffy / Merpeoples / noodles
- BOOKMARK's vol.0
- 2014年1月17日(金)
東京都 下北沢ERA
<出演者>
taffy / BALLOON88 / THIS IS JAPAN / and more
taffy(たふぃー)
アイリス(Vo, G) と小泉将希(B)で結成後メンバーチェンジを経て浅野芳孝(G)と粕谷謙介(Dr)が加入し、現在の編成に至る。2012年に1stアルバム「Caramel Sunset」をイギリスでリリースすると、これが現地で評判に。大手一般新聞「ガーディアン」などさまざまなメディアで絶賛され、音楽雑誌「NME」では日本人の新人アーティストとして初めて巻頭特集が組まれた。2013年には2ndアルバム「Lixiviate」発売後、3カ月のスパンで2度のUKツアーを実施。同年12月には満を持して、初の日本発売となるアルバム「Lixiviate」をリリースした。