4Uは何やっても面白い
──ナナシスという広大な世界観を構築されている茂木さんにとって、4Uとはどんな存在ですか?
茂木 それはスパッと言い切れます。紛うことなき“友達”ですね。カッコいいなとも思う反面、ダメだなと思うところもある。総監督としての責任はもちろんあるけど、ある意味、無責任でもいられる。そういう絶妙な距離感は、まさに友達だなって思うんですよ。だって4Uの3人と遊びに行ったら絶対楽しそうでしょ?(笑)
──ですね(笑)。ストーリー上でも勝手に動いてくれる感じはあります?
茂木 うん。ホントに勝手に動いてくれますね。「え、そんなことするの?」って思う動きを見せることもありますけど、実際にやらせてみると結果的に面白い。極端な話、4Uは何やっても面白いんですよ。3人それぞれが面白い人たちだから(笑)。で、それはそのままキャストのお三方にも当てはまるっていう。
山下・長縄・吉岡 あはははは(笑)。
茂木 だからこそ、演技にしても歌にしても4Uに関してはお任せの部分が非常に多いんですよね。迷ったときは「これで大丈夫ですか?」ってちゃんと聞いてくれるし、そういうポイントは僕も引っかかってたところでもあって。
吉岡 それもやっぱりみんなが同じ方向を向けているからこそなんでしょうね。
──茂木さんも含めて、ですよね。
山下 そうですよー。友達ですよー、茂木さーん!
吉岡 ちょ! それ大丈夫? そこ友達じゃないから!(笑)
山下 そっか。やばいやばい、総監督さんだったよ。
茂木 あははは(笑)。
「The Present "4U"」のイメージはロックの名盤
──では4Uの1stミニアルバム「The Present "4U"」のお話へ。制作にあたり、茂木さんの中にはどんなイメージがあったのでしょうか?
茂木 4Uはロックバンドですから、ロックの名盤を作りたいと思ったんです。で、僕の中のロックの名盤は何かなって考えると、パッと出てくるのがハイスタ(Hi-STANDARD)の「GROWING UP」で。あれを高1のときに聴いて、「こんなに完璧なロックアルバムがあるのか!」って衝撃を受けたんですよね。あそこには底抜けの明るさと純粋さ、あとはアメリカの夏みたいなイメージもあるじゃないですか。ジャケが外国の家族の写真だし、1曲目に「SUMMER OF LOVE」が入ってるから(笑)。
──確かに(笑)。
茂木 なので4Uのアルバムにもそういった底抜けの明るさやアメリカンな部分を入れようと。その結果、あんなジャケになり、「カリフォルニア・ガールズ」……The Beach Boysの曲名と同タイトルのドラマトラックが入ることになったわけです(笑)。
──収録される6曲には明るさと純粋さも詰め込まれていますしね。4Uのイメージを投影した作品と呼ぶにふさわしい仕上がりだと思います。
吉岡 こんなにいい曲が一気に増えちゃうなんてね!
長縄 幸せなことですよね。
──レコーディングするにあたって、アルバム全体や曲ごとのイメージに関する説明ってあったりするんですか?
長縄 いや特にないです(笑)。
山下 届いた音源を聴き、歌詞とメロディを覚えてレコーディングに行くっていう。そこは一般的な声優としての流れではありますよね。
吉岡 そうだね。でも実際のレコーディングではわりとアーティストに近い感覚もあると思うんですよ。キャラ感さえ合わせてしまえば、あとは自由に歌のアレンジをしたりってこともできるので。
茂木 そうだね。もちろん「違うな」と思ったところはディレクションしますけど、基本違わないので(笑)。歌に関しても安心して任せている感じですね。ただ、今回はまみみ(山下)さんの声がかれてしまったことがあって、レコーディングを1回飛ばしたことがあったんですよ。ちょっとベストな状態じゃないなと思ったので。
山下 ヤバ!って思いましたね。やっちゃったなーって。
茂木 でも改めてのレコーディングでは100%の実力を出してくれて。細かく説明したわけじゃないんだけど、「ここはちょっと声が上ずる感じがカッコいいんだよね」とか「ここで甘い声になったあとにガッと盛り上がる歌い方になるのがいいよね」とか、僕の仮歌とほぼ一緒の歌い方をしてくれたんですよ。ほかの2人ももちろんそうですけど、4Uとしての、各キャラとしての歌の魅力をちゃんと理解してくれたうえでレコーディングしてくれているなってあらためて思いましたね。
ライブをイメージしながらの歌入れ
──4Uのメインボーカルとなる九条ウメ=山下さんは、どんなふうに歌の表情を付けていった感じですか?
山下 私がメインで歌ってるのは、ソロ曲っぽい「ROCKな☆アタシ」を含む4曲なんですけど、基本的に全部アップテンポで元気がいいんですよ。だから正直、どう歌い分けたらいいのかなって悩んだところはあって。まあでも私は悩んだところで歌の知識がないからどうしようもないわけなので、ライブをイメージすることにしたんです。「ここを歌うときにウインクするだろうな」とか「ここで足を蹴り上げるだろうな」とか。で、そういうイメージをすると、おのずと動きに合わせた歌い方になるんですよね。そうやって感覚的にレコーディングしていったところはありました。
吉岡 初めて聞いた!
長縄 そうだったんだ。そんなふうに歌ってるとは知らなかったです。
山下 マジで? みんなそうやって歌ってると思ってたんだけど。
茂木 実は僕も仮歌を入れるときはまったく同じようにやってるんですよ。「ここでウインクするだろうな」とかそういうイメージは箇所箇所で湧いてるんです。で、それによって歌詞の語尾を「だもん」にするのか「~ね」にするのか変えたりすることもありますしね。偶然とは言え、同じ感覚でやってるなんて、やっぱ4Uはすごいなって思いますね。
──吉岡さんと長縄さんはどんなふうに歌入れに臨んでいますか?
吉岡 4Uは基本ウメがメインで私たちがハモをやっているので、ウメの声に合わせる歌い方をしなきゃなって思いでやっています。ただ、今回はハモを先に録ったのでかなり難しかったんです。
長縄 ウメちゃんの歌い方に合わなかったらどうしようって思いました。
茂木 いやでもそこは一応ディレクションしたんですよ。「ウメちゃんはこう歌ってくれると思うよ」「だからこうしてね」って。でも、そんなこと言う前にバッチリ狙い通りのハモを入れてくれていたので、さすがだなと思いましたよ。見事にメインの歌とハモがハマってますからね。
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もう感謝しかない!
- 4U「The Present "4U"」
- 2017年11月29日発売 / Victor Entertainment
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初回限定盤 [CD+オリジナルピックストラップ]
3240円 / VIZL-1284 -
通常盤 [CD]
2592円 / VICL-64900
- 収録曲
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- メロディーフラッグ
- Crazy Girl's Beat
- ROCKな☆アタシ
- 青空Emotion
- パフェ・デ・ラブソング
- プレゼント・フォー・ユー
- カリフォルニア・ガールズ(ドラマトラック)
4U 1st Live!!!「The Pres"id"ent 4U」in Osaka&Tokyo
- 2018年1月21日(日)大阪府 Zepp Osaka Bayside
OPEN 15:30 / START 16:30 - 2018年2月3日(土)東京都 TOKYO DOME CITY HALL
OPEN 15:30 / START 16:30
出演者長縄まりあ(佐伯ヒナ役)/ 吉岡茉祐(鰐淵エモコ役)/ 山下まみ(九条ウメ役)
- Tokyo 7th シスターズ(トウキョウセブンスシスターズ)
- 2014年2月にサービスインしたスマートフォン向けのアイドル育成リズム&アドベンチャーゲーム。“アイドル氷河期の西暦2034年”を舞台にアイドルを育成&プロデュースしていく。ゲーム中にはメインユニット・777☆SISTERSをはじめ多くのアイドルグループやユニットが登場する。
- 長縄まりあ(ナガナワマリア)
- 愛知県出身。主な出演作品は「スロウスタート」「つうかあ」など。「Tokyo 7th シスターズ」では佐伯ヒナの声を担当している。
- 吉岡茉祐(ヨシオカマユ)
- 大阪府出身の声優。主な出演作品には「Wake Up,Girls!」「あんハピ♪」などがある。「Tokyo 7th シスターズ」では鰐淵エモコの声を担当している。
- 山下まみ(ヤマシタマミ)
- 北海道出身の声優。2012年にオーディション「ミス龍が如く5を探せ!」で札幌地区代表に選ばれ、ゲーム出演および声優デビューを飾る。青二プロダクションに所属しタレントとしても活躍。「Tokyo 7th シスターズ」では九条ウメの声を務める。
- 茂木伸太郎(モテギシンタロウ)
- 株式会社Donutsに在籍するクリエイター。「Tokyo 7th シスターズ」の総監督兼総合音楽プロデューサーとして同作品のビジュアル、脚本、楽曲の企画や制作、ライブ制作に携わっている。