音楽ナタリー Power Push - Tokyo 7th シスターズ
茂木伸太郎×ヒゲドライバー×emon鼎談で探る 進化する「ナナシス」の世界
各個性を意識した言葉選びと世界観の統一
──ナナシス楽曲は、その歌詞の世界観にも定評がありますよね。総監督であり、総合音楽プロデューサーである茂木さんのこだわりを聞かせていただければと思うのですが。
茂木 例えば、この子(キャラクター)はこういう歌詞を歌わないだろうなっていうラインは、全体、あるいは今後の未来を理解している僕にしかわからないものだと思うんですよ。なのでそこは常に意識して各個性に合った言葉を選び、そしてナナシスの世界観の統一を図っているところはあります。今回のLe☆S☆Caの「YELLOW」と「Behind Moon」の2曲で、彼女たちの白と黒の二面性を出そうと思ったのも、3人を並べてみたときに1つだけじゃ惜しいな、っていう僕の素朴な感想があったからですし。
──KARAKURIというユニットらしい言葉遊び感覚が如実に表れた「-Zero」の歌詞も素晴らしいなあと思いましたね。
emon うんうん。すごいですよね。
茂木 あの歌詞は、サビの「狂おしく今咲かせ賜れ」から広げて書いたものなんですよ。「賜れ」っていう言葉の音感がいいなと思ったので、じゃあ、そういう言葉を生かせるわらべ歌にしたらどうかなって。まあそれもね、emonさんが作ってくれたサビのサウンドがよすぎたので、それにインスパイアされたんですけどね。「-Zero」とか「Behind Moon」みたいな歌詞のイメージを膨らますのはものすごく楽しいし、けっこうサクサクいくんですよね。
emon 例えば作曲だけでほかの作品に関わる場合、作詞家さんが上げてくれた歌詞を見て、「これって曲のイメージをちゃんと汲み取ってくれたのかな?」ってちょっと疑問に思ってしまうことがないこともないんですよ。でも、ナナシスの曲に関しては、僕がこうしてほしいなって思っている通りのもので、なおかつ耳に残りやすい歌詞を付けていただけるので、そこはもう茂木さんの手腕なんだろうなって思いますね。ありがたいです。
茂木 ただ、ヒゲさんに作っていただいた「Snow in "I love you"」や「YELLOW」のような曲はかなり苦労するんです、イメージを固めるのが。メジャーどころを狙う歌詞って言うんですかね、誰しもが理解できて、なおかつ誰しもが共感できる歌詞を作るのって、相当ハードルが高いと思います。
ヒゲドライバー うん。確かにメジャーどころを狙う歌詞は難しいですよね。わかりやすさを意識しすぎてありきたりな言葉を使うと、ただただ流れていくだけの曲になってしまうから。そういう意味で、その2曲の歌詞は相当難しかったんだろうなって。でもすごくいい歌詞ばかりですよね、ほんとに。
emon うん。何も言うことがないくらい、僕も歌詞が気に入ってます。
茂木 毎回褒めてくれるんでね、僕としてはうれしいんですけど(笑)。
10年後に残るコンテンツにするために
──ゲームからスタートしたナナシスというコンテンツは今年、ライブの開催やCDのリリース、ノベライズなどのメディアミックスを実現して、その世界を大きく拡大してきました。来年からの展開もかなり気になりますね。
emon そうですね。せっかくご縁があって関わらせていただいたからには、今後もずっと参加していければなって思いますね。ほんとに刺激をいただける場なので。
ヒゲドライバー ナナシスって、みんなが成長していける場でもあると思うんですよ。ナナシスの声優さんたちって最近はわりと……。
茂木 有名になってきてるんですよ。
ヒゲドライバー そうそう。いろんなアニメに関わっていたりとかして。で、僕自身もアニソンを書かせていただける機会も増えてきている。そういう意味では、ここにいるみんながナナシスというコンテンツとともに大きくなっていくと、より面白いことになっていくだろうなって思うんですよね。あとは、どこに行っても聞かれますけど、アニメ化はいつになるんだっていう(笑)。
emon それはほんとに気になりますよね、うん。
茂木 あははは(笑)。と、いきなり真面目な話ですけど、ここ1年くらいたくさんの人に会って、いろいろなものを観て、個人的に今の日本の映像やアニメの在り方ですかね、作り方や見せ方、売り方、いろいろなフェーズがあると思うんですが、そういうあらゆる部分においてなんでも自分なりに納得しないと手が動かない性分なものでして……これからもっと勉強していきたいです。先のことはどうなるかわかりませんけど、僕は2年後、3年後のことを常に考えていたりします。タイミングが、とかそういう話もたくさんあると思いますが、そこで消えるようなら、そもそも10年後には誰も覚えてくれていないと思うし。10年後に誰かの記憶に残っているコンテンツにするために、ほかの作品にはない、替えのきかないナナシスだけの存在意義をちゃんと提示した上で次に進みたいなって思っているので。
──これまでのヒットしているアイドルコンテンツと並列でナナシスを見ている人も多いと思うんですよ、現状として。そことの違いをいかにして見せていくか、っていうことですよね。
茂木 うん。知らない人には完全にただの何番煎じだと思われてるだろうなっていうのは僕もわかってます。それはこの企画を始めたときからずっとそうだった。本当にずっと。でも、今はまだそれでいいです。ナナシスってなんだかちょっとだけ話題になった風になっていますけど、そうともあんまり思ってなくて。まだまだこれからだと思いますよ。これからやることがありすぎて、それをどう形にするかしか考えていません。今後もそこを貫いて、いろいろな楽しいものを見せていければなって思っています。あ、そのためにお2人とも、今後もよろしくお願いします!
ヒゲドライバー 僕はもう全力で曲を書くしかできないですから。そういったところで関われればうれしいです。
emon こちらこそほんとによろしくお願いします。これからのナナシスも楽しみにしてます。
- 777☆SISTERS 2ndシングル「Snow in "I love you"」2015年12月9日発売 / Victor Entertainment
- 「Snow in "I love you"」
- 初回限定盤[CD] 1944円 / VIZL-911
- 通常盤[CD] 1296円 / VICL-37125
収録曲
- Snow in "I love you" / 777☆SISTERS
- ハネ☆る!! / はる☆ジカ(ちいさな)
- Snow in "I love you" -OFF VOCAL-
- ハネ☆る!! -OFF VOCAL-
- はる☆ジカ、聖夜の2日前(ドラマトラック)
初回限定盤封入特典
777☆SISTERS 2016年オリジナルカレンダー
- Le☆S☆Ca デビューシングル「YELLOW」2015年12月9日発売 / Victor Entertainment
- 「YELLOW」
- 初回限定盤[CD] 1944円 / VIZL-912
- 通常盤[CD] 1296円 / VICL-37126
収録曲
- YELLOW
- Behind Moon
- YELLOW -OFF VOCAL-
- Behind Moon -OFF VOCAL-
- 泡沫七夜(ドラマトラック)
初回限定盤封入特典
Le☆S☆Ca オリジナルコースター3枚セット
- KARAKURI / 4U ニューシングル「-Zero / TREAT OR TREAT?」2015年10月28日発売 / Victor Entertainment
- 「-Zero / TREAT OR TREAT?」
- 初回限定盤[CD] 1944円 / VIZL-865
- 通常盤[CD] 1296円 / VICL-37097
- Tokyo 7th シスターズ ライブDVD / Blu-ray「H-A-J-I-M-A-L-I-V-E-!!」2015年10月28日発売 / Victor Entertainment
- 「H-A-J-I-M-A-L-I-V-E-!!」
- Blu-ray Disc / 8000円 / VIXL-158
- DVD2枚組 / 8000円 / VIBL-785~6
茂木伸太郎(モテギシンタロウ)
Donutsに在籍するクリエイター。「Tokyo 7th シスターズ」の総監督として同ゲームのビジュアル、脚本、楽曲の企画や制作、ライブ制作に携わっている。
ヒゲドライバー
ロックバンド・ヒゲドライVANのボーカルを務めるほか、“ピコピコ音楽クリエイター”としても活動。アニソンを多く手がけ、中でもアニメ「機巧少女は傷つかない」のエンディングテーマ「回レ!雪月花」が大きな注目を集めた。自身名義の作品を発表しているほか、リミックスやゲーム音楽を手がけたり、アイドルに楽曲を提供するなど幅広く活躍中。2016年1月に活動10周年を記念したベストアルバム「ヒゲドライバー10th Anniversary Best」をリリースする。
emon(エモン)
2002年よりインディーズバンドSHOWBITZのボーカルを担当。バンドでは作詞、編曲も行う。2008年にコンピレーションアルバム「Child's Fantastic Moment」にリミックスを提供したことを機にDTMを始める。同年にyumi(ex. ムラマサ、現エイリアンズ)とuda(ex. SHOWBITZ)とテクノポップユニットTes.を結成し活動を開始する。また2010年よりVOCALOIDプロデューサーとしても活動しており、「踊ってみた」やMMD動画で人気の「Heart Beats」「shake it!」「too Cute!」といった楽曲を手がけている。