T1419日本人メンバーが2年ぶり帰国、日本デビューミニアルバムで魅せる新たな表現 (2/2)

「Run up」では美しさを重視

──では「OUR TEEN:BLUE SIDE」に収録される、日本オリジナル曲についてお伺いします。先ほども話題に上がりましたが、カイリさんがMVでカッコいい走りを見せた「Run up」はどのような楽曲ですか?

ゼロ タイトルの通り、聴くと青空を駆け上がりたくなるような疾走感のある1曲です。今までの曲はその曲の世界観を演じる感覚が強かったけど、この曲では僕たちの自然体な姿を見せられたと思います。

レオ パフォーマンスは、美しさを重視して仕上げました。

カイリ そうそう! エネルギッシュな雰囲気を出すことに重点を置いていたこれまでのパフォーマンスとは違い、今回は、情感を伝えることを大切にしていて。例えば、「耳を塞ぎたい」という歌詞で実際に耳をふさいで首を振る振り付けとか、サビのダンスではラインがきれいに見えるように意識しているので、チェックしてほしいです。

──確かに、シンクロするダンスからは繊細な思いも伝わってきました。MVの撮影で印象に残っていることはありますか?

レオ 冬に野外で撮影したので、みんなブルブルと凍えながら撮影したことが忘れられないですね。

カイリ 僕はやっぱり青空の下で草原を駆けるシーンの撮影が思い出深い。実は、地面がぬかるんでいて走るのが大変だったんです。こけて視界から突然消えちゃうメンバーもいました(笑)。何度もテイクを重ねて完成したシーンなのでぜひ注目してほしいです。

ゼロ 僕はそのシーンを撮影するために準備してくださった、幅50cmか60cmはありそうな大きさのドローンが記憶に残っています。スタッフさんから「すごく高価な機材だから壊したらヤバいよ」と言われてすごく心配だったんですけど……。

レオカイリキオ (笑)。

ゼロ 臨場感ある美しい映像になっていて感動しました。

デビューに向けてがむしゃらに努力した練習生時代

──続いて、「Daydreamer」はいかがですか?

レオ 10代が夢に向かって走っていく姿を表現した楽曲です。

ゼロ 歌詞には、夢を追うときに感じる不安や葛藤が書かれていて、たくさんの人に共感してもらえるんじゃないかなと。僕が特に共感した歌詞は、冒頭の「手探りで歩く 見えない正解を探していたよ」という部分。何をどうがんばればデビューできるのか、正解がまったくわからない中で、ただひたすらがんばっていた練習生時代のことがよみがえってきます。

レオ 僕は「時間は裏切らない 無意味なんてない」という歌詞が好きですね。歌やダンスの練習は大変だけど、時間をかけて一生懸命に練習した分だけ成長できるという実感があるので、ここは胸に響きます。僕だけに限らず、このフレーズは夢を追いかける10代には刺さるんじゃないかな。

カイリ 僕が特に好きなのは「同じ空の下 ひたすら追いかけた」の歌詞。ここまで9人で力を合わせてがんばってきて、やっと日本デビューを果たした僕たちと重なるんです。このフレーズを聴くと、毎日メンバーと練習していた日々を思い出します。

キオ 僕は、「ぶつかり合い 少しずつ We growing up now」の部分が好き。メンバー同士ぶつかり合いながら成長して、みんなでデビューをつかんだので、すごく共感できます。

左からレオ、カイリ、キオ、ゼロ。

左からレオ、カイリ、キオ、ゼロ。

──メンバー同士ぶつかり合うこともあったんですね。

ゼロ 出会った当初は日本人メンバーが韓国語を話せなかったので、お互いに自分の意見を正確に伝えられず、もどかしい思いをすることがよくありました。でも翻訳機を使ったり、英語ができるメンバーが会話に入ったりすることで、少しずつコミュニケーションを深めていって。今は日本人メンバー全員が韓国語で意見を自由に言えるようになったので、衝突することはなくなった。

カイリ 少しでも思うところがあったら、メンバー全員で集まって話し合うようにしているのでケンカすることがないよね。

ゼロ そうだね! T1419って、誰一人として個性が被っていないんです。“9人9色”の魅力があると思っていて。そのせいで昔は、お互いのことが理解できないこともありました。でもそのときに、“わかり合えない”と決めつけるのではなく、ちゃんと話し合って、それぞれの考えを理解することを心がけてきました。「この人は、こういう考えがあったからこういう言動をしたのかな?」と、想像することが大切だと一緒に過ごす中で気付いて。そうやって僕たちはお互いを尊重してきたので、すごくチームワークがいいんだと思います。

メンバー全員で作詞した“ファンソング”

──そんな高いチームワークをもつT1419のメンバー全員が作詞に挑戦した「HOME」は、どんな1曲ですか?

ゼロ 「HOME」は、僕たち初の“ファンソング”です。ファンの人たちにとって、僕たちT1419が家のような安心できる温かい場所であり続けたい。また、僕たちにとってもファンの方々がそういう存在であるということを伝える曲です。「T1419 EDELHOUSE」(日本ではABEMA、Hulu、Paraviで配信中のバラエティ番組)という僕たちの番組内で、メンバー同士意見を出し合って作詞をしました。自分たちで作詞することが決まって、まずは全員に歌詞に入れたいメッセージを募ったのですが、表現方法は違っても、伝えたいことの核はみんな似ていて。「思いは一緒なんだな」と感じた瞬間でした。ちなみに日本語が上手なオンくんは、日本語で歌詞を書いてくれました!

──初めての作詞はいかがでした?

レオ リズムに合うように、伝えたいメッセージを言い換えることに苦戦しました。

カイリ 僕は伝えたいことがありすぎて、それを絞る作業が難しかったです。昔からメンバーと、「ファンに向けた曲を歌いたいね」と話していたので、日本デビューミニアルバムという記念すべき作品に無事に収録することができてうれしいです。

──ファンの皆さんの喜ぶ顔が目に浮かびます。作詞以外に今後、音楽面で新たにチャレンジしたいことがあれば教えてください。

キオ 実は今、トラック作りを勉強していて。何年後になるかわからないけど、自分たちの楽曲を作れるようになりたいです。

ゼロ 僕は何か楽器を始めたいと思っています。というのも、「ピアノが弾けると、歌うときに早く勘をつかめるよ」と言われていて。やっぱり最初は、ピアノがいいかな。

レオ 僕はギターの弾き語り。今は独学でやっていて、本格的にレッスンを受けられたらいいなと。コードとコードの入れ替わりが早いと指が追いつかなくて、プロにきちんと教わりたいです!

カイリ トラックを書いていたり、作詞をしていたりするメンバーの姿を見ると楽しそうなので、僕もいつかはやってみたいなと思います。でももうちょっと先でいいかな。今は歌とダンスの練習に集中して、もっと表現を追求したいです。最近は自分だけの表現を確立するために、これまで聴いてこなかった音楽に触れたり、映画を観たりして視野を広げています。

左からレオ、カイリ、キオ、ゼロ。

左からレオ、カイリ、キオ、ゼロ。

──ラップ担当のレオさん、カイリさん、キオさんは普段は韓国語でラップする機会が多いと思うのですが、今回、母国語でのラップはいかがでしたか?

キオ 僕が初めてハマった音楽も、K-POPを聴き始めたときから練習している曲も韓国語のラップ曲がほとんどなので、むしろ日本語のラップに慣れ親しんでいなくて。今回初めて日本語のラップをすることになり、染み付いた韓国語特有の発声方法から日本語の発声に切り替えるのに意外と苦労しました。

ゼロ キオと違って僕は今回、いつもより余裕を持った気持ちでラップすることができました。韓国語のラップは、リズムは取れたとしても発音が本当に難しいんです。すごく速いラップだと、韓国語特有のパッチム(母音のあとについた子音)が言いきれなくて。今もレッスンの先生に正しい発音を教えてもらいながらスキルを磨いています。

レオ あとメンバーに発音を教えてもらうことも多いよね。でも、日本デビューミニアルバムでは、いつもとは逆で、日本人メンバーが正しい発音を教えることになりました。

カイリ 韓国人メンバーには、“つ”の発音が難しいそうで、みんなが「教えて」と言ってくるので一緒に練習しました。きれいな発音を習得するまでに時間がかかったメンバーもいたけど、レコーディングのときは全員ができるようになっていて、その姿を見たときに、「みんなすごくがんばってくれたんだな」と誇らしい気持ちになりました。

レオ ちなみに韓国人メンバーには、日本に来たときのことを考えて、日常でよく使う日本語も教えてあげてます。例えば「推し」「初恋」「ぴえん」とか。

「Mステ」出演やさいたまスーパーアリーナでのライブ……メンバーが日本で叶えたい夢

──青春をテーマにした今作にちなんで、皆さんが青春と聞いて思い出すことはなんですか?

キオ 練習生時代かな。中学3年生で韓国に渡り、青春のほとんどを練習期間に捧げたので。一番、鮮明に覚えている当時の思い出は、新型コロナウイルスの影響で、中学校の卒業式に参加できなかったこと。僕はあまり泣くタイプじゃないけど、そのときは練習室で大号泣してしまい、カイリくんがなぐさめてくれました。

カイリ うん。キオくんが泣くのは珍しかったから、今でも覚えてるよ。僕は、友達と中学校のグラウンドで遊んでいた日々。渡韓直前に学校を訪問したのですが、当時のことを思い出して懐かしい気持ちになりました。

ゼロ うーん。僕は、中学生の頃に、友達と夏祭りでたくさん遊んだことかな! 屋台で買ったおいしいものを食べたり、射的をしたりしたのがいい思い出です。

レオ 僕は、自転車に乗ると青春の日々を思い出しますね。登校するときも、友達と遊ぶときも乗っていたんですよ。

ゼロ そういえば韓国は自転車に乗っている人が少ないよね。

キオ 自転車よりも、キックボードに乗っている人が多いですね。

──最後に、日本で活動するにあたっての目標があれば教えてください。

レオ 今回日本に来ることができたのは4人だけだったので、次回は9人そろって日本で活動することです。

カイリ 僕も9人で日本に来ることが夢。あと、デビューしてから長い間、直接会えなくても応援し続けてくれた日本のファンの方々に、今回の滞在中にできるだけ会いたいというのが今の僕が叶えたいことです!

キオ 僕は9人そろって日本でライブがしたいです。SEVENTEENさんの公演を観るために、よく行っていたさいたまスーパーアリーナでライブできたら最高!

ゼロ もっとファンの方に会う機会を作りたいのはもちろん、小さいときからよく観ていた「ミュージックステーション」とか、日本の音楽番組に出演するのが夢です。

左からレオ、カイリ、キオ、ゼロ。

左からレオ、カイリ、キオ、ゼロ。

プロフィール

T1419(ティーイチヨンイチキュウ)

韓国人のノア、シアン、ケビン、ゴヌ、オン、日本人のレオ、ゼロ、カイリ、キオで構成されるMLD ENTERTAINMENT所属の9人組K-POPボーイズグループ。2020年10月に「Dracula」でプレデビューし、2021年1月にデビューシングル「BEFORE SUNRISE Part.1」をリリース。リード曲「ASURABALBALTA」の日本語バージョンをリリースし、日韓同時デビューを果たした。2022年3月に日本デビューミニアルバム「OUR TEEN:BLUE SIDE」を発表。