UUUM、ナターシャ、auが共催するライブイベント「SYNERGY」が、3月21日に神奈川・Yokohama Bay Hallで開催される。
「SYNERGY」はクリエイターサポート事業などを手がけるUUUM、ニュースサイト・ナタリーを運営するナターシャ、KDDIによる共催企画。第2回となる今回は、夕闇に誘いし漆黒の天使達、Non Stop Rabbit、ネクライトーキーの3組が出演する。昼夜2公演の両公演に夕闇に誘いし漆黒の天使達が出演し、昼公演でNon Stop Rabbit、夜公演でネクライトーキーと競演する。イベントの模様はuP!!!で生配信されるので、会場に足を運べない人も映像でライブを楽しめる。
音楽ナタリーではイベントの開催を記念して、夕闇とノンラビメンバーによる対談と、夕闇の小柳(Vo)とネクライトーキーのもっさ(Vo, G)による対談を掲載。会話を通して、それぞれの意外な共通点や、近いようでまったく性質の異なるバンド像などが見えてきた。
取材・文 / 田中和宏撮影 / 星野耕作
ライブ情報
SYNERGY
2022年3月21日(月・祝)神奈川県 Yokohama Bay Hall
[昼公演]OPEN 13:00 / START 13:30
<出演者>
夕闇に誘いし漆黒の天使達 / Non Stop Rabbit
SYNERGY “夕闇に誘いし漆黒の天使達 × Non Stop Rabbit” - ライブナタリー
[夜公演]OPEN 17:30 / START 18:00
<出演者>
夕闇に誘いし漆黒の天使達 / ネクライトーキー
夕闇に誘いし漆黒の天使達×Non Stop Rabbit対談
夕闇とノンラビは初めまして?
──2組は知り合って長いんですか?
小柳(Vo / 夕闇に誘いし漆黒の天使達) いや、今日はじめましてです。
達也(G, Cho / Non Stop Rabbit) この前コラボ動画撮ったばっかりじゃん(笑)。
晴人(Vo, B / Non Stop Rabbit) 知り合ったのは2、3年前くらい?
ともやん(B / 夕闇に誘いし漆黒の天使達) コロナ前だよね。
小柳 そうかそうか。2019年11月のイベント(幕張メッセイベントホールで行われた「B.PチャンネルFes.」)で一緒になったのが最初か。
晴人 最近になってラジオで共演して、そのあと動画企画の撮影をしたのが2年ちょいぶり。知り合って長いんですけど、決して濃くはない。
小柳 今はあんまり仲よくないけど、仲よくしていきたいよね。
晴人 まあ何かエピソードあるかって言ったらないからね。これからに期待だな(笑)。
──個人的な話なんですが、2組を知ったタイミングは同じで2018年でした。夕闇はプー・ルイ(PIGGS)さんたちとYouTubeでコラボしたときに知って、ノンラビは「三納物語」(三納貴弘のYouTubeチャンネル)の動画に出たときに知ったんです。
小柳 ばなな(三納貴弘)のその動画って、ノンラビが最初にバズった時期のコラボでしたよね? 俺も三納物語のその企画とか、童謡をロックにする企画のあたりでノンラビを知りました。俺ら、三納物語とはオーディションで過去にバトってるから、ばななと絡んでるノンラビとは絡まないほうがいいなって思ってた(笑)。
一同 ははは。
ミスター千葉(G / 夕闇に誘いし漆黒の天使達) 前の事務所の同期みたいなもんなんだよね。
晴人 そういうことか。何かあるのかと思った(笑)。
夕闇とノンラビの“他己紹介”
──競演相手であるお互いの魅力をお話しいただけますか?
小柳 ちょうど動画の企画でノンラビの曲をコピーしたんですけど、演奏したら普通に難しいうえに、歌詞もすごく覚えにくい。
晴人 ディスってるやん(笑)。
ともやん メッセージ性とかをしっかり汲み取るのが難しいって話よ!
小柳 自分じゃ書けないようないい歌詞だし、遊び心もある。夕闇で演奏してみたノンラビの曲はサビに遊び心がある曲(「私面想歌」)だったんですよ。面白いことができるバンドなのに、楽曲はしっかりカッコいいイメージ。で、ちょっと怖い人たちです。
達也 その流れでなぜそうなる?(笑)
千葉 まあ確かに打ち解ける前は怖かったな。
晴人 夕闇こそいまだに怖いよ! 小柳を中心に怖いよ!
小柳 夕闇はめちゃくちゃファニー系やから!
晴人 なんだそれ(笑)。
にっち(Dr / 夕闇に誘いし漆黒の天使達) 俺らコミックバンドだし!
小柳 まあ今となっては大丈夫だけど、最初はやっぱりノンラビって怖かったな。夕闇と同じようにバンドとYouTuberを両方やってる存在だからなおさら。
にっち ノンラビは真面目に音楽やってたからね、俺たちに対して「音楽バカにすんな」と思ってるんじゃないかって思ってたもん(笑)。
晴人 「お前らのは音楽じゃない」みたいな? そんなこと思わないから(笑)。
小柳 俺らはコミックバンドの特権だと思ってYouTuberを始めたところもあるんだけど、ノンラビみたいなロックバンドがYouTubeで活動する方法もあるんだなって。ノンラビの活動を見てると、俺らもカッコいいバンドをやればよかったなって思った(笑)。あとは千葉がまとめます。
千葉 ノンラビの音楽はメロディがキャッチー。とにかくリスナーの頭に残る感じがするから好きです。
達也 面と向かって言われるとキモいな(笑)。俺らから夕闇を紹介すると……なんでしょうね。
小柳 なんもない?
晴人 いやいや(笑)。さっき、「バカにされてるんじゃないか」みたいな意見があったけど、マジでそんなことはなくて。俺らだってYouTubeを始めたときは普通のバンドマン、音楽だけで活動している人たちから、それこそ「音楽をバカにすんなよ」みたいな目で見られてると思うこともあった。実際「バンドマンがYouTuberやるなよ」「バンドなの? YouTuberなの?」と言われてきたから、夕闇に対しては仲間意識がある。
達也 2019年のイベントで夕闇が出演してるとき、競演バンドの人たちがみんなして「面白い」って笑ってたよ。
晴人 千葉ちゃんなんて全身タイツ着てたよね?(笑)
小柳 そうなんだ! もっと早く言ってよ!
達也 V系バンド主催のイベントに出て、コミックバンド然としたことをマンキンでやるのは本当にすごいから。夕闇がコミックバンドという路線に完全に振り切っている姿を見て、純粋にカッコよかったし、ライブでお客さんの気持ちを持っていくのがうまいなと思った。じゃあ太我、まとめて。
太我(Dr / Non Stop Rabbit) いろんなバンドと対バンしてきたけど、夕闇は誰よりもたぶん音楽にこだわりを持ってると思う。フレーズひとつ取っても、楽器隊3人のこだわりは相当なものじゃないかな。だから世間的には俺らのほうがちゃんと音楽やってる感が出てると思うけど、本当は夕闇のほうがしっかりしてるよ(笑)。
小柳 そう言われちゃうとよくない。うちらコミックバンドだから!(笑) 俺はボーカルだから他人事みたいに夕闇のバンドサウンドについて言わせてもらうけど、「そんなムズくする必要ある?」って思うんだよね。ちなみにノンラビってシャウトある? 俺らラウド系ってジャンルにはあるんだけど。
達也 シャウトはないな。
にっち ダウンチューニングは?
達也 ぜんぶドロップだよ。
小柳 じゃあ俺らと同じラウドか。
達也 強引(笑)。まあチューニングだけで見たらそうかもしれないけど(笑)。客層も全然違うはずだよね? 俺、見たことないけど。
晴人 夕闇ファンを見たことないって?
一同 (笑)。
達也 違う違う(笑)。好きなアーティスト名をTwitterのプロフィールとかに並べて書くじゃん。そういうときにノンラビと夕闇ってあんまり並んでない感じがするんだよね。音楽ジャンル的な違いがあって、層が違うんだろうなという感覚はあるよ。
晴人 じゃあ、今回の対バンってめっちゃいい機会やん!
小柳 そうだね。バンドもやりつつYouTuberとしても活動してるところは一緒だけど、それ以外はやってることも中身も全然違うんだよね。
それぞれのターニングポイントを振り返る
──活動を続けている中で、自分たちの音楽が認知されたなと感じた瞬間はそれぞれありますか?
達也 僕らは「いけないんだ、いけないんだ」(2018年7月発売アルバム「全A面」収録曲)を出したときですね。YouTube動画のエンディングで流したらすっごくウケて。「この人たち、動画だとめっちゃふざけてるのに最後の曲、何?」みたいな。その年の年末にヒット曲メドレーの動画を出したらボーンと100万再生を超えて、「この人たち、楽器持ったら変わる」みたいなことを言われ出したあたりから、やっと音楽をやっていることをわかってもらえるときがきたと思いました。
小柳 あーそうなんですね。僕たちはまだまだ来てないですね……。
晴人 俺らが調子乗ってるみたいになるじゃん! 絞り出せ! 謙遜すんな!(笑)
小柳 いいえ。これからも奢ることなくやっていきます。精進精進です。
晴人 そんなバンドじゃないだろ(笑)。
ともやん うーん。でもマジな話、音楽でハネたポイントがそんなにないからね。
小柳 そうなんだよ! 俺らは爆発的なポイントがないからダメで(笑)。もし認知されたなと思う瞬間があるとしたら、1つ前の事務所に入ったときかな。それまでの自分たちはずっとアンダーグラウンドでやってたけど、そこは音楽的なこともやってる事務所だったから、有名な人たちも出るようなイベントにも出られたし。
達也 あー。当時すごい話題になってた。
小柳 ターニングポイントって言ったらそこかな。あと、もし曲を挙げるとしたら、「酒ナイ」(「2019年発表の「ウォウウォウイェイイェイ酒ナイト」)かな。この曲は俺らが知らない間に飲み会のコールに使われてたみたいで、今で言うTikTokみたいな流行り方をしたときがあったんですよね。
ともやん 意図せずね(笑)。
小柳 そういう小爆発を繰り返してきた感じなので、ボーンと大きいのがないんです。バンド活動を続けるうえで、「ここまでできたら次はこれをやりたい」みたいなイメージはあるんですよ。急にデカいところでライブはできないから一歩ずつ着実に上がっていく。去年は新木場STUDIO COASTでワンマンをやったんだけど、もう必死でしたよ(笑)。わけのわからないジャンルの我々にあれだけのお客さんが来てくれたことを思うと、当たり前のことじゃないから、すごくありがたいことだと実感する。
晴人 めっちゃ真面目じゃん。
小柳 要所要所でボケてるじゃん! 緩急が大事なの(笑)。
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バンドとYouTuberで活動する2組のスタンスの違い