音楽ナタリー Power Push - sympathy
“シンデレラストーリーバンド”のこれまでとこれから
当時の自分をしばきたいです!
──今回のミニアルバムでは「あの娘のプラネタリウム」を出羽良彰さんに編曲してもらっていますね。
田口 そうなんです。高校のときに作った曲だけど、アルバムに入れるにあたってアレンジしていただいて。
柴田 編曲してもらうのは初めてで、こんなに変わるのかってびっくりしました。
──何が変わりました?
田口 音数の多さとバラエティ感ですよね。自分たちでは考えられない音がたくさん入ってました。
柴田 まず、キーボードを入れるのは自分たちにはない発想で。
田口 実はこの曲、昔は大っ嫌いだったんです。
──どうしてですか?
田口 初めて作った曲だから、なんか子供っぽいなって。歌詞の中に「飴玉ぽろぽろ」って書いてあって……当時の自分をしばきたいです!
──「いちご味の飴玉 ぽろぽろぽろ」ですね。
田口 いちご味ってなんやねん!(笑) でも出羽さんに編曲してもらって、大好きな曲になったんです。ミュージシャンってすごい!ってほんとに思いました。
──皆さんバラバラに住んでいて、ほかの曲はどのようにして制作を進めたんですか?
柴田 だいたい、私と田口の2人で曲の構成とメロディ、歌詞を作って、ドラムとベースの2人に渡すことが多いです。
田口 どうしても思い付かない歌詞はそのままにして、思い付いたら誰かが足します。
──誰か1人が中心になって作るわけではないんですね。
柴田 私と田口の半々ですね。お互いに思い付いたら作って送る感じ。今井と門枡が歌詞を送ってくれるときもあって、それを2人で足したり変えたりもします。
──全部自分で書きたい気持ちはないですか?
柴田 ないです。できたらやってほしいです!
田口 やってほしい!
──まだ宿題感覚?
田口 あっ……そうなのかも(笑)。
──sympathyの歌詞は冷めているというか、乾いているというか、少し他人事のような言葉遣いの印象があります。それは4人で書いているせいかもしれないですね。
柴田 それ、よく言われます。でもわりと、熱い気持ちを込めて書いてるつもりなんですよ。友達から「歌詞の意味を教えて」って言われたら、すごい語ってしまいますし。
──ではぜひ語ってください。例えば「さよなら王子様」の歌い出しにある「私はあなたのサカナでした」の意図は?
田口 これは語感というか、響きで入れた歌詞です。
──田口さんの言葉?
田口 ……そのような気がします。
柴田 門舛が書いた詞を田口が噛み砕いた感じじゃない? この曲は歌詞を変えるか変えないかで揉めたんですよ。
田口 全然決まらないところがあって、みんなで練りました。
柴田 歌録りをする直前に、田口が歌詞を変えたんです。でも、絶対に変える前のほうがいいと思って、レコーディングが始まってるのに電話して相談しました。それは悪いことじゃなくて、みんなで歌詞を作ると新しいものができるんです。自分だったら「王子様」っていう言葉は使わないけど、このときはぴったりハマりましたし。
メンバーそれぞれの人間性
──「この4人以外はあり得ない」ということなので、皆さんのパーソナルな部分も聞かせてください。まず田口さんから見て、柴田さんはどんな人ですか?
田口 突拍子もないことばっかりで、いつも振り回されてます。でもそれがsympathyを引っ張ってくれてる面でもあるんです。正義感が強くて、頼りになるときもある。
──柴田さんから見て田口さんは?
柴田 カリスマです。私は音楽に疎かったので、今聴いてる音楽は全部田口に教えてもらいました。あと、しゃべることが全部面白いです。ハイセンスです。
田口 ハードル上がるからやめて!(笑)
──どんな音楽を教えてもらいました?
柴田 相対性理論、東京事変、椎名林檎とか。ほかにもすっごい渋いのを聴いてて。なんやっけ、ミッシャ……?
田口 ミッシェル。
──THEE MICHELLE GUN ELEPHANT?
柴田 そうそう、それ。全然知らなかったんですけど、聴いたらめっちゃカッコよくて。田口から教えてもらうことに影響を受けてきたので、師匠みたいな存在ですね。私はユーミンとかシャ乱Qとか、お母さんが聴いてる音楽しか知らなかったから。
──ではお2人から見て、ベースの今井さんはどんな人ですか?
柴田 まったく悩まない子です。私と田口と門舛が3人で悩んでても、全然気にしない。前に私がすっごい不満がたまって大ゲンカして、「もう解散じゃー!」って1人ずつ電話したことがあったんです。でも今井と話したら、文句言うこと1つもなくって。
田口 今井には言うことがなんにもないんです。
柴田 本当にいい子なんですよ。
田口 みんなが悩んでるときに今井が「こうすればいいんじゃない?」って言ったことが、だいたいその通り。
柴田 鶴のひと声係やね。
田口 いい意味で空気みたい。
柴田 透明感あるよね。ひときわマイペースで、将来すごい人になりそう。
──では次に、ドラマーの門舛さんはどんな人ですか?
柴田 すごい滑舌が悪くて、流されやすい人です。
田口 それ悪口やん(笑)。優しい子で、ケーキを焼いてくれたりします。
柴田 絶対にいじられるタイプですね。会話に参加してなくてもいじられてる。
田口 でもまとめ役でもありますね。バンド内でケンカするのはだいたい私と柴田なんですけど、仲裁に入ってくれるのはいつも門舛。仲裁するかいじられるかですね。
柴田 音楽的にも、すっごいマジメです。絶対リズム外さない。性格が音楽にも出てます。
次のページ » 4人でいられるだけで幸せだったけど
収録曲
- 女子高生やめたい
- さよなら王子様
- 紅茶
- 有楽町線
- 泣いちゃった
- あの娘のプラネタリウム
sympathy(シンパシー)
柴田ゆう(Vo, G)、田口かやな(G)、今井なつき(B)、門舛ともか(Dr)からなる高知県出身の女性4人組ロックバンド。高校の部活動で結成され、初ライブだったコンテストで優勝したのち、地元のライブハウスでライブ活動を行いながらオリジナル曲を作り始める。2014年8月に1stミニアルバム「カーテンコールの街」を発表。その直後に事務所およびレーベルと契約し、2015年7月にミニアルバム「トランス状態」でビクターエンタテインメント内のレーベル・CONNECTONEよりデビューを果たす。