原点回帰のポップパンクチューン
──1曲目を飾る「White Flag」は軽快なポップパンクチューンですね。原点回帰の意味合いが込められているとのことですが、なぜこのタイミングで原点回帰を?
YUICHI 去年はタイアップも続けてやらせてもらったんですけど、その中でアニメやゲームといった作品に世界観を合わせていく楽しさを知って。面白かったし、自分たちの実にもなった。だけどその一方で、純粋に自分たちが作りたいものだけを作るっていう工程とはまたちょっと違うので、改めて「俺たちっていったいどんなバンドなんだろう?」というところに立ち返って考えるようになって。その結果、出てきたのが「White Flag」だったんです。自分たちが好きなことをやってできた曲を、ジャンル分けしたらポップパンクになっただけというか。すっごい作り直しましたけどね(笑)。
──今作は隅々まで練ったんですよね。
YUICHI はい。原点回帰と言っても俺は最近海外のポップスをよく聴いてることもあって、ボーカルチョップを入れたり、そういう進化はちゃんと織り交ぜられてると思います。
KO-TA 僕はYUICHIとは逆に、自分の中で、10代の頃に聴いていたバンドをまた聴き直すっていうブームがここ2、3年くらいあって。ポップパンクはもちろんなんですが、ハードロックとかも聴いていて、その当時自分が好きだったものを今回消化して出したいなと思っていたので、今回の俺のギターソロはちょっと古臭いかなと(笑)。
──ものすごくメタリックですよね。
KO-TA 「21世紀にやっていいのか?」みたいな(笑)。
KOJI ギターソロがなくなりつつある今の時代に、超絶ソロをね(笑)。
──しかもめちゃくちゃ長いですよね。
YUICHI 今時そんなやつおらんやろって(笑)。
KO-TA イントロがすごく現代っぽかったので、逆に間奏は少し懐かしいというか、当時自分がカッコいいと思ったようなものをノンフィルターで詰め込みました。
ポップパンクのシーンを持ち上げられるような役割に
──ひさしぶりに直球のポップパンクチューンを作ってみていかがでした?
KOJI ラウドロックとかギターロックは流行ってるのに、ポップパンクはなんでパッとしないんだろうって思っていて。すごくいい音楽なのに表に出てこないってことは俺らがやるしかねえなっていうのは思いましたね。
──ポップパンクシーンを背負ってるという責任感のような?
KOJI 背負ってると言ったら大それてますけど……最近もポップパンクのいいバンドがいっぱいいるので、そういうバンドを集めて何かやれたら面白いかなと思いますね。
──若手のポップパンクのバンドの数も、そのライブを観に行くリスナーの数も増えてきて、これからシーン全体が盛り上がっていきそうな印象があります。
KOJI 確かにもうちょいみたいな感じはありますよね。火が付きそうな感じ。
KO-TA ポップパンクを盛り上げようとしてる層が確実にいますよね。ICE GRILL$が海外からいろんなバンドを呼んで、日本のポップパンクバンドと一緒にツアーを回ってるじゃないですか。しかも東名阪だけじゃなくて、すごく細かく回ったり。そういう人がいるのは心強いですね。
YUICHI そうだね。あと若手バンドでもポップパンクのバンドだけを集めてイベント打ってるのを見かけたし。
KOJI この間対バンした若手バンドもすごいよかったよね。
──実際、徐々に盛り上がってきているんですね。
YUICHI そうですね。でも、じゃあポップパンクがすっげえ人気あるのかって言われたらそうじゃない。いい音楽をやってるいいバンドがいて、盛り上げようとしている人たちもいっぱいいるのに、そこにたどり着けてないっていうのはやっぱり悔しいから、みんなで盛り上げていきたいですよね。
──State ChampsがSWANKY DANKと対バンしたいと言っていたという話も聞きました。
KOJI みたいですね。ありがたいです。
──SWANKY DANKが日本のポップパンクシーンを引っ張っていく存在になっていると思います。
YUICHI そうですね。みんなで盛り上げたい。若手ともいっぱいライブしたいし、ポップパンクのシーンを持ち上げられるような役割になりたいです。
KOJI ポップパンクのバンド、全部エイベックスに入れちゃえばいいのに(笑)。
一同 あはは(笑)。
白旗を自分たちの色に
──話が逸れてしまいましたが、「White Flag」の歌詞についても聞かせてください。この曲はどのようなことを歌っているんですか?
YUICHI ミニアルバムのタイトル「WHITE FLAGS」とリンクさせたくて作った曲で。「WHITE FLAGS」とか「White Flag」って直訳すると「白旗」で、パッと聞きマイナスな印象ですよね。「白旗を上げる」の意味は“降参する”とか“あきらめる”とかだし。だけど俺たちの掲げる「WHITE FLAGS」は、“何色にも染められる白い旗”なんです。前作の「Smokes」に収録されている「Colors」も煙を何色にも変えていけるっていう思いを込めて作ったんですけど、「狼煙の次には何があるのか? 合戦じゃねえか?」って考えて。「White Flag」には「その合戦で自分たちの色の旗を振って戦っていこうぜ」という思いを込めています。例え白旗を上げたとしても、その白旗を自分たちの色に変えていこうぜって。
──あきらめたときに上げる“白旗”を逆手に取ったんですね。
YUICHI そうです。そこから「White Flag」では「あきらめないで何度でも向かって行くのが俺たちの“White Flag”だ」という内容を歌っています。バンドには浮き沈みがあって、進まなければそこで終わりだけど、苦しくても進めば先には必ず結果がある。だから白旗を振ったとしてもそのあと何をするかで変わってくるんだよっていう、決意のような気持ちが込められた歌です。
──ミュージックビデオはユーモアのある作品ですね。それこそ2000年代のポップパンクのMVみたいな。
YUICHI まさにですね。
──ここまでユーモラスなMVはバンドにとっては初ですよね? 撮影はいかがでした?
KOJI ちょっと不安でしたね。撮影前に監督と話し合ったので変にならないのはわかってたんですけど、いざ撮影し始めたら「やりすぎじゃないかな?」って。でもできあがったのを観たらいいものに仕上がっていたのでよかったです。
YUICHI 監督は「Start Again」や「Amazing Dreams」も撮ってくれている、ずっと一緒にやってきた方で。カッコいいMVは俺らも散々やってきたから、今回はとことんふざけて自分たちが楽しめるようなMVにしようぜって話をしたんです。KOJIが言った通り、撮影しながらどんどん不安になったんですけど、初めて何かをやるときは必ず不安を伴うものなので、「自分たちがやりたいんだから大丈夫」と思って信じて、あとは監督に「お前の腕次第だぞ」って言っておきました(笑)。
──撮影中の印象的なエピソードなどがあれば教えてください。
YUICHI 真剣にふざけすぎてケガしました(笑)。
──えっ!
YUICHI 投げてもらったバスケットボールを俺が受け取れなくて、うさぎの足元に転がるっていうシーンがあるんですけど、実際にやってみたらボールをキャッチしちゃって。「取れないように投げてくれ」って言って投げてもらったら、本当に取れなくて転んでケガしました(笑)。
KO-TA 俺はMVの中で大食い対決をするんですけど、対戦する相手に「いっぱい食べるの?」って聞いたら「全然食べられないんです」って(笑)。
YUICHI 大食いの子かと思ったら全然だった(笑)。
KO-TA かわいそうにと思いながら見てました(笑)。
──KO-TAさんは食べるのが苦しくなかったんですか?
KO-TA 苦しかったです! 監督に「食べるふりでもいいですよ」って言われたんですけど、「リアルを求めましょう」って自分から言って。でも後悔しました(笑)。
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KO-TAがトラックを作った「Tell Me」