7歳から作詞作曲
──メジャーデビューシングルには、ご自身で作詞作曲された2曲が収録されています。
これまでもソングライティングはしていましたけど、自分が今何を歌うべきなのかをしっかり考えたうえで曲作りをしたのは今回が初めてでした。歌いたいことや伝えたいことは明確にあったから、けっこうすんなり作れた感じではありました。アレンジに関しては、専門的な用語があまりわからないのでイメージをお伝えするのが難しかったですけど、アレンジャーの方がうまく感じ取ってくださって。結果、私の想像以上の仕上がりにしてくださったのがうれしかったです。デビューシングルとしては大満足ですね。
──これまではシンガーとしての側面にフォーカスした活動が多かったので、ご自身でソングライティングまでできることに少し驚きました。聞けば7歳の頃から作詞・作曲をされていたそうですね。
はい。当時習っていたエレクトーンで、父に手伝ってもらいながら作ってましたね。それ以降は日々の生活の中で感じることを常にメモしていましたけど、自分の気持ちを曲にすることが恥ずかしい時期もあって、なかなか作れなかったりもしたんです。でも、中学を卒業するときにクラスメイトに向けた曲を作って歌ったら、みんなが感動してくれたんです。そのときに自分の曲で感動してくれる人がいることに喜びを感じました。それからは父や母の誕生日とか、何かきっかけがあるたびに曲作りを続けていたんです。対象がピンポイントだから大勢に向けて披露するってことはまったくなかったですけど(笑)。
──詞や曲はどんなスタイルで作ることが多いですか?
詞は基本、自分の感情を書きます。あとは身近な人の思いを想像して、それを私なりの言葉にする。あまり経験はないですけど、想像でも曲が書けるわけだから、フィクションのストーリーをもとにした曲も書けると思います。メロディは基本的に鼻歌みたいな感覚で作っています。絶対音感は持っているので、頭の中で気持ちいい音を探していく感じ。最近はピアノを改めて習ったりもしていて、鍵盤を弾きながら作曲することも増えてきてはいますね。頭の中だけで作るのとは出てくるメロディが変わってくる部分もあるので、そこが面白いんです。
──ご自身から生まれる楽曲に何か傾向ってあります?
私が作るとマイナーコードになっちゃうことが多くて。どうしても自分の好きなゴスペル感とかブルースっぽさが出ちゃうから、基本的に明るくない(笑)。今後はメジャーコードの曲にも挑戦したいなとは思ってるんですけどね。まあでも、そういうタイプの曲はほかの方に作っていただければいいかなとも思っています。
──シンガーソングライターであることに固執せず、提供曲をシンガーに徹して歌うこともアリだと。
そうですね。自分だけで作っていると世界が狭くなっちゃうような気がして。自分だけでは出てこない部分を引き出してくれる音楽、ジャンルにどんどん出会っていきたいんです。だから自分で曲を作ることだけにこだわってはいないですね。
今の自分の歌の完成度を余すことなく
──シングルの1曲目には鈴木さんのルーツであるゴスペル色を強く感じさせる「FLY MY WAY」という楽曲が収録されています。
この曲は自分の周りの人たちに向けて書きました。テレビにたくさん出させてもらうようになったり、メジャーデビューが決まったりしてから、友達に「瑛美子が遠くに行っちゃう」って言われることがすごく多かったんです。だから「私はこれからも一緒、遠くになんて行かないよ」という思いを曲にしてみました。
──英語がたっぷり使われていますよね。
多いですよねー(笑)。私の場合、歌いやすさを考えるとどうしても英語になっちゃうんです。
──この曲で使われる声の音域はかなり広いですよね。
そうなんです! 私は地声でもけっこう高いキーまで出るし、逆に低いところもかなり出る。なのでメジャー最初の曲は、音域や表現の幅、フェイクを含めすべてのテクニックを詰め込みたいと思ったんですよね。もう1曲の「Soul Full of Music」と合わせて、今の自分の歌の完成度を余すところなく表現してみました。
──一方、ホーンが印象的に使われた艶っぽいナンバー「Soul Full of Music」では、ご自身のことについて歌われていますね。
自己紹介的な曲です。以前、男友達とカラオケに行こうとしたときに、母がすごく心配して怒ってきたんです。そのときに私は「何もないんだから別にいいじゃん」って思ったんですけど、要はそういった自分のわがままな部分とか、当時と今も含め普段思ってることを全部爆発させて書いてみたんですよね。
──曲の冒頭はまさに今のお話通りの内容に(笑)。
まんまですよね。母のおかげでいい曲ができました(笑)。
──音楽に対してもわがままに、思うがままにやればいいというスタンスですか?
音楽に関しても自分でリミッターをかけず、自由にやっていけたらいいなって思ってます。歌もあまり音程なんかを気にせず、バーンと思うがままに歌ったほうがいいものになるときもあるんじゃないかなと思うので。そんな思いを込めたので、この曲はすごく気持ちよく歌えてますね。ビートにも乗りやすいし。
──途中でガラッと景色が変わる展開が面白いですよね。
今回は父にちょっとアドバイスをもらってそういう展開になりました。一番近くでずっと私の歌を聴いてくれている存在なので、いろんなアイデアをくれるし、ディスカッションしやすいのがいいですね。
日本人の代表として海外で勝負したい
──現在の鈴木さんの魅力がてんこ盛りの2曲でメジャーデビューを果たしたわけですが、ここからはどんな活動をしていきたいですか?
私はやっぱりライブを大事にしていきたいです。ライブという空間で聴かせる歌、表現力こそが自分の強みだと思うし、そこにはきっと音源以上の何かがあるはず。それを体感してほしいなって。自分の好きな海外アーティストはみんなライブが魅力的なので、自分もそういった人になりたいんです。
──世界を視野に入れた活動もしたいですか?
もちろん。できることなら海外にも出ていきたいです。まずは日本で鈴木瑛美子にしかないスタイルを確立したうえで、日本人の代表として海外で歌える日が来ればいいなって。
──じゃまずは日本でアーティストとしての地盤をしっかり固めていくと。
はい。日本で唯一無二のアーティストになりたいと思っています。
──来年3月にはミュージカル「ホイッスル・ダウン・ザ・ウィンド」への出演も決まっているんですよね。
そうなんです。以前、父がプロデュースしたミュージカルに出演したことはあったんですけど、プロのアーティストとしてミュージカルに出演するのは初めてなんです。役を演じながら感情を込めて歌うこと自体もほぼ初めてなので、未知の世界すぎてどうなるのかまだわからないですけど。私が出演させていただくのはアンドリュー・ロイド=ウェバーの作品なんですけど、実は父もロンドンで彼の作品に出演したことがあるんです。そういう意味ではすごく運命を感じるので、上演がすっごく楽しみです!
──鈴木さんはさまざまなことに恐れず挑戦していくスタンスなんですね。
とにかくいろんなことがやりたいんです。音楽以外の面でも、写真を撮ること、絵を書くことなんかも大好きなので、そういった趣味を生かしたこともどんどんやっていきたいです。でもまず今は音楽ですね。大好きな音楽で自分の世界をどんどん広げて、それをたくさんの人に聴いていただけるように一生懸命がんばっていきます!