皆さんの気持ちに応えられる歌を歌いたい

──もう1つのカップリング曲「Happiness」も90年代を感じるというか、いわゆるニュージャックスウィングですね。

ニュー……ジャック？

──鈴木さんが生まれる少し前、90年代初頭に流行した音楽ジャンルなんですけど、こういうR&B / ヒップホップテイストの曲は、鈴木さんのディスコグラフィにはなかったですよね？

歌ったことのないタイプの楽曲がきたなと。このシングルは、表題曲の「もっと高く」がすごくさわやかで王道的なアニソンで、「Cocoon」がクールでカッコいい方向に振り切れている楽曲なので、この「Happiness」はかわいい楽曲にしたいという思惑があったんです。ただ、デモを聴いたときに、フェイクのパートはわりとカッコいい要素も入っていて。なので、最初は若干カッコいい側に引っ張られてしまっていたんですけど、自分の中で「かわいい歌い方とは？」といろいろアプローチを変えながら録っていきました。結果、ちょっとほわーんとした感じになったというか。

──「Cocoon」と比べると、肩の力が抜けていますね。

休日の朝とかに、ゆるっと聴いていただけるような楽曲になったんじゃないかなと思います。歌詞にも「楽に行こう 君は君らしく」とあるように、皆さんも肩の力を抜いていただいて。ライブでも一緒に手を振ったりして歌いたい楽曲ですね。

──今日のインタビューの最初のほうで鈴木さんは「歌で人とつながっていきたい」とおっしゃっていましたが、「Happiness」はそういう楽曲でもありますよね。

そうですね。私のことを応援してくださる方って、親目線で私のことを見てくださっている方がけっこう多くいらっしゃって。「温かく見守ってくださってありがとうございます」といつも感謝していますし、皆さんのそっと包み込んでくれるような優しさを受け取りながらアーティスト・鈴木愛奈は育っているので、私もそれに応えられる歌を歌いたいと思っています。例えば1stシングルのカップリング曲の「繋がる縁 -ring-」とかもそうだったんですけど。

──鈴木さん流のウエディングソングですね。

私のファンになったことがきっかけで、つまりファンの方同士でご結婚されたりお付き合いが始まったりしたという報告をたくさんいただいて、それがすごくうれしかったし、とても素敵なことだと思って。歌で「おめでとう」と言いたくて作っていただいた楽曲であり、ファンの皆さんのための楽曲だったので、それを歌えて私も幸せでしたね。

ライブを楽しめるときがきたら、そこで爆発させたい

──最初の話に戻りますが、もともとランティスからデビューしたいという気持ちがあった鈴木さんとしては、そのランティスでオープニング主題歌としてシングルを切るということに対して、相応のプレッシャーもあったのかなと。

もう、プレッシャーだらけでした。エンディング主題歌を歌わせていただいたときも飛び上がるぐらいうれしかったんです。昔はテレビでランティスさんのCMが流れたらお母さんに「これこれ」と言ってたのに、そのCMに自分が出て、自分の歌が流れてくるんですから。それが今度はオープニングということで、胃がキリキリするような思いでしたね。だから「いわかける！」の第1話もドキドキしながらリアルタイムで視聴していたんですけど、皆さんと同じタイミングで観ていたおかげで、皆さんの反応もSNSを通じて知ることができて。そこで自分が思っていた以上の高評価をいただけていたので、すごく安堵したというか、プレッシャーから解放された気がしました。

──逆に、大きな目標が達成されたことで、燃え尽き症候群みたいになったりは？

いや、それはないですね。今回オープニングテーマを歌わせていただけたことが本当にうれしかったので、これからも主題歌を任せていただけるようなアーティストになっていきたいなと、改めて思いました。

──それ以外に、今後の鈴木愛奈としての目標は？

一番の目標はやっぱり横浜アリーナという大きな舞台に立つことなので、引き続きそこに向かってがんばっていきたいです。ただ、今はこういう状況なのでまだ大きなイベントは難しいんですけど、一方で今年はオンラインのイベントにたくさん出させていただいて。毎回とても緊張するんですけど、その1回1回がすごく自分の糧になっているという実感があるんです。なのでそういう形でもっと場数を踏んで、いつか皆さんと一緒にライブを楽しめるときがきたら、そこで思いを爆発させたいなと。

──ファンの皆さんとの相乗効果で、すごい爆発になると思います。

やっぱり、会いたいのになかなか会えないという状況が続いているのは私もつらくて。今まではライブだけじゃなくてお渡し会とかもあったので、だいたい月に1度ぐらいの頻度で皆さんとお会いすることができていたのに、急にそれがなくなって心にぽっかり穴が空いてしまったような。でもそれによって私は皆さんに支えられてきたんだということに気付けたので、それを直接お伝えしたいし、とにかく皆さんの前に立てる日を待ち望んでいます。