SUSHIBOYSが11月21日にミニアルバム「350」をリリースする。前作「WASABI」をリリースしてからさまざまなイベントに出演し、MAGiC BOYZへの楽曲提供、私立恵比寿中学やlyrical schoolとの共演など、アイドルとの制作にも携わったSUSHIBOYS。「350」はそんな彼らの勢いがそのまま反映された作品だ。今回のインタビューでは、ミニアルバムの内容と、12月のツアーを最後に脱退するエビデンスについて、ファームハウスとサンテナに話を聞いた。
取材・文 / 宮崎敬太 撮影 / マスダレンゾ
エビデンスが脱退した理由を俺らが話すべきじゃない
──12月の全国ツアーをもってエビデンスさんがSUSHIBOYSから脱退することが発表されました。「350」の制作にどんな影響を及ぼしましたか?(参照:SUSHIBOYSからエビデンスが脱退)
ファームハウス 「350」が完成してからエビデンスが脱退することになったんですよ。だから制作に関しては特に影響はないです。でも彼のリリックには、いろんな心境が込められてるのかもしれない。そこは俺らじゃわからないんですよね。
──けど歌詞カードにはエビデンスさんのヴァースが載ってないですよね?
ファームハウス これには深い意味は全然なくて、歌詞カードを作る前にエビデンスがリリックのテキストデータを消しちゃったっていう(笑)。別に仲が悪くなったわけではないし、将来的にまた一緒にやる可能性がゼロというわけでもない。とは言えあいつが脱退した理由は、俺らが話すことではないと思っています。
──なるほど。SUSHIBOYSは前作「WASABI」リリース後、MAGiC BOYZへの楽曲提供、私立恵比寿中学やlyrical schoolとのコラボなど、アイドルとの共演が続きました。
サンテナ 俺らは俺らという感じだし、実は最初アイドルに対してちょっと色眼鏡で見てたところがあったんですよ。でも実際にライブを観ると、ものすごい大きな会場にも物怖じせずパフォーマンスしてて。しかも運動量がすごくて精神面にもタフ。そこは自分たちも見習いたいと思いましたね。
ファームハウス アイドルと一緒に制作したことで、3グループのファンの人たちが俺らのライブにも来てくれるようになったんですよ。すごく熱心に音楽を聴いている人が多くて、ライブ会場でリリスクのファンの人から「曲聴きました」って言ってもらうこともありました。
──SUSHIBOYSはヒップホップシーンにとらわれず自由に活動していますね。
ファームハウス 最近のUSヒップホップを聴いてると「もはや何やってもいいでしょ」って思っちゃうんですよ。今のUSで流行ってるヒップホップはラップというより歌みたいな曲ばっかりじゃないですか? 個人的には「これはもはやヒップホップじゃない」と思うことも多くて。俺の中にあるヒップホップは、キレのあるスピットをブーンバップの上で聴かせる1990年代のヒップホップなんです。でもUSがそういう状況なら、俺らも好き勝手やっちゃおう、と。
「350」は埼玉県入間郡越生町の郵便番号
──タイトル「350」にはどんな意味があるんですか?
ファームハウス これは俺らが住んでる埼玉県入間郡越生町の郵便番号ですね。原点回帰的な。
──今回の作品は山梨県甲府市を拠点に活動するstillichimiyaにも通じるものがあると思いました。地元をレップするのはヒップホップのマナーですからね。ちなみに普段はどうやって曲を作るんですか?
ファームハウス 最初にテーマを決めることが多いかな。ライブをしに行くとき、いつも車なんですが移動時間がとにかく長いんですよ。だから景色とか見ながら「次の曲、どうしようか?」みたいにみんなでいろいろ話します。1曲目の「Shopping Cart Racer」も、「スーパーマーケットをテーマにした曲を作りたいね」みたいな移動中の会話から生まれました。で、そこからビートを決める。外のトラックメイカーのビートを探すこともあれば、自分たちで作っちゃうこともあります。
──「Shopping Cart Racer」はユーモア満載ですが、裏にかなり深い思索が隠されていると思います。
ファームハウス 自分のヴァースはスーパーマーケットの入り口からキャッシャーまでを人生に見立てて歌詞を書きました。俺は、お金や物体以外のもの、つまり経験や思い出はすべて天国に持っていけるって考えてるんです。自分の人生に必要なものを選んで生きていくと言うか。そういうのが反映されてます。サンテナは主婦をカッコよく描いてるよね。
サンテナ スーパーを一番利用するのは主婦で、彼女たちはみんな新聞広告とかをマメにチェックして、いろんな商品を1円でも安く買おうと知恵と体力で戦ってる。それをレースに見立てて書いたんです。
──サンテナさんのヴァースは地方の貧困をテーマにしたのかと思ってました。
サンテナ その視点、ヤバいですね(笑)。全然そこまで考えてなかったです。
ファームハウス でも合ってるっちゃ合ってるんですよ。越生は地価が安いベッドタウンで、所得の低い人たちもたくさん住んでるから。俺たちはそういうところで育ったんです。
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カンボジア人の適当さに感動する
- SUSHIBOYS「350」
- 2018年11月21日発売 / Trigger Records
-
[CD] 1620円
TRGR-1010
- 収録曲
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- Shopping Cart Racer
- 味の素
- Drivin'
- 8月32日
- 遊戯王
- USB
- とりま(Bonus Track)
- ツアー情報
SUSHIBOYS「350」ワンマンツアー2018 -
- 2018年12月2日(日) 東京都 WWW X
- 2018年12月7日(金) 愛知県 CLUB ROCK'N'ROLL
- 2018年12月9日(日) 北海道 Spiritual Lounge
- 2018年12月12日(水) 大阪府 LIVE HOUSE Pangea
- 2018年12月14日(金) 福岡県 graf
- 2018年12月22日(土) 埼玉県 G-Style ※追加公演
- SUSHIBOYS(スシボーイズ)
- ファームハウス、エビデンス、サンテナの3MCで構成される、埼玉県出身のヒップホップグループ。3人は同じコンビニエンスストアで働いていた経験があり、廃棄になった鉄火巻きをほおばるサンテナとエビデンスを見たファームハウスがクルー結成を決意する。独創性あふれる楽曲やミュージックビデオが話題となってCDリリース前からその活動に注目が集まり、2017年10月にはデビューミニアルバム「NIGIRI」を、2018年4月に初の全国流通盤となるミニアルバム「WASABI」をリリース。またMAGiC BOYZへの楽曲提供、私立恵比寿中学やlyrical schoolとの共演など、アイドルとの制作でも話題を集めた。2018年11月には新作CD「350」を発売。本作を携えた初のワンマンツアー「SUSHIBOYS『350』ワンマンツアー2018」をもってエビデンスがグループを脱退することが決まっている。