Superflyの新たな扉が開いた、ドラマ「マル秘の密子さん」主題歌「Charade」インタビュー

8月17日に配信リリースされたSuperflyの新曲「Charade」が話題を呼んでいる。

「Charade」は福原遥や松雪泰子が出演している日本テレビ系連続ドラマ「マル秘の密子さん」の主題歌。Superflyはドラマの制作チームから「あなたが変われば世界が変わる」というキーワードや、「今まで作ったことのないようなおしゃれな雰囲気で」というリクエストをもらい、彼女にとって新境地とも言える組曲のような複雑な構成の楽曲を書き下ろした。

自身の身の周りで起こったことも歌詞に反映したという「Charade」。どんな思いでこの曲と向き合ったのか、越智志帆がその制作秘話を明かす。

取材・文 / 廿楽玲子

お客さんとともに“天国”へ

──まず、春に行われたアリーナツアー「Superfly Arena Tour 2024 "Heat Wave"」について聞かせてください。

もうずいぶん前のことに感じるんですけど……あのツアーは新感覚でした。

──新感覚ですか。

ツアー前はよくあることなんですけど、初日が近付くにつれてだんだん眠れなくなってきたんです。知り合いに「どうしよう、眠いのに眠れない」と言ったら、「眠いと思ってるってことはちゃんと副交感神経が優位になってるから、そのままいけば大丈夫」と言われて。これまで眠れないことにすごく焦ってたんですけど、今回は「そうだ、私はもうちゃんと休んだから大丈夫」と思うようにしたんです。そしていざステージに立って照明が当たった瞬間、目が覚めて心身が整った感じになりました。

──「あ、整った」とはっきり感じました?

感じました。ステージに立ったという安心感に満たされて、心がグーッと開いて天国にいるみたいでした。リラックスしてステージに立てたらいいなとずっと思ってたんですけど、実際そうなるのは少し怖さもあったし、力を抜こうと意識すればするほど気負っちゃったりもして、なかなか思い通りにはいかなかったんです。でも今回リラックスできて、そうなると自然といい表現が降りてくる感じで、リラックスの先はこういうことが起きるんだと実感しました。

「Superfly Arena Tour 2024 "Heat Wave"」の様子。(撮影:森好弘)

「Superfly Arena Tour 2024 "Heat Wave"」の様子。(撮影:森好弘)

「Superfly Arena Tour 2024 "Heat Wave"」の様子。(撮影:森好弘)

「Superfly Arena Tour 2024 "Heat Wave"」の様子。(撮影:森好弘)

──公開された「春はグラデーション」のドキュメンタリームービーからも伝わってきますが、アリーナという広い会場なのに、すごくアットホームな空気感でしたよね。まるでお家に親しい人を招いているかのような。

そうかもしれない。私がステージ上で体と心をストレスのない状態に持っていくことで、お客さんにも日頃のストレスとかを1回全部捨ててもらい、一瞬天国みたいなところに連れて行けるような空間作りをしたいなと思っていたんですけど、それができた気がします。しかもライブでこういうやり方があるんだと気付いたら、制作もリラックスモードでできるようになりました。

今まで作ったことのないようなおしゃれな雰囲気で

──では、新曲「Charade」もそんなリラックスモードで制作できたんですか?

はい。2週間くらいお休みがあって、そこでは本当に何もしないと決めて、お家の中でできるだけゆっくり時間が流れるように過ごしていたら、不思議と曲のアイデアが降りてきて「これはもしや?」みたいな。制作するときはいつも、何かをつかみに行かないと出てこないんじゃないかと思ってたけど、むしろ何もしないように努めていると頭の中が整理されるみたいです。

──新曲「Charade」は、どんな手を使っても依頼者を成功させるトータルコーディネーター・本宮密子を主人公としたドラマ「マル秘の密子さん」の主題歌ですが、制作チームからはどんなリクエストがあったのでしょうか。

「あなたが変われば世界が変わる」というキーワードと、「アンビバレンス」というテーマがあるとお聞きしました。世界観としては、とにかくファッショナブルで優雅。「Superflyが今まで作ったことのないようなおしゃれな雰囲気でお願いします」というリクエストをいただきました。

Superfly

──今までにないものを。難しいですね。

「なんで私におしゃれなものを?」と不思議に思ったし、面白いなって。ただ、そのテーマをお聞きする前、ざっくりミステリーという内容だけを聞いていたときにサビのメロディが自然と出てきていたんですよ。それは“おしゃれ”を意識していなかったので「ヤバいな、全然違う」と思って、でも直感は絶対大事にしたほうがいいから、逆に思いっきり違う世界をAメロ、Bメロで表現したらどうかなと考えました。

──Aメロがすごく不思議な印象で、最初に聴いたとき「えっ、どうやって次につながるの?」と思いました。

ですよね。私も作りながらそう思ってました(笑)。実は最初にサビができたとき、「よっしゃできた、あとはプロデューサーの木﨑(賢治)さんと宮田('レフティ'リョウ)さんと一緒に作ればどうにかなる」と思ってたんです。そうしたら木﨑さんから「これはほかの部分も自分で作ったほうがいいんじゃないですか」という思わぬ言葉をいただいて、慌てちゃって。でも、そう言ってもらえるということは何か意味があるんだろうなと思って、無理矢理にでもやるしかないと、そこでギアが入った感じがありました。