タイアップにヒントを得て自分の中に存在していたものが引き出される
──シングルの2曲目には、現在放送中のドラマ「あなたには帰る家がある」の主題歌として書き下ろされた「Fall」が収録されています。この曲の作詞と作曲は越智さん自らが手がけましたね。
「Bloom」から一転、ものすごくマニアックな曲が入っています。2曲が並ぶとすごいインパクトですよね(笑)。恋愛曲と言う意味では、こちらはドロドロな恋愛曲。ドラマの台本や、いくつかのキーワードをいただいたうえで書いたんですけど。
──「作詞や作曲に関しては誰かに向けた手紙や贈り物のような感覚がある」と先ほどお話しされていましたよね。そういう意味ではタイアップ曲を作ることが得意という感覚もあるんじゃないですか? この曲もドラマの内容にがっちりハマっていますから。
昔はけっこう苦手だったんですけど……今は得意になったみたいです(笑)。先方からいただいたキーワードをヒントに、「は!」っとひらめく瞬間がすごく楽しいんですよ。自分の中に存在していたものがそういったヒントをきっかけに引き出される感覚もあるので、そこはありがたいなって思います。「こんな曲が出てきたぞ!」ってみんなに驚いてもらえたらうれしいですね。
──ジャジーなサウンドの方向性は越智さんの中で最初からイメージがあったんですか?
そうですね。疾走感のあるテンポの速い曲っていうオーダーがあったんですけど、今の私としてはスピード感のある8ビートで時を刻むように進んでいく曲はちょっとイメージできなかったんですよ。そこで思いついたのがスウィング感のあるジャズっぽい雰囲気で。そのアイデアが出たことで、そこに引っ張られるようにちょっと怪しげなメロディや妖艶な言葉が出てきたりしたんですよね。
──この曲のアレンジも蔦谷さんですね。
今まではわりとざっくりしたイメージでリクエストをすることが多かったんですけど、今回は私がデモをちょっとだけ作って、それをお渡ししてアレンジしていただいたんです。デモの雰囲気をあまり崩すことなく、うまく増幅しながら仕上げていただきました。
「Fall」のストーリーは続く?
──レコーディングにはSOIL & "PIMP" SESSIONSの秋田ゴールドマン(B)さんとみどりん(Dr)さんが参加されています。ハンパないグルーヴ感が最高に気持ちいいです。
そうなんですよ。お二人の独特の間合いとグルーヴがあるので、ほかのミュージシャンの方々も演奏しやすかったと思うし、私自身もすごく歌いやすかったです。秋田さんは歌に寄り添ってフレーズを考えてくださったりもしたので、すごく助けられた部分もありました。
──そして歌詞はかなり刺激的で強いインパクトを持つ言葉選びがなされていますね。
昔からこういうテイストの歌詞が書きたかったんですけど、なかなか機会がなくて。今回は自分の中でいろんな言葉を転がしまくって、そこで残った言葉をまとめていきました。1週間くらい、毎日寝る前にいろんな妄想をしてましたから。汗びっしょりかきながら。で、「もう寝れない!」みたいな(笑)。そんなことをして書いた歌詞なので、不思議な言葉がいっぱい並んでいます。
──男性目線で聴くとちょっと怖かったんですけど(笑)。こんなふうに誘われたら絶対“魔が差す”こともあるよなあって。
あははは(笑)。でもね、この曲の主人公は女性ではないんですよ。人間に“魔を指す”悪魔のような存在なんです。それが使命だから「しょうがなくやってんのよ」みたいなイメージと言うか。こういう悪魔に付け込まれないように、隙を見せちゃいけないよというメッセージも込めつつ。
──じゃあボーカルに関しては、その悪魔になりきる感じで?
そうなんですよ(笑)。罠に引っかかってくれた人間に対して「バカだな」って、ちょっといたずらっぽく歌うと言うか。悪魔のくせにちょっと人間っぽいところもあったりするので、その微妙な感情も表現しつつ。難しさもありましたけど、楽しみながらレコーディングできましたね。ちなみにこの悪魔のストーリーには続きがあるんです。ここからさらにドロドロして、不幸な話になっていくという(笑)。こういう歌詞を書くのは本当に楽しいので、いつかストーリーも完成させたいなって思ってます。
新たなSuperflyを探していきたい
──本作はSuperflyが新たなフェーズへ突入したことを実感させる仕上がりだと思います。ここからの活動がさらに楽しみになってきました。
「Bloom」と「Fall」という2曲で今までとは違った側面が見せられたと思うので、ここからはさらに今までやれなかったこと、うまく表現することまでたどり着けなかったようなアイデアもどんどん形にしてお聴かせしていけたらいいなと思います。現状、ストック曲はまったくない状況なので、ここからは今までの焼き増しではなく、新たなSuperflyをみんなで探していきたいです。チームも含め、いい意味で頭をリセットできていると思うので、私自身もここからが本当に楽しみです。
──今までのSuperfly像にとらわれることなく、フラットな思考でクリエイティブしていくということですね。
そうそう。ロックをやらなきゃいけないってことでもないし、もちろんやりたくないわけでもない。タイミングが来ればまたそういう曲も絶対生まれてくると思いますからね。そのときどきの気持ちを正直に曲へ落とし込んでいけたらいいなって。今はそう思っていますね。
- Superfly「Bloom」
- 2018年6月6日発売 / WARNER MUSIC JAPAN
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初回限定盤(DVD) [2CD+DVD]
4320円 / WPZL-31444~6 -
初回限定盤(Blu-ray) [2CD+Blu-ray]
5400円 / WPZL-31447~9 -
通常盤 [2CD]
2916円 / WPCL-12862~3
- DISC 1(CD)収録曲
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- Bloom
- Fall
- ユニゾン
- Force -Orchestra Ver.-
- DISC 2(CD)収録曲
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Superfly 10th Anniversary Premium LIVE "Bloom" オーケストラ・アレンジ盤
- Prelude
- 愛をこめて花束を
- やさしい気持ちで
- 春のまぼろし
- 愛に抱かれて
- 輝く月のように
- You & Me
- あぁ
- Wildflower
- Good-bye
- Beautiful
- Force
- Alright!!
- “FIRE” Medley(タマシイレボリューション / 恋する瞳は美しい / Bi-Li-Li Emotion / Free Planet)
- 愛をからだに吹き込んで
- Bloom
- DISC 3(BD/DVD)収録内容
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Superfly 10th Anniversary Premium LIVE "Bloom"
- Prelude
- 愛をこめて花束を
- やさしい気持ちで
- 春のまぼろし
- 愛に抱かれて
- 輝く月のように
- You & Me
- あぁ
- Wildflower
- Good-bye
- Beautiful
- Force
- Alright!!
- “FIRE” Medley(タマシイレボリューション / 恋する瞳は美しい / Bi-Li-Li Emotion / Free Planet)
- 愛をからだに吹き込んで
- Bloom
- 愛をこめて花束を
- Superfly(スーパーフライ)
- 2004年に結成。越智志帆のパワフルかつソウルフルな歌声、60年代、70年代の洋楽を思わせるブルージーなサウンドが注目を集め、2007年4月にシングル「ハロー・ハロー」でデビュー。2008年に発表した1stアルバム「Superfly」、2ndアルバム「Box Emotions」がともにチャートで1位を記録し、2009年12月には初の日本武道館ライブを成功に収めた。その後も多くのヒット曲を連発し、2011年には3rdアルバム 「Mind Travel」でアルバム4作連続1位を達成。初のアリーナツアーも大成功に収める。2015年5月に2年8カ月ぶりのオリジナルアルバム「WHITE」をリリースし、7月からは33都市39公演のホールツアーを開催。2016年1月からは7都市全11公演のアリーナツアーを実施した。デビュー10周年を迎えた2017年4月にファン投票で選曲したベストアルバム「Superfly 10th Anniversary Greatest Hits "LOVE, PEACE & FIRE"」を発表。11月には東京・東京オペラシティコンサートホール:タケミツメモリアルにてライブ「Superfly 10th Anniversary Premium LIVE "Bloom"」を行い、年末には2015年以来2年ぶり2度目となる「NHK紅白歌合戦」に出演した。6月6日に23枚目のシングル「Bloom」をリリースする。