SUPER★DRAGON「Summer Party」インタビュー|進み続ける9人の新たな挑戦 “Summer Party”が描き出す、いつもとは違う夏

SUPER★DRAGONが、7月13日に新曲「Summer Party」を配信リリースした。

5月より、“踊れるミクスチャー”をテーマに毎月1曲の新曲を配信する企画を行っているスパドラ。その第3弾となる「Summer Party」はジャズフュージョン調のメロウなサウンドに乗せて真夏の恋模様を歌うナンバーで、ジャン海渡と松村和哉がラップパートの作詞に参加した。

音楽ナタリーではメンバー全員にインタビュー。“毎月リリース企画”の狙いや「Summer Party」の話題、この夏のスパドラについてなど、たっぷりと語ってもらった。

取材・文 / 三橋あずみ撮影 / 曽我美芽

自分たちはブレないなと思えている。そこに尽きると思います

──まずは、5月にスタートした新曲の毎月リリース企画について、この企画をやることになった意図を教えてもらえますか?

古川毅 そうですね。4thアルバム(「Force to Forth」)を3月にリリースして……今の自分たちは、これまで築いてきた“らしさ”から少し外れて、実験的なことをやるフェーズにいるのかなと捉えていて。今まであえてやってこなかった楽曲のジャンルや路線に挑戦してみて、それによって今までの自分たちと今の自分たち、これからの自分たちをしっかり、じっくりと見つめようと。

──なるほど。

古川 実際、自分たち自身と向き合える時間になっているなと思います。なので、BLUE(SUPER★DRAGONファンの呼称)にもその過程を一緒に楽しんでほしいというか。

SUPER★DRAGON

SUPER★DRAGON

──毎月1曲ペースで新曲を発表するというのは、作業のテンポ感的にはいかがですか?

ジャン海渡 自分のことで言うと、作家さんや音楽チームとメンバーとの間に立ってお互いをつなぐような役割を担当しているので、週に何回もやりとりがあって。そういう意味では忙しさを感じますね。ラップチームとしても作詞に深く携わったり、レコーディングに向けて作戦を練る機会が多いので、1曲の制作に対して関わる時間はけっこうあって。

──違う月の曲を同時進行で作っていく、みたいなことも?

ジャン そうですね。「毎月違った刺激を与えられるように」といった部分やリリースするタイミングでの季節感などを考えつつ、先にある程度のベースを固める必要があるので、わりと早い段階で先々の準備をしていますね。それぞれの曲の精度を高めていく作業は、リリースの1カ月前くらいから始める感じで。

伊藤壮吾 ダンスに関しても、振り入れが終わったらまた次の曲の振り入れが始まる……という感じで、過去にあまり経験がないタイプの忙しさを楽しんでいる感覚です。

──そうなんですね。ちなみに、この企画の全体を通して「踊れるミクスチャー」というテーマが掲げられていますけど、このテーマを掲げたのにはどんな理由が?

ジャン 簡単に言うと、全体を通してポップなムードと言いますか。今までスパドラが得意としてきた、ゴリッとしたダンスミュージックとは違う意味での“踊れるサウンド”に挑戦してみようと。明るい雰囲気の踊れる曲をスパドラが歌うと、面白いものができるんじゃないか?と……さっき毅が言ったような実験的な狙いがあって、このようなテーマになりました。なので、BLUEやリスナーの皆さんには僕らの新鮮なムードを受け取ってもらいつつ、これまでに作り上げてきた僕ららしいサウンドのよさも再発見してもらえたらという気持ちもあります。“踊れるミクスチャー”を発表していくことで発生するこれまでとのギャップも、楽しんでもらいたいですね。

古川 最初に発表した「Brand New Music」なんかは特にそうだったんですけど、僕ら自身も挑戦してみてわかったこと、新しい一面が見えて成長を感じることがあったりして。だから、ただ「今までやってこなかったことをやります」という作業だけでは終わらせたくないんです。新しいことに向き合いながらも、自分たちのブレない姿みたいなものも見せたいですし。

松村和哉 そうだね。

古川 「Force to Forth」でかなりいろんな音楽ジャンルや表現にチャレンジして、そこで培ったものがあるからこそ、今回こういうふうに思い切った企画やポップ寄りの路線に挑戦してみても、自分たちはブレないなと思えている。そこに尽きるのかなと思います。1つひとつにストイックに向き合って曲を磨き上げていって、自分たちの中でしっかり“アリ”にしていけたらいいんじゃないかな、と思っているところですね。

古川毅

古川毅

アイツを手に入れるまで俺の夏は終わらない

──今回、企画の第3弾として7月にリリースされるのが「Summer Party」という楽曲です。

池田彪馬 夏という季節を大々的にテーマに掲げたメロウな楽曲って、今まで僕らがやってこなかったものなので。そういった意味で、自分たちの新たな一面として、この曲はどんな感じになるんだろう?と、初めて聴いたときに興味が純粋に湧いた感じでしたね。

古川 今回の曲に関しては、ジャンと和哉がラップ詞の制作に入って、僕も衣装を任せていただきました。

──「Summer Party」、彪馬さんの言ったようにスパドラの曲としては新鮮さがあるなと思いますが、大衆的にはきっと馴染みやすい曲調といいますか。

池田 ああ、そうですね。

池田彪馬

池田彪馬

──個人的な感想を言うと、自分が海の近くで育ったのもあって、この曲の湿り気のあるサウンドと、浜辺での男女の駆け引きを描く、ある種“夏の定型文”的なストーリーはすごく慣れ親しんだ肌触りだなあと思ったりもして。

田中洸希 それこそ海だったり、ドライブ中の車内で聴いてほしいなと思います。歌詞には「この夏を楽しもうぜ!」みたいなヤンチャ感があるけど、全体の曲調はそんなにわちゃっとはしていなくて、しっかり聴かせるところもあって。自分はそのあたりのバランスがいいなあと思っています。

──ラップ詞はジャンさんと和哉さんが作られたということですが、どんなイメージを膨らませて作っていったんですか?

松村 自分が思い浮かべたのは、男たちが連れ立って悪ノリしている感じといいますか。「あの子狙えよ!」って騒いでいるような雰囲気ですね(笑)。実際書くときは「アイツを手に入れるまで俺の夏は終わらないぜ」くらいの気持ちで世界観に入り込んで。あとは、皆さんの生活の中に自然と馴染む曲であってほしいなと考えていたんですよ。元気を出すために意識的に聴く!みたいなものじゃなく、自然とそこにあるような曲。だから、歌詞を読み込まなくても一度聴いただけで内容がなんとなくわかるように……日常的に使う言葉を、面白みを出しながら組み合わせていこうということを意識して作りました。

ジャン 自分も、イメージした情景については和哉と同じ感じですね。「Sunrise 火照るな 惚れるな 真夏の girl」というところなんかは最たるものなんですけど。季節感のある単語をちりばめつつ作っていった感じで。

松村 「My life に 3P Shoot」もお気に入りって言ってなかったっけ?

ジャン そうそう。僕、バスケが大好きなんですけど、3ポイントシュートって、バスケの中で唯一逆転できるチャンスを持ったシュートなんですよね。その「3P Shoot」という単語に「人生も得したほうがいいよね、まずは楽しもうよ」という意味を込めて歌うヴァースは、自分が作詞した中でも特にお気に入りですね。

ジャン海渡

ジャン海渡

先人たちの教えを引っ張り上げてアウトプット

──ボーカルチームのレコーディングはいかがでしたか?

池田 今回、僕はアクセントを作ることを意識しました。いい意味ですっと流れる歌い方の部分と、「今のなんだろう?」と少し引っかかるような歌い方の部分を作れないかなと思って。そういった意味で、1番のAメロとサビとでは、あえて歌い方を変えています。

田中 自分は今回、この曲のメロウなムードを声でどう表現していくか?ということを大事にしました。歌い方を考える中で、リズム感がこの歌のキモになってくるなと思ったので、そこを特に意識しつつ、しっかり緩急も付けて歌ってみました。あと個人的には、今回コーラスやハモりといったパートをたくさん歌わせてもらったので、そういう細かなところも聴いていただけたらうれしいなと思います。

田中洸希

田中洸希

──コーラスのお話で思い出したのですが、女声コーラスが入っているのがとても新鮮でした。

田中 そうなんです、今回僕らの曲で初めて女声コーラスが入っているんですよ。

──毅さんはいかがでしたか?

古川 これだけメロウな感じで、かつソウルの要素が入っているような楽曲を歌うのが初めてだったので、どう歌えばカッコよくこのムードを表現できるかな?ということを考えましたね。さらっと流れていくようなメロディだけど、ブラックミュージックならではの“におい”やグルーヴをしっかり出すことがけっこう大事なんじゃないかなと思ったんです。幸い、自分は日頃からソウルやR&B、ヒップホップだったりを好んで聴いているので……これまでインプットしてきた“先人たちの教え”を自分の中から引っ張り上げて、アウトプットできたかなあという感覚はあります。

──ラップチームの歌入れについても聞かせてもらえますか?

松村 僕のヴァースの最後のラインが「Summer Party 終わるまで」なんですけど、レコーディング当日、ジャンくんがそのラインに合わせて、自分のヴァースの最後も「Summer Party 終わらない」という表現に変えてくれたんですよ。辻褄合わせじゃないですけど、歌入れをしながらそういうセッションができたのが、今回よかったなあと思っていて。

松村和哉

松村和哉

ジャン それに関しては、最初和哉が提案してくれたんですよ。和哉の意見を聞いて「変えるのもいいかもな」と思ったので、その場でいろんなフロウを試してみて……「これがハマるよね」という形で合わせていった感じでしたね。

──ダンサーチームの皆さんは、この曲のどのフレーズがお気に入りですか?

志村玲於 自分は和哉のラップパートなんですけど、「甘い夢が夢じゃなくなるまで日は沈まない」みたいな……。

松村 だいたい合ってる。「日は落ちない」ね。

志村 そうそう、そこのフレーズが好きですね。歌い方もいいんだけど、主人公の性格がよく読み取れる歌詞だなあと思って。

伊藤 僕はサビですね。この曲はもう振りが付いていてミュージックビデオも撮っているので、それ込みでっていうところなんですけど、ユルい、リラックスした感じで「夏、楽しんでますよー」と歌う雰囲気は今までの曲になかったから新鮮で。野外でライブするのなんかも楽しみになりましたね。

柴崎楽 僕は彪馬の歌い出しが好きです。

池田 ありがとうございます!

柴崎 本人も言っていたけど、しっかり歌い分けているのがわかったので「すごいな」って。歌い出しは気だるげで……。

池田 そうだね。

柴崎 その感じがすごくいいなと思って。ダンスの面でもこの曲の踊り始めが好きなので、それも含めて僕のお気に入りポイントです。

柴崎楽

柴崎楽

飯島颯 自分は曲の全体的な雰囲気になっちゃうんですけど、この曲って、歌詞にするからこそ言える思いやメッセージが詰まっているなと思うんですよ。主人公はすごく積極的で、普段なかなか口には出さないというか、恥ずかしくなってしまうようなフレーズが満載で。でも歌の中だからこそ伝えられるし、ボーカルが歌うとめちゃくちゃ様になるんですよね。みんな、聴く人の気を引くような、魅力的な歌い方をしているよなって感じました。そこが自分的にはすごく好きなポイントですね。