SUPER BEAVER|心のままに、もっとワクワクするほうへ

「楽しい」とか「うれしい」をホントに感じられるときって、心のままな気がする

──渋谷さんは「まごころ」ができあがってみて、どのような曲になったと思いますか?

渋谷龍太(Vo)

渋谷 すごく広くて狭い曲だなと思います。スケールはデカいけど、対象は限りなくミニマムで。

──確かに、聴いていて自分1人に語りかけられているような気持ちになりました。「知らない人に 名乗りもしないで 責めて 何が満たされるの」という歌詞からはSNSの嫌な部分を想像したのですが、柳沢さんはどのようなきっかけでこの歌詞を書いたのでしょうか?

柳沢 何かきっかけがあったわけじゃないんです。例えば「予感」がドラマ主題歌に決まったときの、僕らをそこに向かわせてくれた人の気持ちとか、うれしいことを想像するときって、自分の気持ちの純度がすごく高いと思うんです。「楽しい」とか「うれしい」をホントに感じられるときっていうのは、心のままな気がする。それこそSNSっていう言葉もありましたけど、日々の生活でも「悔しい」とか「悲しい」とか、「なんでそんなこと言われなきゃいけないんだ」とか思うけど、そういう気持ちってすごく不純と言うか、余計なものがこもってる気がしてて。だから、うれしい気持ち、楽しい気持ちを求めるからには、まごころのある言葉や姿勢を大切にしたいなって改めて思ったんです。

──なるほど。

柳沢 だから「予感」はワクワクするほうに向かう気持ち、「まごころ」はその場所に向かう前、元来の場所にある気持ちと言うか。そういう2曲になった気がしています。でも「まごころ」は「そうあれたらいいよね」っていう歌であって、僕らが「絶対それがすべてです」と思ってるわけではなくて。「なんとなくそういう気持ちって素敵だと思うんだよね。どう?」っていう歌であればいいなって。投げかけた先でどう感じるかは人それぞれでいいと思うし、そこには人の心があるというのを感じさせていただいた経験も少しずつ増えてきたので、なおさらそういうスタンスの楽曲になったんだと思います。

──SUPER BEAVERが今持っている前向きな気持ちが、温かな雰囲気をまとう今回のシングルに反映されてるんですね。

SUPER BEAVER

柳沢 そうですね。SUPER BEAVERって、何度も何度も繰り返し何かに気付いて、それを声にして、それが届いた先から返ってくるものにまた気付かされて……そういうことをずっと繰り返してるバンドだと思うんです。「まごころ」というタイトル自体もそうですけど、人と向き合うライブを通して、芯の部分で通じ合えることの素敵さや喜びを、改めて歌にしたいなと思ってできた曲で。「予感」と「まごころ」は曲調こそ違いますけど、前提にある気持ちはどちらもすごく共通してる部分はあるのかなって思います。

──前回のツアーのMCでは、渋谷さんが「俺たちが鳴らし続ける音楽は、紛れもなくあなたの気持ちが乗った音楽です。あなたが作ってくれた音楽だと言ってもいいと思ってる」と思いを伝えていたのが印象的でした。そういう気持ちは、年々強くなっていますか?

渋谷 だいぶ前からすれば気持ちは変わってますけど、SUPER BEAVERの対象を「あなた」に絞ろうと思ってからは全然変わってないですね。そこからずっと自分の気持ちに従順にやっていたので、強くなる伸びしろはまったく残してなくて。だから「自分たちが音楽で何ができて、どういうふうに響かせたいのか」っていうのを、自分が自分でハッて気付いたときからは変わらないです。

人間としての器が試されるであろうホール&ライブハウスツアー

──3月からはホール&ライブハウスツアー「都会のラクダ “ホール&ライブハウス” TOUR 2019~立ちと座りと、ラクダ放題~」が始まりますね。ホール会場とライブハウス会場がここまで混ぜこぜになっているツアー構成、あまり見たことがないです。

ツアー情報
「SUPER BEAVER「都会のラクダ “ホール&ライブハウス” TOUR 2019~立ちと座りと、ラクダ放題~」
  • 2019年3月5日(火) 愛知県 Zepp NAGOYA
  • 2019年3月7日(木) 大阪府 Zepp OSAKA Bayside
  • 2019年3月13日(水) 東京都 Zepp TOKYO
  • 2019年3月29日(金) 東京都 中野サンプラザホール
  • 2019年3月30日(土) 東京都 中野サンプラザホール
  • 2019年4月17日(水) 愛知県 日本特殊陶業市民会館 フォレストホール
  • 2019年4月18日(木) 大阪府 オリックス劇場
  • 2019年5月17日(金) 広島県 BLUE LIVE HIROSHIMA
  • 2019年5月19日(日) 広島県 上野学園ホール
  • 2019年5月23日(木) 新潟県 NIIGATA LOTS
  • 2019年5月25日(土) 新潟県 新潟県民会館
  • 2019年6月7日(金) 宮城県 SENDAI GIGS
  • 2019年6月9日(日) 宮城県 東京エレクトロンホール宮城
  • 2019年6月14日(金) 北海道 札幌PENNY LANE24
  • 2019年6月16日(日) 北海道 札幌市教育文化会館 大ホール
  • 2019年9月19日(木) 香川県 高松festhalle
  • 2019年9月21日(土) 香川県 サンポートホール高松
  • 2019年9月23日(月・祝) 愛知県 名古屋国際会議場センチュリーホール
  • 2019年9月25日(水) 愛知県 Zepp NAGOYA
  • 2019年10月10日(木) 福岡県 DRUM LOGOS
  • 2019年10月13日(日) 福岡県 福岡サンパレス

渋谷 これは明確にやりたかったことではあるので。僕個人的に、ライブハウス出身のバンドの規模がどんどん大きくなって、ツアーでホール会場のみを回ることへの一抹の寂しさを感じたことがあるので、そういうふうに思うヤツがいるということは間違いなくて。だから、僕らは自分たちの出たところを常に意識しながらやりたいなと思ったんです。ただホール規模でもライブをやってみたいなと思ったので、同じ土地でホールとライブハウスの2会場を使うのは面白いんじゃないかなと。

──距離感を大事にしているSUPER BEAVERらしくてカッコいいなと思いました。どんなツアーにしたいですか?

渋谷 自分たちにとってもツアー史上稀に見る、挑戦的なことだと思っていて。おそらく今までのライブはライブハウスだから行けなかったけど、ホールだったら行きたいって思ってくださる方も当然いると思うし。

──年齢層も広がりそうですね。

渋谷 そうですね、上にも下にも広がると思うので、そういう中で自分たちの音楽をどういうふうに響かせるのか。もちろんバンドなのでバーって鳴らしてワーってやるのが一番いいんですけど、勢い以上に人間としての器が試されると思うので。自分たちとはなんぼのもんじゃいっていうのを再認識できたらいいいなと思ってますね。

上杉研太(B)

上杉 カッコいいと言っていただけたようなバンドであり続けるために、こういうツアーの回り方でさらに自分たちを叩き上げていくことにワクワクしますね。デカいところでしかできないバンドになりたくないし、ライブハウスでやってもカッコいいよねってずっと言われ続けるようなバンドであるために、油断をしないと言うか。戦っていく姿を見てもらいながら、“あなた”と一緒にいろいろなことを感じれたらと思います。

藤原 ツアー、ホントに楽しみですね。やっぱりライブ大好きなので。このツアーを決めたとき、今回のシングルのリリースは決まってなかったんですよ。結果的にシングルを携えたツアーになったけど、ただライブがやりたかったし、待ってくださってる方のために組んだツアーで。「歓声前夜」のツアーではあったかいパワーをもらって僕らもいいライブができたと思うので、さらに“あなた”と向き合って精進して、いいツアーをやりたいですね。

柳沢 「あなたと一対一の対峙」っていうのは、常々ぶーやん(渋谷)がMCで言ってることなんですけど、今回オールスタンディングのライブハウスと指定席のホール、2つの選択肢があるので、今までよりさらに自分の意思で来ていただけると思うんですよね。どう観たいか、どう楽しみたいかをもう一歩深く選べると思うので、“あなたと僕”の距離がもっともっと近付くんじゃないかなと思います。そして僕らが大事にしていることは“あなた”との対話だということ、顔を見れることがライブの醍醐味だということを、とことんまで純度高く感じたいですね。まだどうなるかは想像も付かないけど、楽しいツアーになるんじゃないかなという期待とワクワクはあるので、笑ってもいいし泣いてもいいし、僕も“あなた”も好きに音楽を楽しめる空間になればいいなと思います。