音楽ナタリー Power Push - サニーデイ・サービス
悪魔に憑かれた渾身ポップアルバム
しんどいけどサニーデイをやるしかない
──曽我部さんの今後の活動はどうなっていくんでしょうか? このままサニーデイとしての物語を続けていくのか、それともソロでまた新しい作品を作るのか。
それで言ったら、ソロでパパッて作りたいなって気持ちは強いよ。そっちのほうが明らかに楽しそうだもん。伊賀(航)くんとかにベース弾きに来てもらって「いいねえ」なんて言いながらさ。
──いいですね。
今回みたいな作り方しててもストレスがたまるだけだから。なんにもいいことないし、解放感もない。純文学みたいなもんじゃん。そこに魂の解放みたいなものはあるかもしれないけど、肉体的な喜びとかはなくて、ただしんどいだけでさ。
──じゃあ次はパパッとソロを作りますか?
いや、しんどいんだけど、今はサニーデイをやるしかないんだろうなって思ってる。20代の頃からずっと続いてる物語の、次の場面を見せなきゃいけないんだなって。そう考えると胃が痛くなるというか、大変だなってのは思うけど。
──じゃあ次はまたサニーデイの新作が聴けるわけですね。
おそらくそうなると思う。いつになるかはわかんないけど(笑)。
──それにしてもこのアルバムは丸山さんが途中で離脱して、バンドとしては満身創痍と言ってもいい状態で作られたはずなのに、ちゃんと軽やかで聴き心地のよいものになってるのが不思議ですよね。
重さで勝負したくなかったっていうのはあるよね。やっぱり40代半ばだからさ、普通に作ると歳相応の深みが出てきちゃうわけ。そうじゃなくて、フレッシュなポップスがやりたかった。少年が持ってる闇の深さとか想像力の大きさみたいなものを表現したくて。
──でも実際には年齢や経験を重ねてしまってるわけで。
うん、いろんな音楽をやってきたし、いっぱい歌ってきたし、ギターも弾いてきたから、油断すると熟練したものが出ちゃうんだけど、なるべくそれが出ないように。どうやったら初めてライブをやったときの気持ちで今日もできるんだろうっていうのをいつも思ってやってるつもり。
──このアルバムはそういうものになってると思います。
それが伝わるといいなと思ってるんだけどね。誰だって歳をとるし、自分の可能性が見えてきてしまうけど、そうじゃないんだ、今日から始まることがいっぱいあるんだっていうことを、このアルバムで伝えたいんです。
収録曲
- I'm a boy
- 冒険
- 青空ロンリー
- パンチドランク・ラブソング
- 苺畑でつかまえて
- 血を流そう
- セツナ
- 桜 super love
- ベン・ワットを聴いてた
サニーデイ・サービス TOUR 2016
- 2016年10月21日(金)
- 大阪府 umeda AKASO
- 2016年10月28日(金)
- 岡山県 CRAZYMAMA KINGDOM
- 2016年11月3日(木・祝)
- 北海道 札幌PENNY LANE24
- 2016年11月6日(日)
- 宮城県 Rensa
- 2016年11月12日(土)
- 広島県 広島CLUB QUATTRO
- 2016年11月13日(日)
- 福岡県 BEAT STATION
- 2016年11月19日(土)
- 香川県 DIME
- 2016年11月20日(日)
- 愛知県 名古屋CLUB QUATTRO
- 2016年11月23日(水・祝)
- 京都府 磔磔
- 2016年11月26日(土)
- 新潟県 GOLDEN PIGS RED STAGE
- 2016年11月27日(日)
- 石川県 Kanazawa AZ
- 2016年12月14日(水)
- 東京都 LIQUIDROOM
- 2016年12月15日(木)
- 東京都 LIQUIDROOM
サニーデイ・サービス
曽我部恵一(Vo, G)、田中貴(B)、丸山晴茂(Dr)からなるロックバンド。1994年にミニアルバム「星空のドライブep」でデビューし、1995年には1stアルバム「若者たち」をリリース。フォーキーなロックサウンドと文学的な世界観が音楽ファンの間で好評を博し、7枚のアルバムを世に送り出すも2000年12月に解散。2008年8月に再結成を果たして以降はスローペースで活動を重ね、2015年までにオリジナルアルバム2枚とライブアルバム1枚を発表。2016年8月に通算10枚目のオリジナルアルバム「DANCE TO YOU」をリリースした。