日本最大級の都市型フェスとして、音楽ファンからの高い支持を得ている「SUMMER SONIC」。8月18日、19日に千葉・幕張と大阪・舞洲で同時開催される今年はNoel Gallagher's High Flying Birds、ベックがヘッドライナーを務めるほか、チャンス・ザ・ラッパー、Paramore、Tame Impala、サンダーキャットなど例年以上に充実したラインナップがそろった。
音楽ナタリーでは「SUMMER SONIC 2018」開催に向けて、19日の幕張公演のSONIC STAGEに出演するSKY-HI、18日深夜のMIDNIGHT SONICに出演する女王蜂のアヴちゃん(Vo)、「SUMMER SONIC」を主催するクリエイティブマンプロダクションの清水直樹代表取締役社長の鼎談を実施。幕張公演のラインナップを中心に今年の「SUMMER SONIC」の魅力や見どころについて語ってもらった。
取材・文 / 森朋之 撮影 / 後藤壮太郎
今年のラインナップは“全アーティストで勝負”の団体戦
──Noel Gallagher's High Flying Birds、ベック、チャンス・ザ・ラッパーをはじめ、今年の「SUMMER SONIC」は例年以上にバラエティに富んだラインナップになっていると思います。まずは清水さんから今年の「SUMMER SONIC」のコンセプトについて説明していただけますか?
清水直樹 一昨年のRadiohead、昨年のカルヴィン・ハリス、Foo Fightersもそうですが、「サマソニ」は“メインアクトが豪華”というイメージがあると思っていて。でも今年は団体戦と言うか、「全アーティストで勝負する」という意識を持ってブッキングしたんです。だからどのステージにも注目すべきアーティストが必ず入っているだろうし、全体のバランスを含めて、かなり綿密に考えながらブッキングしています。そこが評価してもらえているとしたら、ありがたいですね。
──例年とは違うスタンスでフェスを組み立てている、と。
清水 そうですね。ビッグアーティストを呼んだときのギャランティの問題もあるんだけど(笑)、目玉になるアーティストだけではなくて、「フェスは全体で見せるもの」という思いもあるので。だからこそ、これだけバラエティに富んだラインナップがそろえられたんじゃないかな。
──SKY-HIさん、アヴちゃんは今年のサマソニについてどんな印象を持ってますか?
SKY-HI チャンス・ザ・ラッパーの出演が発表された瞬間、「行かなきゃ!」って思いましたね。僕はフェスの原体験が2004年の「サマソニ」なんですよ。1日目にGreen Day、Sum41、2日目にN.E.R.D、Jurassic 5、RHYMESTERなどが出ていて。
清水 Green DayとBeastie Boysがヘッドライナーだった年だね。
SKY-HI そうです。そのときもいろんなジャンルのアーティストが出るフェスという印象だったんですけど、今年はさらにその幅が広がっていますよね。今好きなアーティストも観たいし、せっかくだから知らない人も観たいなって。今、いろいろ考えてます(笑)。
アヴちゃん 「アッパーに盛り上がりたいけど、それだけじゃなくて音楽もちゃんと愛してるよ」というお客さんがたくさん集まりそうなメンツだなって思います。内省的に歌詞をヒアリングしたいアーティストもいるし、思い切り気分をアゲてくれそうな人もいて。Noel Gallagher's High Flying Birdsもベックも、その両方を兼ね備えているじゃないですか。
清水 そうだね。Noel Gallagher's High Flying Birdsやベックがヘッドライナーとしていてくれるから、あとは自由に遊べるところもあるので。
今、日本にチャンス・ザ・ラッパーが来るということ
──では、ステージごとの特徴を清水さんに伺いつつ、皆さんのオススメや気になるアーティストを教えてもらえますか?
清水 まずMARINE STAGEはメジャーフィールドで戦ってるアーティストが中心ですね。ビッグネームが多いんだけど、注目してほしい若手もいて。東京2日目のGreta Van FleetはLed Zeppelinの生まれ変わりと言われているバンドなんですよ。若い人には新鮮な衝撃があるだろうし、上の世代の人たちには「70年代の音だ」と驚いてもらえるんじゃないかなと。どの世代も楽しんでもらえると思うし、個人的には「もしかしたら彼らはロックの救世主になるかもしれない」と思っているんですよ。1日目のWhy Don't Weは“次の1D(One Direction)”と注目されているポップグループです。本当に世界的なアーティストになれるか、何年か後には答えが出ているはずなので、まずは今年のサマソニで観てほしい。そういう期待を込めてMARINE STAGEに出てもらうことにしたので。
──未来のビッグアーティストをいち早くチェックできると。
清水 2000年にやった1年目の「サマソニ」にはColdplayとSigur Rosが出演しているんだけど、2組ともそのときに初来日を果たしたんです。彼らはその後、世界的なバンドになったでしょ? そういう先物買いができるのもフェスの醍醐味だからね。
──チャンス・ザ・ラッパーを呼べたことも今年のトピックですよね。
清水 実は去年も声をかけていたんですけど叶わずで。今年はほかのフェスにも出ていないし、ダメかもしれないと思いながらオファーをしてみたら、すごく早いタイミングでOKをもらったんです。チャンスが決まったときに「これで今年はイケる!」と思いました。それくらいキーになるアーティストですね。
SKY-HI どんなに世界的なムーブメントになっていても、ヒップホップがまったくウケなかったりして、日本は“音楽鎖国”なんですよね。そのことの是非を問うつもりはないけど、僕自身がそういう状況に慣れていたのは事実だと思うんです、リスナーとしてもプレイヤーとしても。でも「フリースタイルダンジョン」(テレビ朝日系で放送されているラップバトルを題材にしたバラエティ番組)などが流行って、ラップがお茶の間に浸透したと言うか、なんとなく興味を持ってくれる人が明らかに増えて。以前は“ヒップホップがすごく好きな人”と“ラップは一切聴かない人”の壁がはっきりしていたんですけど、今ではそれがなくなった。そのタイミングで「サマソニ」にチャンスが来てくれるのは、日本の音楽シーンにとってすごく大きいことですよね。
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女性のパワーを感じるディーヴァ陣にも注目
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幕張公演
2018年8月18日(土)
千葉県 ZOZOマリンスタジアム&幕張メッセMARINE STAGE
Noel Gallagher's High Flying Birds / マシュメロ / ショーン・メンデス / back number / Why Don't We / ルーエル / The Sherlocks
MOUNTAIN STAGE
Queens of the Stone Age / Bullet for My Valentine / Mastodon / The Bloody Beetroots / Marmozets / Pale Waves / Dream Wife
SONIC STAGE
Tame Impala / Friendly Fires / The Charlatans / ケレラ / Iamddb / ビリー・アイリッシュ / iri / 向井太一
RAINBOW STAGE
凛として時雨 / KEYTALK / フレデリック / 9mm Parabellum Bullet / 神様、僕は気づいてしまった / BiSH / Yogee New Waves / ポルカドットスティングレイ / さユり
BEACH STAGE
カマシ・ワシントン / Marian Hill / SOIL & "PIMP" SESSIONS / SPECIAL OTHERS ACOUSTIC / never young beach / あいみょん / MOROHA
Billboard JAPAN STAGE
ネッド・ドヒニー&ヘイミッシュ・ステュアート / THE BEATNIKS(高橋幸宏+鈴木慶一) / ニック・ヘイワード / Mili / クラウド・ルー / チャーリー・リン / No Party For Cao Dong
MIDNIGHT SONIC
SONIC STAGE
Sparks / Wolf Alice / 水曜日のカンパネラ / 女王蜂 / Moodoid
SPACE ODD STAGE
yahyel / DYGL / The fin. / RYOHU(KANDYTOWN) / MIYACHI
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2018年8月19日(日)
千葉県 ZOZOマリンスタジアム&幕張メッセMARINE STAGE
ベック / チャンス・ザ・ラッパー / MIKE SHINODA of Linkin Park / MY FIRST STORY / Greta Van Fleet / ラムズ / THE ORAL CIGARETTES
MOUNTAIN STAGE
Nickelback / J.バルヴィン / アレッシア・カーラ / レキシ / Walk The Moon / ENDRECHERI / ノックス・フォーチュン
SONIC STAGE
Paramore / セイント・ヴィンセント / Portugal. The Man / ジョルジャ・スミス / レックス・オレンジ・カウンティ / プチ・ビスケット / SKY-HI & THE SUPER FLYERS / RIRI
RAINBOW STAGE
Fear, and Loathing in Las Vegas / SPYAIR / キュウソネコカミ / m-flo / ちゃんみな / DAOKO / PassCode
BEACH STAGE
George Clinton & Parliament Funkadelic / サンダーキャット / トム・ミッシュ / ナオト・インティライミ / Nulbarich / 七尾旅人 / YOUR SONG IS GOOD
Billboard JAPAN STAGE
ジェス・グリン / マックス / コスモ・パイク / Higher Brothers / Zion.T / イ・ハイ
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大阪公演
2018年8月18日(土)
大阪府 舞洲SONIC PARK(舞洲スポーツアイランド)OCEAN STAGE
ベック / チャンス・ザ・ラッパー / ONE OK ROCK / MIKE SHINODA of Linkin Park / Greta Van Fleet / ラムズ / THE ORAL CIGARETTES
MOUNTAIN STAGE
Nickelback / J.バルヴィン / アレッシア・カーラ / ナオト・インティライミ / Walk The Moon / ENDRECHERI / ノックス・フォーチュン
SONIC STAGE
Paramore / セイント・ヴィンセント / Portugal. The Man / ジョルジャ・スミス / トム・ミッシュ / レックス・オレンジ・カウンティ / indigo la End / RIRI
WHITE MASSIVE
Clean Bandit / ジェス・グリン / サンボマスター / yonige / DADARAY / Xmas Eileen / PassCode
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2018年8月19日(日)
大阪府 舞洲SONIC PARK(舞洲スポーツアイランド)OCEAN STAGE
Noel Gallagher's High Flying Birds / マシュメロ / ショーン・メンデス / back number / Why Don't We / ルーエル / The Sherlocks
MOUNTAIN STAGE
Nine Inch Nails / Bullet for My Valentine / Mastodon / The Bloody Beetroots / Marmozets / Pale Waves / Dream Wife
SONIC STAGE
Tame Impala / Friendly Fires / The Charlatans / ケレラ / Iamddb / ビリー・アイリッシュ
WHITE MASSIVE
フライング・ロータス / Marian Hill / SPECIAL OTHERS ACOUSTIC / フレデリック / never young beach / 向井太一
- SONICMANIA
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2018年8月17日(金)千葉県 幕張メッセ
CRYSTAL MOUNTAIN
Nine Inch Nails / My Bloody Valentine / Cornelius / 電気グルーヴ
SONIC WAVE
マシュメロ / Clean Bandit / プチ・ビスケット / アンクル / 中田ヤスタカ
SPACE RAINBOWBrainfeeder Night In SONICMANIA
フライング・ロータス / サンダーキャット / George Clinton & Parliament Funkadelic / ドリアン・コンセプト / ロス・フロム・フレンズ / ジェイムスズー
- SKY-HI(スカイハイ)
- ラッパー、ソングライター、歌手など幅広く活動を行うアーティスト。2005年にAAAのメンバーとしてデビューし、同時期からSKY-HIとして都内クラブで活動をスタートさせる。さまざまなラッパーとのコラボレーション企画「FLOATIN' LAB」を2011年に始動し、翌2012年に同企画のコンピレーションアルバム「SKY-HI presents FLOATIN' LAB」を発売。2014年3月には1stアルバム「TRICKSTER」をリリースした。2016年に初のホールツアー「SKY-HI HALL TOUR 2016 ~Ms. Libertyを探せ~」を行い成功に収める。2017年1月に3rdアルバム「OLIVE」をリリースし、5月には東京・日本武道館で単独公演を開催した。10月に最新シングル「Marble」を配信限定で発表。海外7公演を含むツアー「SKY-HI Round A Ground 2017」を開催し、大成功に収めた。6月に斎藤宏介(UNISON SQUARE GARDEN)をゲストに迎えた両A面シングル「Snatchaway / Diver's High」を発表する。
- 女王蜂(ジョオウバチ)
- 2009年神戸にて活動開始。2010年「FUJI ROCK FESTIVAL '10」のROOKIE A GO-GOステージに出演し、その衝撃的なルックスとパフォーマンスでオーディエンスの注目を集めた。2011年3月に初の全国流通盤アルバム「魔女狩り」をリリース。同年9月にはアルバム「孔雀」でソニー・ミュージックアソシエイテッドレコーズよりメジャーデビューを果たす。収録曲「デスコ」は映画「モテキ」のメインテーマに抜擢されたほか、彼女たち自身も本人役として映画に初出演し話題を呼んだ。話題沸騰の中、2012年12月にバンドの活動休止を発表。約1年間の活動休止期間を経て、2014年2月のワンマンライブ「白熱戦」で1年ぶりに復活し、2015年1月に新ギタリスト・ひばりくんが正式加入した。同年3月にアルバム「奇麗」をリリースし、12月から2016年3月にかけて対バンライブシリーズ「蜜蜂ナイト」を開催。2016年6月にはフランス・パリにてバンド初の海外ライブを実施し、2017年4月には約2年ぶりのアルバム「Q」を発表した。2018年4月に「東京喰種:re」のエンディングテーマ「HALF」をシングルとしてリリース。現在はキャリア最大規模のワンマンツアー「女王蜂全国ツアー2018『H A L F』」を開催中。
- 清水直樹(シミズナオキ)
- 株式会社クリエイティブマンプロダクション代表取締役社長。1965年静岡生まれ。数社を経て、1990年にクリエイティブマンプロダクションの立ち上げに参加し、1997年に32歳で代表取締役に就任する。2000年に都市型ロックフェスティバル「SUMMER SONIC」を始動させ、「PUNKSPRING」「SPRINGROOVE」「LOUD PARK」「SONICMANIA」といったフェスを立ち上げた。