ナタリー PowerPush - 住岡梨奈
「テラスハウス」で変われた私
北海道出身の女性シンガー・住岡梨奈がデビューから1年半という時間をかけて初のフルアルバム「ツムギウタ」を完成させた。本作には堂島孝平、斎藤有太、YO-KING、OKAMOTO'S、高橋久美子(ex. チャットモンチー)、コジロウ、一瀬正和(ASPARAGUS)、藤井謙二(The Birthday)、玉田豊夢(100s)、森信行(ex. くるり)などそうそうたるメンツがさまざまな形で参加。多彩なコラボレーションによって、住岡の持つみずみずしい才能が鮮烈に香る作品に仕上がっている。
今年7月からは“りなてぃ”として人気テレビ番組「テラスハウス」に出演し、その存在が幅広い層に認知され始めた住岡。まさにベストなタイミングで到着する本作について、本人にたっぷりと語ってもらった。
取材・文 / もりひでゆき インタビュー撮影 / 上山陽介
変わりたくて「テラスハウス」入居
──ナタリーには今年1月のシングル「ハレノヒ」以来の登場となるわけですが(参照:住岡梨奈「ハレノヒ」インタビュー)、それ以降かなり状況の変化がありましたよね。
バッタバタ変わりましたね。えへへへへ(笑)。
──やはり一番大きいのは、同世代の男女がシェアハウスで共同生活する様子をリアリティショーとして放送する人気テレビ番組「テラスハウス」への出演でしょうか。
そうですね。今年の7月に入居して4カ月くらい経ちました。「よーしがんばるぞ」という気持ちで番組オーディションを受けたんですけど、合格したらしたで「どうしよう」みたいな気持ちになっちゃって(笑)。まあでも、合格の2日後に入居だったのでそんなに不安に思ってるヒマもなかったんですけど。
──そもそもオーディションを受けたのはどうしてなんですか?
私、上京して1人暮らしを始めてからけっこう引きこもりがちだったんですよ(笑)。もちろん仕事で外に出てはいたけど、気持ち的にもっとオープンにならなきゃなっていう思いがあったんです。あとは同世代の人とお話をするのがちょっと苦手だったので、「テラスハウス」に入ることでそれが克服できるかなって。強い意志を持って目標に向かってがんばってる同世代の人をテレビで観ていて、「私もそうなりたいな」って思っていたし。簡単に言うと「変わりたい」っていう気持ちが大きかったんですよね。
──実際、入居されてみてどうです?
いきなり複数の男女と一緒に生活をするのはかなりハードルが高かったんですけど(笑)、気持ちが開けてよりフラットに生きていけるようになってきた気がします。周りに言われて自分の変化に気付くことも多いですね。こうやってインタビューを受けていても、「すごくしゃべれるようになったね」って言われることも多くて。
──うん。確かにしゃべり方とか表情が今までと違っている気がします。
コミュニケーション能力が上がったみたいです! でも、堂島孝平さんには「いやそうでもないよ」って言われるんですけどね(笑)。身近な人からすると変わってない部分もあるみたいですけど、全体的にはどうやら変わってきているようです。はい。
──そういう変化は楽曲にも影響がありそうですよね。
素直になりましたかね。今まで歌詞を書くときには、どこかカッコつけていたというか、キレイな、文章のような言葉を選ぶことが多かったけど、今は出てきた言葉をそのまま使ったりすることもあって。しゃべり言葉に近くなってきた感じがあるんですよね。あとはそこで描かれる感情もだいぶなめらかになってきました。いろんなことを落ち着いて、広く受け止められるようになってきたんじゃないかなって。人と一緒に暮らすことでメンタルが強くなった気がします。
──今の「テラスハウス」には、住岡さんと同じミュージシャンの女性もいますよね。
そうなんです。10月からまいまい(永谷真絵:chay名義で活動中)が入ってきたことですごく刺激が増えましたね。それまでは「テラスハウス」内で曲作りをするのがちょっと難しかったんですよ。ギターを弾いて歌っているのがほかの人に聞こえてしまうので、なんだか落ち着かなくって。でも今はまいまいが気にせず歌ったりギター弾いたりしてくれるので、「じゃ私もやろう」っていう感じで気兼ねなくできるようになったのがうれしいです。
ギュッとジューシーな1stアルバム
──番組のおかげで住岡梨奈という名前が今まで以上に認知されたという実感もありますか?
りなてぃ(※番組内での呼称)として知ってくださっている方はものすごく増えたと思います。最近はインストアライブをよくやっているんですけど、「テラスハウス」で私のことを知って観に来てくださる方がすごく多いので、そういうところですごく実感してますね。これをきっかけに住岡梨奈としての活動にもどんどん興味を持ってもらえたらなって。
──そういう意味では、今回の1stアルバムはかなりベストなタイミングでのリリースだと言えそうですね。
ですね。デビューからの1年半の間に、自分自身で作った曲、大好きなミュージシャンの方々と一緒に作った曲を詰め込んでできたアルバムなので、なんかこうギュッとジューシーな感じがします(笑)。ゆっくり時間をかけて作ったアルバムになったので、時期によって声の違いがあるのも面白いですね。「この声いつのだろう?」って自分でも思っちゃう曲があったり。
──デビュー曲だった「feel you」はすごく初々しい感じですよね。
そうなんですよ。初心を忘れないようにっていう意味を込めて、アルバムでは本編の最後に入れたんですけど。こうやってアルバムの形になってみると、自分がちゃんといい形で変われてこれているんだなっていうことを強く感じられたのはうれしかったですね。最初の頃はけっこうパーンと歌い上げることが多かったけど、わりと最近は声量よりも感情を大事にしようと思って歌ったものが多くなってきているな、とか。ここまでやってきたことが間違ってなかったんだなって思える1枚になりました。
──ここまでに紡いできた歴史を感じることができますもんね。そういう意味でタイトルを「ツムギウタ」にしたのかなと思ったんですけど。
そうですね。これまでに自分が紡いできた歌たちでいろんなミュージシャンの方やファンの方ともつながれたと思うので、ここに入っているすべてが「ツムギウタ」ですよ、っていう意味を込めてこのタイトルにしました。
- 1stアルバム「ツムギウタ」/ 2013年11月27日発売 / Ki/oon Music
- CD+DVD 3500円 / KSCL-2331
- CD 3059円 / KSCL-2333
CD収録曲
- 追い風
- Hello Yellow!
- ポーズ
- 雪どけの街
- ナガレボシ
- ハレノヒ
- Oh! Yeah
- THE 意識
- ケセランパサラン
- ひつじ
- 文(あや)
- feel you
- 夕陽ヶ丘のサンセット
※13曲目は初回限定盤のみ収録。
初回限定盤DVD収録内容
- Hello Yellow!(Music Video)
- We Are Never Ever Getting Back Together(「あなたのお家で聴ける!」弾き語り in テラスハウス)
- 歩いて帰ろう(「あなたのお家で聴ける!」弾き語り in テラスハウス)
- ナガレボシ(「あなたのお家で聴ける!」弾き語り in テラスハウス)
- Hello Yellow!(Music Video メイキング)
- アルバムジャケット撮影風景
住岡梨奈(すみおかりな)
1990年生まれ、北海道札幌市出身の女性アーティスト。高校生の頃より作曲活動を始め、大学入学後は学内の音楽サークルで活躍。2010年から札幌市内を中心に弾き語りでのライブ活動を行い、2011年夏には北海道内で6公演の弾き語りツアーを開催した。同時に初の音源となるライブ会場限定シングル「ナガレボシ」をリリース。10月には東京で行われたSPARKS GO GO主催のライブイベントでオープニングアクトを務めた。2012年春、大学卒業と同時に上京し、6月リリースのシングル「feel you」でメジャーデビューを果たした。2013年に入ってからはCDシングル「ハレノヒ」「Hello Yellow! / ナガレボシ」、配信シングル「ポーズ」を発表。同年7月より人気リアリティ番組「テラスハウス」に出演する。11月に待望の1stアルバム「ツムギウタ」をリリース。