sumika「Starting Over」インタビュー|喜びも悲しみもすべて引き連れて結成10周年のその先へ (2/2)

ボロボロな状態であっても、それを乗り越えて進んでいける

──制作の段階で、スタジアムで合唱することをイメージしていたんですね。

片岡 コロナに関するルールも変わりつつある状況で、「うまくいけば、横浜スタジアムの時期は規制がかなり緩くなっているはず」ということだったので。どうなるかはわからなかったけど、その可能性に賭けてみようと思って、お客さんと一緒に歌えるパートを作りました。

──まさにそれが実現したわけですね。

片岡 ただ、想定してなかったこともたくさん起きたんですよ。最初に思い描いていたのは「晴天で」ということだったので、そこはまったく違っていて。想像通りかと言えばそうじゃないけど、逆に言えば想像以上のことが起きましたね。

sumika

sumika

──初披露の新曲があれだけ盛り上がって、一体感を生み出したことは素晴らしいですよね。

片岡 バンドやアーティストの先輩方を観ていてもそうですけど、「新曲がカッコいい」ってめちゃくちゃ大事で。そうじゃないと15年、20年と続いていかないと思うし、それをやり切れた実感があったのはすごくホッとしました。

荒井 素晴らしい楽曲だと思います。「イコール」はライブでどんどん成長して、スケールの大きい曲になった。自分たちにとってすごく大事な曲なんですけど、「Starting Over」はそれを超えていくと思います。合唱のパートに関しては、「こういうパターン、今までになかったな。カッコいいね」という感じだったんですけど、あとから「横浜スタジアムでお客さんと一緒に歌える可能性がある」と聞いて、「そのことを見越して作ってたのか、さすがだな」と。

片岡 よっしゃ!

荒井 (笑)。実際、ハマスタのタイミングで一緒に歌うことができて。あのときの会場の空気感は思い描いていた以上でしたね。僕たちもこの曲に対する思いが強いし、これからのsumikaを示す象徴的な楽曲に……誤解を恐れずに言えば、なってしまったのかなと。さっき健太が言ったように、11年目に向けての再スタートという意味合いを持たせた楽曲なんですけど、そこにもっと重いものがのしかかったというのかな。そういうものにも負けない強さを持った楽曲、すごく特別な楽曲になったと思ってます。

小川 ワンコーラスできた時点で「MIX」の映像も想像できたし、ライブで歌っているみんなの姿が見えました。ボロボロな状態であっても、それを乗り越えて進んでいける、前を向いて生きていける。そういうことを体現した楽曲になったと思っています。ハマスタで披露したときもめちゃくちゃグッときたし、メンバーやサポートのミュージシャンを含めて、全員がカッコよく見える曲だなって。これからも大事にしたい曲になりましたね。

──それにしても「喜びや悲しみや 苦しみも全部持って 憧れや羨みも 隠さずに持っていって」という合唱パートの歌詞はすごいですね。

片岡 合唱パートの歌詞、すごいですよね。って、オウム返ししちゃいましたけど(笑)。このタイミングで「Starting Over」みたいな曲をリスナーのみんなが聴けるかな?って考えた時期もあったんですけど、それでもリリースしようと思えたのは、やっぱり信じてるからなんですよ。聴いてくださる方はもちろん、一緒にsumikaを作ってくれているスタッフ、「MIX」のチームも含めて。この曲を嫌な使い方をする人は少なくとも僕たちの周りにはいないという信頼がないとやっぱり出せなかった。合唱パートも、なんていうか、変に売り物みたいにしたくないという気持ちがあって。でも、そんな人はいないんですよ、僕らの周りには。その信頼関係は10年間の活動の中で作り上げてきたものだし、1月のタイミングで隼と一緒に作った「Starting Over」を、形を変えることなくリリースできたのは大きなことだったと思います。

sumika

sumika

“なんでもやれる”というところに立ち戻ってる

──シングルの初回限定盤に付属するBlu-rayには、「sumika Film #13 sumika Live Tour 2022-2023 『Ten to Ten』 2023.2.19 at 日本ガイシホール」の映像が完全収録されます。4人で行った最後のライブが観られることは、大きな意味があると思います。

片岡 そうですね。やっぱりノーカットで全部観てもらいたくて。このライブの映像を残すのは、未来につながることだと思ってるんです。いつでもここに戻れるというのかな。この先、何年か経ったときに、今年起きたことを知らないでsumikaを好きになってくれる方もいると思うんですよね。こういう映像作品が残っていれば、「sumikaにはこういうギタリストがいて、こういう演奏をしていたんだ」って知ってもらえる。自分たちがやってきたことを残すという意味でも、10周年のツアーファイナルの映像をフルでパッケージできたのはすごく大きいと思います。ただ、めっちゃチョケてるところもあるんですよ。俺、下ネタも言っちゃってて、「そこはカットしてくれよ」って思ったんだけど、全部入ってました(笑)。

小川 本当に全部入ってますからね。「Ten to Ten」ツアーを積み重ねて、いろんな試行錯誤をしながらファイナルに向かっていって。みんなで作り上げた最後の公演を残せることはすごく素敵だし、今後のsumikaにとっても大きいと思います。

荒井 自分たちもすごくいいライブだったなと思っていて。ぜひ見ていただきたいですね。

──このあとは夏フェスへの出演があり、10月からはライブハウスツアーが始まります。この先のsumikaについて、どんなことを思っていますか?

片岡 今、sumikaの中でバンドという概念が崩れ去ってる感じもあって。いい意味でなんでもありというか、なんでもやれるというところに立ち戻ってるんですよね。ハマスタでも話したんですけど、空白を悲しむのではなくて、それをポジティブなクエスチョンとして捉えて、なんでもトライしてやろうという気持ちで予定を立てているところです。それがどういう化学反応を起こすかは、まだ僕らもわからないんですよね。大コケするかもしれないし、とんでもないホームランを打てるかもしれない。そういうワクワクもバンドの楽しさだと思うんです。何が起きるかはわからないけどベストを尽くす。みんなが信じてくれているからこそ、真摯に応えるのみだなって。僕らにもリスナーみたいな気持ちがあるし、sumikaがどんなことをやるのか楽しみにしています。

荒井 僕自身は過去を引きずって留まっているようでは先に進めない、と思っていて。そこをごまかしてもしょうがないし、まずは自分たちがしっかり意識することが大事だなと。ここからが本当の意味での再スタートだと思っています。もちろんこれまでの10年間がなくなるわけではないですが、過去にこだわりすぎず、またここから新しく出発したいなと。新しいバンドというわけではないけど、始めたばっかりのワクワク感、この先どうなるんだろうというドキドキみたいなものがあるし、楽しみながらやっていきたいと思ってます。

小川 この先のライブ、ツアーもそうですけど、この先何ができるかはまだ明確に見えてないんですよね。だからこそこれから出会えるものすべてが楽しみだし、その都度、何かを発見したいと思ってます。1つひとつの出会いを無駄にせず、バンドとしっかりと音楽を鳴らしていきたいですね。

sumika

sumika

ツアー情報

sumika Live Tour 2023「SING ALONG」

  • 2023年10月5日(木)山口県 周南RISING HALL
  • 2023年10月7日(土)広島県 BLUE LIVE HIROSHIMA
  • 2023年10月8日(日)広島県 BLUE LIVE HIROSHIMA
  • 2023年10月13日(金)新潟県 NIIGATA LOTS
  • 2023年10月14日(土)石川県 金沢EIGHT HALL
  • 2023年10月21日(土)秋田県 Club SWINDLE
  • 2023年10月22日(日)青森県 青森Quarter
  • 2023年10月28日(土)香川県 高松festhalle
  • 2023年10月29日(日)愛媛県 WstudioRED
  • 2023年11月3日(金・祝)宮城県 SENDAI GIGS
  • 2023年11月4日(土)宮城県 SENDAI GIGS
  • 2023年11月9日(木)神奈川県 KT Zepp Yokohama
  • 2023年11月10日(金)神奈川県 KT Zepp Yokohama
  • 2023年11月15日(水)愛知県 Zepp Nagoya
  • 2023年11月16日(木)愛知県 Zepp Nagoya
  • 2023年11月21日(火)北海道 Zepp Sapporo
  • 2023年11月22日(水)北海道 Zepp Sapporo
  • 2023年11月27日(月)愛知県 Zepp Nagoya
  • 2023年11月29日(水)大阪府 Zepp Osaka Bayside
  • 2023年12月1日(金)大阪府 Zepp Osaka Bayside
  • 2023年12月2日(土)大阪府 Zepp Osaka Bayside
  • 2023年12月7日(木)福岡県 Zepp Fukuoka
  • 2023年12月8日(金)福岡県 Zepp Fukuoka
  • 2023年12月15日(金)東京都 Zepp Haneda(TOKYO)
  • 2023年12月16日(土)東京都 Zepp Haneda(TOKYO)

sumika Live Tour 2024「FLYDAY CIRCUS」

  • 2024年4月6日(土)大阪府 大阪城ホール
  • 2024年4月7日(日)大阪府 大阪城ホール
  • 2024年4月14日(日)福岡県 マリンメッセ福岡
  • 2024年4月20日(土)神奈川県 ぴあアリーナMM
  • 2024年4月21日(日)神奈川県 ぴあアリーナMM

プロフィール

sumika(スミカ)

2013年5月に結成。2017年にバンド初のフルアルバム「Familia」をリリースし、2018年には東京・日本武道館公演2DAYSを含むホールツアー「sumika Live Tour 2018 "Starting Caravan"」を開催。その後も映画「君の膵臓をたべたい」「僕のヒーローアカデミア THE MOVIE ヒーローズ:ライジング」「ぐらんぶる」、テレビドラマ「おっさんずラブ-in the sky-」、テレビアニメ「ヲタクに恋は難しい」「MIX」「美少年探偵団」「カッコウの許嫁」など、数々のタイアップソングを手がけてお茶の間に音楽を広げた。2022年に結成10周年イヤーを迎え、9月に4thアルバム「For.」を発表。9月よりライブツアー「sumika Live Tour 2022-2023『Ten to Ten』」を行った。2023年3月にアコースティック編成・sumika[camp session]名義での初のミニアルバム「Sugar Salt Pepper Green」をリリース。5月に神奈川・横浜スタジアムで結成10周年ライブ「sumika 10th Anniversary Live『Ten to Ten to 10』」を開催し、6月にテレビアニメ「MIX MEISEI STORY ~二度目の夏、空の向こうへ~」のオープニングテーマ「Starting Over」をシングルとしてリリースした。