sumika|「おっさんずラブ」「ヒロアカ」の世界観に真摯に寄り添った両A面シングル

誰が聴いてもわかるものにしたかった

──ずっと先の未来まで進んでいこうというメッセージを含んだ歌詞も、ヒロアカの世界観にぴったりだなと。やはり“限界を超える”“戦う”というイメージがあったんでしょうか?

黒田隼之介(G, Cho)

片岡 そうですね。バトルシーンも想像していたし、映画の進行状況も共有させてもらって、そのたびにアップデートして。原作コミックも読ませてもらったし、映画もマンガも根本は同じなんですが、この曲に関しては「このキャラクターの気持ちを描きたい」というものがあったんです。

──特定のキャラクターにフォーカスしている、と。

片岡 はい。あまり詳しく言うとネタバレになっちゃうんですが、「このキャラクターの気持ちを歌いたいんですが、どうですか?」と映画の制作チームとも打ち合わせをさせてもらったんですよ。スタッフの皆さんの熱もすごくて。制作の裏側って、普段は見えないじゃないですか。でも、そこにはすごい熱量を持った人たちがいて、戦いながら作ってるんですよね。その過程を見せてもらえたのもよかったなと。

──1つひとつのフレーズが研ぎ澄まされているのも「ハイヤーグラウンド」の歌詞の魅力だと思います。すごくシンプルでわかりやすいのに、本質はしっかり描かれていて。「ヒロアカ」自体もそうですが、まさに子供から大人まで楽しめる曲だなと。

片岡 そこも意識はしてましたね。「子供にもわかるようにしてほしい」という要望もあったし、「ヒロアカ」は年齢層が上の方や海外の方も観てるので、誰が聴いてもわかるものにしたくて。テンプレートみたいな言葉を使うとsumikaらしさがなくなるし、でも、聴く人を選ばない曲にしたくて。かなり難しかったし、そこが僕の戦いだったかもしれないです。

リスナーのことを考えていた1年

──アルバム「Chime」のリリース、全国ツアー、シングル「イコール / Traveling」「願い / ハイヤーグラウンド」のリリースと、2019年はまったく止まることなく活動が続いています。全然休んでないですよね?

片岡 休んでないですね(笑)。

黒田 そろそろ大型連休かな?(笑)

片岡 休みを取るという感覚はないかもしれないですね。究極のフレックスというか。常にやるべきことがあって、納得できるものがすぐにできれば余裕を持てるし、できなければ延々と続くという。

──今年はsumikaにとって、どんな1年でした?

片岡 忙しいスケジュールでしたけど、誰も風邪をひかなかったんですよ。ごはん食べ過ぎておなかが痛いとかはあったけど(笑)、具合が悪くなることはなかったよね?

小川 そう言えばそうかも。

片岡 大事なのは手洗いとうがいですね! 打ち上げのときも、乾杯の前にみんなで手を洗って、うがいしてるので(笑)。そうやって1年間、楽しくバンド活動できたことが一番よかったと思います。

黒田 うん。バンドを始めてからずっとそうかもしれないけど、今年も目の前のことに必死でした。あまり器用ではないし、何かに夢中になると周りが見えなくなることもあるんですけど、だからこそ等身大でやれているのかなと。

荒井 いい1年でしたね。バンドも個人的にも楽しく音楽をやれたし、1年がすごく早く過ぎたように感じられて。年々、1年の体感速度が上がっているんですけど、それも充実した活動ができているからだと思うので。

小川 今年は特にリスナーのことを考えていた1年でしたね。自分たちの音楽がリスナーの耳に入る瞬間だったり、ライブでどう見られているかということだったり。今までは「いいでしょ?」という思いで届けていたんですが、それだけではなく、どう聴こえているか、どんなことを求められているかも強く意識するようになって。リスナーの皆さんに支えられて、自分たちの活動ができているんだなと改めて実感しましたね。

──sumikaのライブを観ていると、観客の皆さんが全身で音楽を受け止めていることがはっきり伝わってきて。「しっかり届いている」という実感もあるのでは?

片岡 「ファンはバンドの鏡」と先輩からも教えられてきたし、「もしお客さんに不安があるんだとしたら、それは自分たちに原因があるよ」とずっと言われてきて。ライブでお客さんを見ていると泣きそうになるんですけど、それは自分たちがしっかり音楽と向き合えている証拠なのかなと。気持ちよく活動できていること、自分たちが間違っていないことをお客さんから教えてもらってますね。お客さんの表情や反応を受け取ることで、初めて楽曲が完成するというか。ライブは大事だなと、改めて感じる1年でした。

──来年3月にはアリーナツアー「sumika Arena Tour 2020 -Daily's Lamp-」が始まります。今後も作品の制作はあるでしょうし、ライブとレコーディングの日々が続きそうですね。

片岡 ライブとレコーディングは表裏一体というか、呼吸みたいだなって思ってるんですよ。ライブでしっかり息を吐き切って、曲作りのときにまた息を吸って。実際、ツアーが終わったら曲ができますからね。ライブの中で見えた景色によって、新しい考えが浮かんだりするし、そこから新しい曲ができて。そうやって続けていけたらいいなと思ってます。

sumika

ツアー情報

sumika「sumika Arena Tour 2020 -Daily's Lamp-」
  • 2020年3月28日(土)愛知県 ドルフィンズアリーナ(愛知県体育館)
  • 2020年3月29日(日)愛知県 ドルフィンズアリーナ(愛知県体育館)
  • 2020年4月4日(土)大阪府 大阪城ホール
  • 2020年4月5日(日)大阪府 大阪城ホール
  • 2020年4月11日(土)新潟県 朱鷺メッセ・新潟コンベンションセンター
  • 2020年4月18日(土)埼玉県 さいたまスーパーアリーナ
  • 2020年4月19日(日)埼玉県 さいたまスーパーアリーナ
  • 2020年4月29日(水・祝)福岡県 マリンメッセ福岡
  • 2020年5月2日(土)愛媛県 愛媛県武道館
  • 2020年5月16日(土)広島県 広島サンプラザホール
  • 2020年5月23日(土)宮城県 ゼビオアリーナ仙台
  • 2020年5月31日(日)神奈川県 横浜アリーナ
  • 2020年6月6日(土)北海道 北海道立総合体育センター 北海きたえーる