スキマスイッチがニューアルバム「新空間アルゴリズム」を完成させた。
前作「スキマスイッチ」(2014年12月)以来、約3年ぶりのオリジナルアルバムとなる本作には、「LINE」「ミスターカイト」「リチェルカ」といったシングル曲を収録。さらに大橋卓弥の歌、常田真太郎のピアノだけで構成されたリード曲「未来花」、2016年10月に行われたカバーライブ「THE PLAYLIST」のバンドメンバーが参加した「Revival」「Baby good sleep」など、バラエティに富んだ内容が魅力となっている。
音楽ナタリーでは大橋と常田にインタビューを実施。前作から3年間の経験が生かされたと言う本作の話を軸にしながら、スキマスイッチの制作スタンスの変化、ポップス観などについて聞いた。
取材・文 / 森朋之 撮影 / 草場雄介
この3年間を振り返って
──約3年ぶりのオリジナルアルバム「新空間アルゴリズム」が完成しました。まずはこの3年間を振り返っていただきたいのですが、2014年12月発売の前作「スキマスイッチ」(2014年12月)は2人にとってどんな作品でしたか?
常田真太郎(Piano, Cho) 「やれることを全部やったな」という感じでした。その前にデビュー10周年のアニバーサリーがあって、武道館でオーケストラライブ(2013年12月28日に行われた初の東京・日本武道館公演「スキマスイッチ10th Anniversary "Symphonic Sound of SukimaSwitch"」)があって。「今までやってきたことを形にしたい」と思って制作していたし、だからこそ「タイトルは『スキマスイッチ』だね」という話も自然に出てきました。
大橋卓弥(Vo, G) 10年間のいろんな経験を経て「これが今のスキマスイッチです」という意味を込めてセルフタイトルにしたんですよね。あと「今の僕らはこうです」とハッキリ示したいという気持ちもあったんです。「今のスキマスイッチ」の中には、皆さんの中にあるスキマスイッチのイメージとは違う部分もあったと思うんですよね。アルバムの1曲目が「ゲノム」(ロックテイストを強く押し出したナンバー)というのも新しい挑戦だったし、その一方では「やっぱりポップス然としたものがスキマスイッチだよね」と思うところもあって。振り返ってみると「スキマスイッチ」はその当時の心情がそのまま出たアルバムだったと思います。
最初に音を爪弾くのは自分たちじゃないと
──アルバム「スキマスイッチ」のあとは、カバー曲だけのライブ「THE PLAYLIST」の開催、アナザーベストアルバム「POPMAN'S ANOTHER WORLD」、小田和正さん、奥田民生さんなどが参加したリアレンジ / リプロデュースアルバム「re:Action」のリリースなど新しい試みが続きました。やはりすぐに次のオリジナルアルバムを作るという意識にはなれなかったんでしょうか?
大橋 なれなかったですね。「スキマスイッチ」でやれることは全部やったし、そのあとは作るものが見当たらなかったので。ちょっと話が戻りますけど、だからタイトルを「スキマスイッチ」にしたところもあったんですよ。「“これで終わるんじゃないか”と思われるかもね」って。
常田 実際よく言われてましたからね。「ひょっとして……?」って。「解散するの?」まではいかなくても「長く休んだりするの?」みたいなことは聞かれていたし、こっちも「そう思われるだろうな」と感じていて。僕自身も初めて「枯れたな」と思ったと言うか、曲作りでの持ちネタが尽きちゃったんですよ。もちろんスキマスイッチは続けるつもりだったけど、やり方を変えないとダメだろうなと。
大橋 でもスキマスイッチを辞めるというのは頭の片隅にもなかった。やることが見つからないことで辞めるという発想につながらなかったし、2人のうちどちらかが「今は制作モードじゃないんだよね」と言っても、「あ、そうか」ということになるだけなので。それも含めてスキマスイッチの活動なんですよ、自分たちにとっては。外から見て「何もやってないじゃん」という状態ですら、僕らにとっては活動の一部と言うか。
常田 引き算ではなく、足し算で考えたいという気持ちはありましたけどね。それがカバーライブや「re:Action」につながったんだと思います。
大橋 わがままなところもあったと思うんですよね、たぶん。ファンの中には「リアレンジアルバムよりも、早く新曲を作ってほしい」という意見もあっただろうし。でもそういう気持ちに応えて新曲を作るのは“僕ら発信”ではないと思うんです。自分たちがやりたいことを抑えて、ファンの人たちのために一肌脱ぐのはちょっと違うと言うか。あとから振り返ったときに、その時期の自分たちを否定してしまいそうな気がして。
──あくまでもメンバーから発信することが大事だと。
大橋 楽曲作りに関してはそうですね。例えばライブ中にお客さんの「あの曲歌って」という要望に応えて歌うとするじゃないですか。そういうサービスはいいと思うんですけど、楽曲を作ることはまったく違うんです。すべて自分たちの意志に沿ってやりたいというわけではないけど、楽曲作りは自分たちの中から出てきたものを育てる形じゃないと納得できないので。スキマスイッチは2人組だから、1人くらいそういう考えでもいいかなって(笑)。
常田 (笑)。僕も“発信者でなければいけない”という気持ちはありますよ。人に聴かれて初めてポップスですけど、最初に音を爪弾くのは自分たちじゃないと。それは僕が音楽をやっている理由でもあるし、発信するモノに対しては責任を持ちたいんですよね。一度発表した作品は、あとから言い直すことができないから。
──CMや主題歌などのタイアップ曲に対しては、どんな考え方なんですか?
大橋 0を1にするというより、1を10にする感じかな。タイアップの内容と自分が書きたいことをすり合わせ、うまく形にすると言うか。職人っぽい作り方ではあるんですけど、そこで自分たちが納得できればいいので。どうしてもイヤなことはやらないですけど(笑)。そう思うのはたぶん自分で歌うからでしょうね。ほかの人に提供する楽曲だったら、また違った考え方ができるんだろうけど。自分で歌う曲、スキマスイッチの楽曲となると、どうしてもこだわりが出てくるので。
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「さよならエスケープ」から導かれた“原点回帰”というテーマ
- スキマスイッチ「新空間アルゴリズム」
- 2018年3月14日発売 / AUGUSTA RECORDS
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初回限定盤 [SHM-CD+DVD]
3996円 / UMCA-19056 -
通常盤 [CD]
3186円 / UMCA-10056
- CD収録曲
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- リチェルカ
- LINE(shinku-kanmix)
- パーリー!パーリー!
- ミスランドリー
- Revival
- 未来花
- ミスターカイト(shinku-kanmix)
- Baby good sleep
- さよならエスケープ
- リアライズ
- 初回限定盤DVD収録内容
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- 「LINE」Video Clip
- 「ミスターカイト」Video Clip
- 「この闇を照らす光のむこうに-スキマスイッチver.-」(2017.12.28 COUNTDOWN JAPAN 17/18@幕張メッセ国際展示場)
- 「新空間アルゴリズム」Special Interview
- SUKIMASWITCH TOUR 2018 "ALGOrhythm"
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- 2018年4月11日(水)神奈川県 カルッツかわさき(川崎市スポーツ・文化総合センター)
- 2018年4月14日(土)宮城県 仙台サンプラザホール
- 2018年4月18日(水)大阪府 フェスティバルホール
- 2018年4月19日(木)大阪府 フェスティバルホール
- 2018年4月27日(金)香川県 サンポートホール高松
- 2018年4月28日(土)高知県 県民文化ホール オレンジホール
- 2018年5月3日(木・祝)岡山県 倉敷市民会館
- 2018年5月4日(金・祝)鳥取県 米子コンベンションセンター
- 2018年5月6日(日)広島県 広島文化学園HBGホール
- 2018年5月9日(水)福岡県 福岡サンパレスホテル&ホール
- 2018年5月12日(土)新潟県 新潟テルサ
- 2018年5月13日(日)石川県 本多の森ホール
- 2018年5月19日(土)栃木県 宇都宮市文化会館
- 2018年5月20日(日)群馬県 ベイシア文化ホール
- 2018年5月29日(火)青森県 八戸市公会堂
- 2018年5月30日(水)山形県 やまぎんホール(山形県県民会館)
- 2018年6月1日(金)福島県 會津風雅堂
- 2018年6月6日(水)東京都 NHKホール
- 2018年6月10日(日)愛知県 名古屋国際会議場センチュリーホール
- 2018年6月11日(月)大阪府 オリックス劇場
- 2018年6月18日(月)京都府 ロームシアター京都
- 2018年6月19日(火)兵庫県 神戸国際会館
- 2018年6月29日(金)北海道 北見市民会館 大ホール
- 2018年7月1日(日)北海道 ニトリ文化ホール
- 2018年7月3日(火)北海道 七飯町文化センター
- 2018年7月9日(月)愛知県 刈谷市総合文化センター
- 2018年7月12日(木)埼玉県 大宮ソニックシティ 大ホール
- 2018年7月19日(木)東京都 中野サンプラザホール
- 2018年7月20日(金)東京都 中野サンプラザホール
- 2018年7月26日(木)静岡県 アクトシティ浜松 大ホール
- 2018年7月27日(金)三重県 亀山市文化会館 大ホール
- 2018年8月8日(水)熊本県 市民会館シアーズホーム夢ホール(熊本市民会館)
- 2018年8月9日(木)鹿児島県 宝山ホール(鹿児島県文化センター)
- 2018年8月12日(日)沖縄県 沖縄コンベンションセンター
- スキマスイッチ
- 大橋卓弥(Vo, G)、常田真太郎(Piano, Cho)のソングライター2人からなるユニット。2003年7月に「view」でデビューして以降、「奏(かなで)」「全力少年」などヒット曲を次々と生み出す。2013年7月にはデビュー10周年を迎え、同年8月には初のオールタイムベストアルバム「POPMAN'S WORLD~All Time Best 2003-2013~」を発表。2017年2月には彼らが敬愛する12組のアーティストをプロデューサーに迎え制作された、過去に発表した楽曲をリアレンジしたアルバム「re:Action」をリリースし、同企画に参加したアーティストとの対バンツアーも行った。9月には25枚目のシングル「ミスターカイト / リチェルカ」を発売。デビュー15周年を迎える2018年3月に7thアルバム「新空間アルゴリズム」をリリースし、4月から、全国ツアー「SUKIMASWITCH TOUR 2018 "ALGOrhythm"」で全国27カ所34公演を行う。