ラグビーのキーワード「共有」

──その結果、より自由度が上がっているのかもしれませんね。2曲目の「ハナツ」は力強さとポップな手触りが共存するバラードナンバーです。

大橋　高校ラグビーのテーマソング（「第95回全国高校ラグビー大会」テーマソング）のお話をいただいて書き下ろしました。僕らはラグビーの経験者でもないですし、最初は「自分たちでいいのかな？」って思ったんですよ。でも「ラグビーの合宿所に行って、選手から話を聞いたことを形にしてほしい」という企画だったから、すごく興味を惹かれて。

常田　長野県の菅平に行って話を聞かせてもらいました。試合も見せてもらったし、監督さんからも話を伺うことができて、いろんな発見がありましたね。3チームから話を聞いたんですが、みなさんが「共有」ということを言っていて。1つのボールを全員で運ぶわけですけど、ラグビーボールは落としたらどこに転がるかわからないから、「大事につなぐ」という気持ちが強いんですよね。あとは守りと攻めが分かれていなくて、全員がヒーローになれる可能性がある。その2つをどうにか表現したいと思っていましたね。

大橋　チームの目的は試合に勝つことですけど、それよりも選手同士の信頼関係、絆の強さが印象的だったんです。もちろん苦しいこともあるし、試合に勝てば「よかった」と思うだろうけど、きっとラグビーをやってる人たちは「全員で共有しているこの時間がずっと続いたらいいな」と思うんじゃないかなって。ラグビーには細かいルールがたくさんありますけど、相手の陣地にボールを置きにいくというシンプルなスポーツだとも思うんです。責任を持ってボールを受け取って、それをチームの仲間に託す……そのときの気持ちというのは、何にでも共通しているんじゃないかなって。例えば「星のうつわ」で表現した“先輩から後輩への継承”にも通じてますからね。

──「LINE」のテーマとも重なるところがありそうですね。

大橋　そうですね。

強力バンドメンバーでJ-POPを追求

──「ハナツ」のレコーディングに参加しているミュージシャンも興味深くて。ドラムが吉田佳史（TRICERATOPS）さん、ベースが三浦淳悟（ペトロールズ）さん、そしてギターがフジイケンジ（The Birthday）さんって。このメンバー、すごいですよね。

大橋　こういうバンドがあったら面白いでしょうねー（笑）。

常田　「ハナツ」は“J-POPのバンドのバラード”みたいなイメージだったんですよ。そういう曲はあまり作ってなかったし、僕らが聴いてきたJ-POPを追求してみたいと思って。吉田さんには以前から「一緒に何かやろうよ」という話をしてもらってたんですよね。吉田さんは僕の隣の地元中学の先輩というつながりもあるし、今住んでるところも近くて、ちょくちょくゴハンを食べに行くこともあって。スキマスイッチを組んだ頃、卓弥がTRICERATOPSの曲を弾いていた思い出もあるし。

──スキマスイッチはTRICERATOPS、GRAPEVINEの少し下の世代ですからね。

大橋　うん。

常田　その2つのバンドも「カッコいい」と思って聴いてましたからね。三浦さんは吉田さんに紹介してもらったんです。ギターに関しては「こういうタイプの曲はフジケンさんだな」って自分たちの中で決まっていて。「ラストシーン」という曲もそうですけど、バラードでカッコいいギターを弾いてくれるんですよね。

大橋　ただ、フジケンさんは「俺はそういう感じじゃないんだけどな。間違って捉えてない？」って言ってましたけど（笑）。

──ははは（笑）。今はThe Birthdayのイメージが強いですが、すごく幅広い楽曲に対応できるギタリストですよね。

常田　そうなんですよね。複雑なコードもすごくキレイに弾く方なので。

大橋　僕らの中ではマイラバ（My Little Lover）のイメージなんですよね。それをフジケンさんに伝えたら「じゃあ、今日はマイラバに戻るか」って（笑）。

常田　冗談でもそう言ってくれるのはうれしいですよね。

スキマスイッチのこだわり

──そして今回のシングルには「スキマスイッチのミッドナイト・グッドモーニン!!-2-」も入ってまして。ラジオ番組風トークコンテンツ第2弾ですが、2人はこういう企画がホントに好きですよね。

大橋　好きですね（笑）。

常田　余ってますからね、CDの収録時間が。まあ、人によっては無駄遣いって思うかもしれないけど。

大橋　25分ありますからね。ボーナスDVDに入っているほう（「スキマスイッチのミッドナイト・グッドモーニン!!-2- THE MOVIE」）はもっと長いっていう（笑）。

──アントニオ猪木さんのモノマネで「星のうつわ」を歌うという大ネタもあって（笑）。これはファンサービスの一環なんですか？

大橋　うーん、サービスっていう感じとは違うかな。

常田　結果的にそうなればいいなと思ってますけど、自分たちがやりたいからやってるだけですね。あとはCDパッケージにこだわってるところもあります。12cmのCDとジャケットで何ができるだろう？というのはずっとやってきてることなので。「ミッドナイト・グッドモーニン!!」は作家さんにも制作に入ってもらってるんですよ。

──番組のジングルもしっかり作ってあるし、クオリティが高いですよね。

大橋　だからCDを買ったほうがいいと思うんですけどね。ウチなんて、毎日のようにCDが届きますよ。まあ、僕が注文してるからなんですけど（笑）。データをダウンロードするのもいいけど、やっぱり所有したいんですよね。

──最後に今後の展開について。この後も制作が続いていくことになると思いますが、新しいことにチャレンジしていきたいという気持ちも強いですか？

大橋　新しいことをやりたいというよりも、これから何が出てくるか楽しみにしてるところはありますね。2人の化学反応も今までと違ってくる可能性が高いと思うし、いろんな制限を外すことで、モノを作るための手札が増えてきた感覚もあるので。あと、実は来年のことも考え始めてるんですよ。ちょっと面白いことを思い付いたので、それを実現させたいと考えています。