音楽ナタリー Power Push - スキマスイッチ
充電期間に見出したテーマ「歴史か過去か」
スキマスイッチがニューシングル「LINE」をリリースした。
テレビ東京系アニメ「NARUTO -ナルト- 疾風伝」オープニングテーマとして制作された表題曲は、エモーショナルなバンドサウンドとシンセサイザーの音が融合したミディアムチューン。「通り過ぎていった時間を歴史とするか、過去とみなしていくのか」というテーマを掲げた歌詞を含め、スキマスイッチの新しい音楽世界を体感できる楽曲に仕上がっている。
音楽ナタリーでは2人にインタビューを実施し、昨年12月発表のセルフタイトルアルバムを引っさげ1~4月に行った全国ツアーの手応えから本作に至る経緯について、じっくりと語ってもらった。
取材・文 / 森朋之 撮影 / 小坂茂雄
音楽をしっかり届けたツアー
──まずはアルバム「スキマスイッチ」を中心としたツアーを振り返ってみたいと思います。シングル発売日の11月11日にはツアー追加公演の東京・日本武道館ライブを収録した映像作品(「スキマスイッチTOUR 2015 “SUKIMASWITCH”SPECIAL THE MOVIE」)も同時リリースされますが、こちらのツアーの手応えはどうでした?
大橋卓弥(Vo, G) 「スキマスイッチ」というアルバムは、音楽的にやりたいことを詰め込んだ作品だったので、ライブに関しても「音を届けたい」という気持ちがあったんです。今までのツアーではサーカスみたいなエンタテインメント性も追求してきたんですけど、今回は音楽、演奏に集中したんですよね。最初は「どうなるかな?」と思ってたんだけど、ツアーを回って演奏やセットリストが固まっていくうちにお客さんも受け入れてくれた感じがあって。音楽をしっかり届けられたという印象はありますね。
常田真太郎(Key, Cho) 今のバンドメンバー(石成正人[G]、種子田健[B]、村石雅行[Dr]、浦清英[Key]、松本智也[Per]、田中充[Tp]、本間将人[Sax])とツアーを回るのは4回目くらいなので、成熟度をちゃんと出したほうがいいなとも思ってました。あとは「ライブのパッケージとして、どれくらいの長さがちょうどいいか」ということも考えましたね。今までは1曲1曲仕上げていく感じだったんですけど、今回は「ワンステージをどう見せるか?」ということを意識してたので。個人的には楽器をすごく弾いたなという印象もありました。とにかく後ろのメンバーがすごいので、そこに食らいついていかないとなって。
──同じメンバーでツアーを回っていても、まったくマンネリ感がないですよね。まだこんなに引き出しがあるのかと思うくらい、多彩な演奏が展開されていて。
常田 マンネリ感を出さないようにしてくれてるんでしょうね。
大橋 だからすごい人たちなんですよ。
常田 しっかり雰囲気も作ってくれますからね。ライブのためのアレンジをしているときはクリエイティブになるし、通しリハや本番のときはいいテンションに持っていってくれて。ただ楽器を弾くのがうまいというだけではなくて、リハを含めてツアーの過ごし方もすごくうまいんですよ。
ファンの成熟
──音楽的には本当に高度だと思うんですが、それをお客さんが理解して、しっかり楽しんでいるのも印象的でした。スキマスイッチのオーディエンス、耳が肥えてますよね。
大橋 偉そうなことを言う気はないですけど、一緒に成長しているところはあるかもしれないですね。僕らから「こういう音楽の楽しみ方もありますよ」って提示しても、それを受け入れてもらえなかったら、お客さんはポカンとしちゃうと思うんですよ。お客さんは音楽的な部分にも興味を持ってくれるし、例えばバンドメンバーのソロ演奏もすごく楽しんでくれるんですよね。「スキマスイッチのライブなんだから、僕らだけ観てもらえればいい」ということではないステージをやりたいし、それが伝わっているのはうれしいですね。
常田 ファンの方がバンドメンバーのライブに足を運ぶこともあるみたいなんですよ。小規模のセッションライブとか。
大橋 そうやって音楽ファンになってくれるのはすごくいいよね。
──あと、演奏の質が上がれば上がるほど、2人のMCのリラックスぶりも際立ってますけどね。
常田 好き放題やらせてもらってますからね(笑)。お客さんの反応にも助けられてるところもありますけど。
大橋 そうだね(笑)。あまりカッコつけてもしょうがないというか、MCは素の姿を見てもらえばいいと思っていて。演奏してるときはちょっと遠い存在になって、話し始めると近くなる。その繰り返しがいいと思うんですよね、僕らのステージって。内容はどんどん変化してますけど、MCをなくしたら受け入れてもらえないと思うんですよ。今はMCのスタイルもできてるし、そこは喜んでもらえてるんじゃないかなって。
常田 全然話が着地しないこともあるけどね(笑)。
大橋 あるね(笑)。でも、それもいいと思うんです。ツアーが進むと、演奏はある程度似てくるじゃないですか。そうなると、その日だけの会場の雰囲気を作るのはMCだったりしますからね。
常田 そういう意味では、自分たちのためにやってるところもあるよね。
大橋 そうだね。
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- ニューシングル「LINE」2015年11月11日発売 / アリオラジャパン
- 初回限定盤 [Blu-spec CD2+DVD] 1944円 / AUCL-30032~3 / Amazon.co.jp
- 通常盤 [CD] 1296円 / AUCL-190 / Amazon.co.jp
- アニメ盤 [CD] 1404円 / AUCL-191 / Amazon.co.jp
初回限定盤 / 通常盤CD収録曲
- LINE
- ハナツ
- スキマスイッチのミッドナイト・グッドモーニン!! -2-
- LINE (Backing Track)
- ハナツ (Backing Track)
初回限定盤DVD収録内容
- スキマスイッチのミッドナイト・グッドモーニン!! -2- THE MOVIE
アニメ盤CD収録曲
- LINE
- ハナツ
- スキマスイッチのミッドナイト・グッドモーニン!! -2-
- LINE (anime ver.)
- LINE (Backing Track)
- ハナツ (Backing Track)
- ライブBlu-ray / DVD「スキマスイッチTOUR 2015 “SUKIMASWITCH” SPECIAL THE MOVIE」2015年11月11日発売 / アリオラジャパン
- Blu-ray Disc / 7344円 / AUXL-30 / Amazon.co.jp
- DVD / 6480円 / AUBL-51 / Amazon.co.jp
スキマスイッチ
大橋卓弥、常田真太郎のソングライター2人からなるユニット。2003年7月にシングル「view」でデビューして以降、「奏(かなで)」「全力少年」 などヒット曲を次々と生み出す。2013年7月9日にデビュー満10周年を迎え、同年8月には初のオールタイムベストアルバム「POPMAN'S WORLD~All Time Best 2003-2013~」を発表。2014年に「Ah Yeah!!」「パラボラヴァ」「星のうつわ」とシングルを立て続けに発表し、12月にセルフタイトルを冠した約3年ぶりのオリジナルアルバム「スキマスイッチ」をリリースした。2015年はアルバムを携えた全国ツアーを実施し、その追加公演となる東京・日本武道館公演の模様を収録したライブアルバムを2015年10月、Blu-ray / DVDを同年11月に発表。同じく11月にはニューシングル「LINE」をリリースした。