ナタリー PowerPush - スキマスイッチ

新たな一歩を踏み出すスキマ流ロック

“ライブハウス出身”のスキマスイッチ

──3曲目には今年4月に行われたメレンゲとの対バンライブ(「PREMIUM LIVE SERIES 2014 "THE DREAM MATCH #1"」)の音源「passage(from新宿LOFT 2014.4.9)」が収録されています。新宿LOFTはデビュー前によく出演してたライブハウスなんですよね?

常田 そうですね。自主企画イベントをやらせてもらったり。……うまくいきませんでしたけど(笑)。

大橋 思ったようにお客さんが入らなくて。

常田 でも、すごく懇意にさせてもらってたんですよ。大きなイベントのときに「名前を売りなよ」って声をかけてもらって、サブステージでクローズドアクトをやらせてもらったり。終演後、帰るお客さんに向けて演奏するっていう。

スキマスイッチ

大橋 オープニングアクトの逆ですね。

──じつはライブハウス出身なんですよね、スキマスイッチは。

常田 そうですね。あまり知られてないですけど。

大橋 LOFTでライブやったのって、10年ぶりくらい?

常田 うん。デビューした年(2003年)の秋にやって、それ以来だから。そのときもメレンゲと対バンしたんですよ。4月のイベントのときも「10年後にこうやって対バンできるって、すごいね」って話していて。メレンゲとはほぼ同期だし、同志、戦友みたいな感覚もあるんですよね。

──同世代のバンドって、他にはどんな人たちがいるんですか?

常田 レミオロメンとか、音速ラインとか。

大橋 フジファブリックもそうだよね。

常田 うん。あとはゲントウキ、ダブルオー・テレサ。

大橋 初恋の嵐。

──いいバンドばっかりですねー。

大橋 バンドブームだったんでしょうね。

常田 バンド系のフリーペーパーとかもたくさんあったし。

大橋 僕らみたいな“2人組”なんて他にいなかったから、ライブでお客さんを集めるのが大変だったんですよ。

常田 ライブも基本的にアコギとピアノだったしね。

──それが今や、日本のポップスを背負うような存在に……。

常田 なんてこと言うんですか(笑)。そのプレッシャーはイヤだな……。

大橋 そう思ってもらえるのはうれしいですけど、言わないでほしかった(笑)。

“変わらずにやっていく”ことが強み

──質の良い日本のポップスの系譜みたいなものがあるとしたら、スキマスイッチはそれを引き継ぐアーティストの1つだと思いますけどね。

常田 うれしいですけどね、そう言ってもらえると。まず、環境に恵まれてるっていうのが大きいでしょうね。やりたくてもやれない人もいると思うので。卓弥もよく言ってますけど、僕らはすごく運がいいんじゃないかなって。

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──今回のシングルのレコーディングにもトップミュージシャンの方々が参加してるわけですからね。今となっては、すごく贅沢な作り方だなと。

常田 そうですよね。「いつもスタジオで一発録りしてるって、すごいね」ってよく言われるので。

大橋 僕らが好きで聴いていた曲に参加してたミュージシャンの方々と一緒にやらせてもらってるわけですからね。それはすごく幸せなことだと思います。あと、僕らが「こういう感じでやりたいんですよね」って参考のCDを持っていったりすると、「よくそんなの知ってるねー」って興味を持ってもらったり。ミュージシャン同士のつながりが感じられるのもうれしいんですよね。

常田 だからこそ、裏切っちゃいけないよね。

──先輩ミュージシャンの期待に応える作品を作らなくちゃいけない、と。

大橋 そうですね。「J-POPシーンを背負う」みたいなおこがましいことは一切考えてないですけど、そこは守っていきたいという気持ちはあるので。なんというか、僕らは“変わらずにやっていく”っていうことが強みだと思うんですよ。流行に乗っかろうとすると、すぐダメになる気がする。

常田 ハハハハハ(笑)。でも、そうだろうね。

大橋 10年やってきて、「お客さんがしっかり聴いてくれてるな」という実感を持てるようになったんですよね。流行を取り入れたいっていう誘惑もあるんですけど(笑)、それをやると「スキマスイッチ、変わっちゃったな」って言われるだろうなって。それはすごく想像できますね。

──“質の高いポップス”というスタンスを守りながら、音楽性を深め続ける、と。「Ah Yeah!!」もまさにそういう作品ですよね。しっかり聴けば「お、今回はこう来たか」という発見もあるし。

常田 そういうリスナーの方がいてくれるのはうれしいですね。自称評論家というか(笑)、「この曲、大橋くんのボーカルが少し違うんだよ」みたいなことを語ってほしいなって。もちろん、普通に聴いてもらえるだけでもうれしいんですけどね。

──アニメの主題歌としても機能しつつ、コアな音楽ファンが語りたくなるような曲を作るというか。

大橋 あくまでもポップスなんですからね、僕らがやってるのは。

常田 どこでも、どんな人にも届くような曲を作りたいっていうのはありますね。

──そういえば大橋さん、去年のライブでも「これからもどんどん新しい曲を作っていくので、なんでもいいから意見をください」って言ってましたよね。

大橋 そうですね。それこそ「変わっちゃったな」でもいいし、「今回の曲はスキマスイッチらしくない」でもいいんですけど、とにかく思ったことを素直に伝えてほしいなって。言い方がよくないかもしれないけど、今って、曲が捨てられるイメージがあるんですよ。だったら、せめて一言欲しいなって。無言がイヤっていうか、やっぱり(リスナーからの)温度感がほしいんですよ。こっちも体温を注いで作ってるので。

常田 共有したいってことだよね。それはライブにも共通してるんですけど。

──この先はまず、次のアルバムを目指して制作を続けると。

大橋 はい。がんばってます。「年内に出したい」って言ったので。

常田 (新曲は)自分たちを解放して作ってるから、ちょっと濃くなりすぎてるんですよね。アルバムにまとめるためには、もっと考えないと……。でも、面白い作品になると思いますよ。

スキマスイッチ / Ah Yeah!! (Short Edit Ver.)

ニューシングル「Ah Yeah!!」 / 2014年7月23日発売 / アリオラジャパン
初回限定盤 [Blu-spec CD2 + DVD] 1944円 / AUCL-30020~1
通常盤 [CD] 1296円 / AUCL-162
アニメ盤 [CD] 1404円 / AUCL-163
初回限定盤および通常盤CD収録曲
  1. Ah Yeah!!
  2. 夏のコスモナウト
  3. passage(from 新宿LOFT 2014.4.9)
  4. Ah Yeah!!(backing track)
初回限定盤DVD収録内容
  • 「SHINJUKU LOFT 15th ANNIVERSARY PREMIUM LIVE SERIES 2014 THE DREAM MATCH#1」Documentary & Live
アニメ盤CD収録曲
  1. Ah Yeah!!
  2. 夏のコスモナウト
  3. passage(from 新宿LOFT 2014.4.9)
  4. Ah Yeah!!(anime ver.)
  5. Ah Yeah!!(backing track)
スキマスイッチ
スキマスイッチ

大橋卓弥(Vo, G)、常田真太郎(Key)のソングライター2人からなるポップユニット。大橋が自分の曲のアレンジを常田に依頼したことをきっかけに1999年に結成された。2003年7月にシングル「view」でデビューしてからは「オフィスオーガスタ」所属の新人として話題を集め、フックの効いたメロディと心地よいアレンジで人気沸騰。2ndシングル「奏(かなで)」がロングヒットを記録し、1stアルバム「夏雲ノイズ」はオリコン週間チャート2位を獲得した。2005年には5thシングル「全力少年」で「第56回NHK紅白歌合戦」初出場。翌2006年には7thシングル「ボクノート」が「第48回日本レコード大賞」金賞(大賞ノミネート作品)に選出された。デビュー10年目を迎えた2013年には6月に18thシングル「スカーレット」、7月に19thシングル「Hello Especially」を立て続けに発表し、8月には初のオールタイムベストアルバム「POPMAN'S WORLD~All Time Best 2003-2013~」が発売された。2014年7月には通算20枚目となるニューシングル「Ah Yeah!!」とライブDVD「Sukimaswitch in Augusta Camp 2013」をリリース。