音楽ナタリー PowerPush - sukekiyo
京が体現する“予定調和外”
細々と地味にマニアックなことを
──タイトルの「VITIUM」には欠点、欠陥、異常などの意味があります。この言葉をタイトルにしたのはどうしてですか?
曲が出そろって、全体像が見えてから付けたんですけど……今の時代ってどれが異常でどれが正常かがよくわからない世界だと思うんですよ。誰かが決めた一般常識からハミ出れば“異常”ってことになるんだろうけど、そういう部分は誰もが隠し持っていると思うんですよ。実際、“異常”と言われるような事件もいっぱい起きてるし。
──現在の社会の空気も反映されてる?
うん、もちろん。それが歌詩の世界観にも影響しますから。
──なるほど。それにしても“正常と異常”というテーマはsukekiyoにピッタリですね。バンドのフォーマットとかジャンルとか、決まった形から逸脱することがこのバンドの本質の1つだと思うので。
そうですね。決まった形を守っていくことも大事だとは思うんだけど、それだけでは新しいものは生まれないですからね。ときには古いものを壊していかないとダメだろうし……。「これはやったらアカンやろう」とか「この組み合わせ、誰が得するの?」ということをあえてやることで、得られるものが必ずあると思うんです。そういうバンドが1つくらい存在していてもいいんじゃないかって。
──京さんはとにかく予定調和が嫌いなんでしょうね。バンドのスタイルもライブの在り方も、すべてにおいて。
予定調和のほうがラクだし作りやすいとは思いますけど、「まあ、そうなるよな」と予想できるものは見ていて面白くないので。客観的に見たときにワクワクできるかどうかは、いつも考えているんですよね。その上で、どこにも属さない、ジャンルもわからない、すべてにおいて何をするかよくわからないバンドでいたいとは思います。新しいことに挑戦していないと、自分たちがバンドをやってる意味がないですから。
──無理に間口を広げようとも思ってないんですよね?
いや、広げられるなら広げたいんですけど、その方法がわからないんです。たまたま聴いて、「ちょっと気になるな」って思う人を増やしていくくらいかな。基本的にドーンといけるバンドじゃないと思うんですよ。まあ細々と地味にマニアックなことをやろうと思ってるんで。
Toshlと三上博史への憧れ
──今回のアルバムに参加しているコラボレーション相手も、完全に予想外の人選で。まずはX JAPANのToshlさんですが、もともと接点はあったんですか?
いや、接点はなくて。中学生の頃からX JAPANをずっと聴いてたんですけど、Toshlさんの魅力は「似てる声の人がまったくいない」っていうところですよね、やっぱり。つい最近もテレビで歌ってるところを観て、やっぱりすごいな、と。昔よりもさらにすごくなってると思ったし、刺さるものがあって。で、ぜひ、一緒にやらせてもらいたいな、と。
──「雨上がりの優詩」を歌ってもらったのはどうしてですか?
歌モノなんだけど、和の色が強いというか、ちょっと日本っぽい感じの曲なんですよね。そういう曲をToshlさんが歌っているイメージが湧かなかったので、「どんな感じになるのかな?」という興味もあって。個人的に聴いてみたかったということですよね。いちファンとして「どういうことにワクワクするだろう?」って常に考えているので。依頼したあとで歌が入ったトラックデータを送ってもらったんですけど、素晴らしかったですね。「直しがあったら言ってください」って言われてたんですけど何もなかったです。
──三上博史さんに関しては?
役者としても歌手としても昔から大好きで。音楽に関しては、世界観もすごいし、声もめちゃくちゃ好きなんですよ。あと「やりたいことに対して妥協しない人だな」っていうのが音から見えてくるんですよね。いわゆるポップな曲が全然なくて、マニアックな曲だけのアルバムがあったり。カッコいいですよね、媚びてなくて。三上さんの音楽をもっといろんな人に知ってほしいというのもあったし、ずっと前から「一緒に何かやってみたい」って思ってたんです。
──三上さんは「focus」を歌っていて。もともと三上さんの音楽は耽美的なイメージもあるから、sukekiyoとの相性もいいですよね。
うん、めっちゃよかったです。スタジオでいろいろ話もできたんですけど、すごく楽しんでやってくれてるのが伝わってきて。「この曲難しいよ」って言ってたんですけど、サラッと歌ってらっしゃいましたね。頭のところのセリフは三上さんのアドリブなんです。「まずは軽く歌ってみてもらえますか?」って言ったら、いきなり語りを入れてきて。こっちとしては「え、何それ?」ですよね。
──そういう驚きを求めていたところもある?
そうですね。さすがだと思ったし、「ぜひ使わせてください」って。
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- 1stミニアルバム「VITIUM」 / 2015年2月4日発売 / FIREWALL DIV.
- 初回限定盤 [CD2枚組] 3240円 / SFCD-0150~1
- 通常盤 [CD] 2700円 / SFCD-0152
- 京公式オンラインストア限定販売
- 「VITIUM」
- 豪華盤 [Blu-spec CD2+CD+Blu-ray+Tシャツ+ブックレット] 10000円 / PZSK-007~9
- 初回限定盤 [Blu-spec CD2+CD+Blu-ray+ブックレット] 7500円 / PZSK-007~9
CD収録曲
- leather field
- dunes
- dot
- foster mother
- 雨上がりの優詩
- maniera
- 白露
- celeste
- focus
初回限定盤および京公式オンラインストア限定豪華盤 / 初回限定盤特典CD収録内容
Collaboration Track
- 雨上がりの優詩 Collaboration with Toshl
- focus Collaboration with 三上博史
- elisabeth addict Remixed by Renholder
- latour Collaboration with Wes Borland
京公式オンラインストア限定豪華盤 / 初回限定盤Blu-ray収録内容
- Music Video
- 雨上がりの優詩
- focus
- LIVE FOOTAGE(sukekiyo 二〇一四年公演「別れを惜しむフリは貴方の為」 2014年5月6日 京都劇場)
- aftermath
- hidden one
- scars like velvet
- zephyr
- mama
- in all weathers
- DOCUMENTARY FOOTAGE
sukekiyo(スケキヨ)
DIR EN GREYのボーカリスト・京のソロプロジェクトとして2013年10月より始動した。2013年12月29日に行われたSUGIZO(LUNA SEA、X JAPAN)のツアー「SUGIZO TOUR 2013 THRIVE TO REALIZE」のSHIBUYA-AX公演で初ライブを行い、年末の「COUNTDOWN JAPAN 13/14」に出演する。2014年元日にメンバーを含むプロジェクトの全貌を明らかにし、初音源「aftermath」のビデオクリップを配信。4月に1stアルバム「IMMORTALIS」を発表し、その後初ツアーを開催する。2015年2月に1stミニアルバム「VITIUM」をリリース。