ナタリー PowerPush - 菅原紗由理
プロデューサー3人との対談で明かされるアルバムの全貌
菅原紗由理が2ndフルアルバム「Open The Gate」をリリースする。これまでの自分と、新しい自分の両方を詰め込んだと語る今作は、バラードからアップテンポなナンバーまでさまざまな曲調に真摯に向き合う彼女の歌声に心揺さぶられる作品。今回のインタビューでは、今作に携わったクリエイターたちとの対談3本立てでお送りする。BENNIE Kの活動からプロデュース業にシフトしたYUKI“Jolly Roger”、サウンドプロデューサーであり作曲家でもある久保田真悟(Jazzin’park)、そしてデビュー当時からのプロデューサーであるSinとともに、今回の制作について話を訊いた。
取材・文 / 上野三樹 撮影 / 佐藤類
菅原紗由理×YUKI“Jolly Roger”(BENNIE K)
紗由理ちゃんは正義感が強い子なんだろうなと思った
──菅原さんがYUKIさんと楽曲制作されたのは昨年リリースされたミニアルバム「Forever...」に収録された「風」からですよね?
菅原紗由理 そうですね。でもその前から一緒に焼き鳥屋に行ったりとかしてて(笑)。その頃は私がデビューして1年ちょっとなときだったので、仕事の面でもプライベートな面でも相談に乗ってもらったりしていました。
──焼き鳥屋さんで話した当時は、曲を作ろうという前提で話してたんですか?
菅原 私は高校生のときからBENNIE Kの曲をずっと聴いてたので、YUKIさんと一緒に曲を作りたいなという思いはありました。憧れの存在でもあったので、お会いしたときは緊張してたんですけど。一緒に曲を作りたいなという話から、私の高校時代はこういうことがあって、みたいないろんな話をして。「今、話したことで曲ができそうだね」とか、そういう感じでしたね。
YUKI これは皆さんのイメージとは違うかもしれないんですけど、紗由理ちゃんはBENNIE KのCICOちゃんと似てるところがあって、私は初めて会った感じがしなかったんですよ(笑)。
──そうなんですね。今回のアルバムにはYUKIさんが作詞・作曲・編曲を手がけた「バスケットコート」が収録されていますが、これはどのように制作したんですか?
菅原 私は中学のときにバスケットをやってて、高校にもスポーツ推薦で入ったんですけど、音楽の道に進もうと思って、部活を2カ月で辞めちゃったんです。そんないろんな思い出も含めてYUKIさんに書いていただきました。
YUKI 紗由理ちゃんと話してて、正義感の強い子なんだろうなっていう気がしたんですよ、なんとなく。世の中には人を慰めるような曲ってたくさんありますけど、慰められたいんじゃなくて気持ちの整理がつくまでに時間がかかってる状態ってよくあると思うんですね。でも今の世の中は時間の流れがすごく早くて、相手の気が済むまで一緒にいるって簡単なようでなかなかできない。でもこの曲は相手が落ち着くまで側にいるからねっていう曲なんです。別に泣かなくてもいいし、嫌だったことを無理に言う必要もないけど、気が済むまで一緒にいるよ、という。そういうのって今、本当は必要なんじゃないかなって、そういう正義感がきっと紗由理ちゃんの中にあるような気がしたので、書かせていただきました。
菅原 私も、バスケットをやってたときに、今も仲良しの親友が悩んでたこともあったなとか過去のことも思い出しながらレコーディングで歌いました。
小さい頃みたいなありのままの自分に戻れたら
──そしてアルバムのラストを飾る「SONOMAMA」では菅原さんとYUKIさんが一緒に作詞されていますね。
菅原 この曲は、みんなで一緒にライブで歌える曲を作りたいなって思って。今までの私は、バラードを歌ってるイメージが強いってよく言われるんですけど。ライブを重ねてきて、お客さんもはじけて一緒に歌いたいんじゃないかな?って思うようになってきて。
YUKI ちょうどこの曲を作り始めた時期が震災の後だったので、今現在、必要とされている音楽ってどういう音楽なんだろうね?っていう話をしてたんです。そういうときに自然とできた曲が「SONOMAMA」でもあるので、内容としてもみんなで歌うべき曲でもあるのかなと思います。
──立ち止まってみよう、とも歌われていますが。立ち止まることも勇気がいることだったりしますよね。
菅原 その頃、上京してから改めて昔の友達や親戚に会ったりしている中で、すごく「なんでなんだろう?」って思ったことがあったんですね。というのも、小さい頃って「相手にどう思われるんだろう」とかプライドとか、そういう気持ちはなかったのに、大人になるにつれて、会った瞬間に相手のことを疑っちゃったりとか、「なんでこんなふうに思うんだろうな?」って、1人で勝手に悩んでたんですけど。そのときにYUKIさんにこの曲を作ってもらって、この曲で、ありのままでいられる自分でありたいなっていう思いをぶつけたかったというか。
──昔からの友達に合うと、会ってなかった時間を感じさせないほど会話が弾んだなんてことよく聞きますけど、そうじゃなくて違和感を感じてしまったってことですか?
菅原 そうですね……今の私で会えば多分違うと思うんですけど、そのときは複雑な気持ちがあったのか、もっと昔みんなでワイワイしてた頃に戻れたらいいのになっていう思いがあって。だからそういうプライドとか劣等感とかいろんなものを取っ払って、ありのままの自分に、小さい頃みたいに戻ることができたらいいなって。そうやって考えてるのって私だけじゃないのかもと思って。だからこの曲は「私はそのままでいいんだな」って一緒に休めるような曲になればいいなと思っています。
──なるほど。YUKIさんから見た、菅原紗由理というアーティストの魅力ってどんなところにあると思いますか?
YUKI やっぱり歌って、その人の人となりがすごく出ると思うんですね。さっき話してた、表面的なものではなく内面にあるさり気ない正義感みたいなものがある気がしていて。それがすごく魅力的なので、どの曲でもそこを引き出せたらいいなと思って今回の曲たちも作っていきました。あと歌うときに、超真剣なんですよ! だから作ってる側としてはそんなにうれしいことはないです。こんなに気合入れて歌ってくれるんだ!って。
菅原 いやあー、そんなこと言ってもらって私もすごいうれしい(笑)。
- 2ndフルアルバム「Open The Gate」 / 2012年11月14日発売 / 3000円 / FOR LIFE MUSIC ENTERTAINMENT FLCF-4443
- 2ndフルアルバム「Open The Gate」
収録曲
- Star Drop
- ただ
- いつの日も
- はばたくキミへ
- ROCKSTAR
- Beyond The Sky
- LETTER
- 恋の魔法
- Love Again
- Forever...
- 奏(かなで)
- バスケットコート
- SONOMAMA
BONUS TRACK
- 素直になれなくて (Piano Ver.)
LIVE INFORMATION
ReaLive!!
2012年11月24日(土)
東京都 ESPミュージカルアカデミー12号館 club 1ne2wo
OPEN 16:00 / START 17:00
<出演者>
菅原紗由理 / ふくい舞 / Makha / FLiP
インストアライブ
2012年12月1日(土)
群馬県 イオンモール高崎 1Fセントラルコート
START 17:00~
ライブ観覧無料 / アルバム「Open The Gate」購入者を対象にサイン会&握手会を実施
2012年12月2日(日)
茨城県 WonderGOO 守谷店 GOOst
START 15:00~
WonderGOO対象店舗で「Open The Gate」を購入した人のうち、イベント観覧希望者を先着100組200名招待。
2012年12月8日(土)
秋田県 イオンモール秋田 1Fセントラルコート
START 14:00 / 16:00~(2回公演)
ライブ観覧無料 / アルバム「Open The Gate」購入者を対象にサイン会&握手会を実施
菅原紗由理“OPEN THE GATE TOUR2013”
2013年1月20日(日)
東京都 渋谷duo MUSIC EXCHANGE
OPEN 17:00 / START 18:00
2013年1月27日(日)
秋田県 秋田Club SWINDLE
OPEN 17:00 / START 18:00
菅原紗由理(すがわらさゆり)
1990年生まれ、秋田県出身の女性シンガーソングライター。2008年1月にフォーライフミュージックの「30DAYSオーディション」に応募し、初の合格者としてデビューのチャンスをつかむ。翌2009年4月にミニアルバム「キミに贈る歌」でメジャーデビュー。新人離れした歌唱力と、女性らしいたおやかな歌声が高く評価される。同年12月には人気RPG「FINAL FANTASY XIII」のテーマソング「君がいるから」および挿入歌「Eternal Love」を担当。2010年に放送された瑛太&上野樹里主演のフジテレビ系ドラマ「素直になれなくて」ではシングル「素直になれなくて」が挿入歌に抜擢される。そして新曲「『好き』という言葉」はテレビ朝日系木曜ミステリー「科捜研の女」の主題歌に起用され、2作連続でドラマを彩る。2012年11月14日には2ndフルアルバム「Open The Gate」をリリース。