音楽ナタリー Power Push - SuG
5人が振り返る10年と日本武道館への思い
この5人だからこそ成立している
──武瑠さんが印象に残っている曲はなんですか?
武瑠 すべての曲にしっかり向き合って作ってきたんですけど、最近の曲で言えばやっぱり「SICK'S」かな。楽曲、歌詞、映像、パフォーマンスを含めて、やりたいことが一番バランスよく実現できたというか、あの時点での集大成だったなという手応えがあるので。「これがSuG」という感じがしますね。
shinpei そうだね。
武瑠 いろんな変遷を経てきたバンドなんですけど、「SICK'S」を作る前あたりに「SuGってなんだろう?」って話し合うことが多かったんですよ。もともとやりたかったことを、さらにパワーアップした状態で作れた曲じゃないかなって。
──バンドを立ち上げたときに武瑠さんがやろうとしていたのは、どんなことなんですか?
武瑠 いろいろあるんですけどね。ストーリーに沿ってアルバムを作ることもそうだし、「アンディ・ウォーホルみたいなビジュアル」とか「ヘヴィロックとヒップホップとブレイクビーツも混ぜて、だけどヴィジュアル系の要素もあって」とか。そういうことは最初から話してたんですけど、あまりきれいに伝わってなかったかもしれないですね。やりたかったことはできてはいたんだけど、クオリティが低かったし。
──「武瑠さんが思い描くビジョンをどう作品に結びつけるか?」というトライ&エラーを繰り返してきた10年間なのかもしれないですね。
武瑠 そうですね。あと、僕が1人でやってたらもっと暗い音楽になっていたと思うんですよ。たぶん自分は明るいイメージで見られがちなんですけど、それは演じているというか。SuGの曲の世界観は5人で作ることで生まれるんだと思うんですよね。そういうバランスはこの5人だからこそ成立しているんじゃないかなって。1人で作ったら「桜雨」みたいに切ない感じが強くなりますからね。
──確かにそうかもしれません。yujiさんは明るいですからね。
yuji え、僕ですか? けっこう暗いですよ。
shinpei ハハハハハ(笑)。
武瑠 「ポップ過ぎるから、ちょっと闇を入れよう」というバランスの取り方もあるんですよ。そういう感じは今が一番うまくいってるかも。ただ「これを届ける先はどこだろう?」っていうのはずっと考えてますけど。
「生きること=作品を作ること」だと思っている
──活動休止、武瑠さんの入院などいろいろなことが起こった10年間ですが、皆さんの中で最大のターニングポイントはどこだと思いますか?
武瑠 うーん……常にターニングポイントという感じなんですよね、SuGは。いつもギリギリの状況だったし、まったく順風満帆ではなかったので。
yuji 実際、バンドが潰れるタイミングは何回もあったんです、マジで。それを切り抜けて来れたっていうのは、単純に運だと思います(笑)。だって、バンドができてすぐに「これ、ヤバイね」っていう状況になったから。
Chiyu ハハハハハ(笑)。でも、ホンマにそうやな。
yuji 表に出ていないことも含めると、本当にいろいろありますからね。活動休止が一番デカいけど、それに至るまでにもいろんなことが起きていたので。
shinpei ずっと波ばっかりですね(笑)。
yuji 今も波ですよ。
武瑠 活動休止しているときが一番平和だったか……いや、そんなことないな。
shinpei 表向きは何もしてなかったけど、次の活動に向けて動いてたからね。特に武瑠はいろんな人に会ってたし。
武瑠 偉い人にめちゃくちゃ会いました。怒らせないように気を付けながら(笑)。
──いつ崩壊してもおかしくない状況を何度も乗り切るためには、運だけではなくメンバーの「SuGを続けるんだ」という気持ちも大事だったと思うのですが、そのモチベーションを維持できた理由はなんだと思いますか?
武瑠 理由は特にないです。僕は「生きること=作品を作ること」だと思っているし、ほかに選択肢はなかったから。
──SuGというバンドでクリエイションを続けることが、生きる意味だと。
武瑠 そうですね。作ることに関しては何があっても大丈夫なんですけど、復活してからは「売れなくちゃいけない」ということもすごく考えるようになって。活動休止前は作品を作ることが第一優先だったんですが、そのバランスが変わってきたんですよね。バンドの運営に関わる時間が急激に増えて、大人にならざるを得なかったというか。一番苦手なことなんですけどね、実は。あと「自分の居場所はどこだろう?」というのもずっと考えていて。
Chiyu そうやな。
武瑠 結局、今も自分たちの席は見つかっていないですからね。ライバルになり得るバンドと一緒にシーンを作ることもできなかったし……ViViDやZOROもそうですけど、僕らと同じ感覚を持ったバンドは全部解散しちゃったんですよ。今も親和性を感じられるバンドはいないし、そういう意味ではずっと孤独なのかもしれないですね。
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- ベストアルバム「MIXTAPE」 / 2017年3月8日発売 / ポニーキャニオン
- LIMITED EDITION [CD+DVD2枚組] / 3900円 / PCCA-04513
- STANDARD EDITION [CD] / 2500円 / PCCA-04514
CD収録曲
- gr8 story
- R.P.G. ~Rockin' Playing Game~
- 不完全 Beautyfool Days
- MISSING
- KILL KILL
- sweeToxic
- Vi-Vi-Vi -Rebirth ver.-
- 桜雨
- 無条件幸福論 -Rebirth ver.-
- teenAge dream
- ☆ギミギミ☆
- SICK'S
- mad$hip
- Howling Magic
- LOVE SCREAM PARTY -Rebirth ver.-
- 小悪魔 Sparkling
- CRY OUT
- Smells Like Virgin Spirit
LIMITED EDITION DVD収録内容
DISC 1 MV COLLECTION Part 1
- gr8 story
- dot.0
- 小悪魔 Sparkling
- Five Starz ~五枚目俳優~
- R.P.G. ~Rockin' Playing Game~
- 無条件幸福論
- Crazy Bunny Coaster
- NO OUT NO LIFE
- mad$ip
- ☆ギミギミ☆
- Toy Soldier
- 不完全 Beautyfool Days
- Pastel Horror Yum Yum Show
- Howling Magic
- sweeToxic
- fat inside horror
DISC 2 MV COLLECTION Part 2
- MISSING
- Rolling!!
- B.A.B.Y.
- CRY OUT
- BLACK
- teenAge dream
- 上海ハニー
- SICK'S
- 桜雨
- Smells Like Virgin Spirit
- KILL KILL
SuG(サグ)
2007年に結成された、武瑠(Vo)、masato(G)、yuji(G)、Chiyu(B)、shinpei(Dr)の5人からなるロックバンド。バンド名はスラング「Thug」に由来し、「周りの意見を気にせずに自分たちの思った通りに進む人たち」や「悪友」という意味を持つ。結成当初より「HEAVY POSITIVE ROCK」というコンセプトを掲げ、前向きなメッセージを乗せたキャッチーな楽曲で人気を博す。2010年1月、シングル「gr8 story」でメジャーデビュー。メンバー全員が作曲を行い、作詞とそれに基づいたミュージックビデオ、衣装などのアートワーク全般を武瑠が手がける。2012年10月に突然の活動休止を発表し、同年12月29日の東京・国立代々木競技場第二体育館でのライブをもってバンド活動を休止。その後はメンバーそれぞれ独自の音楽活動を続けていたが、2013年12月に国立代々木競技場第二体育館で復活ライブを開催した。2015年3月にアルバム「BLACK」を発表し、結成10周年を迎える2017年3月にベストアルバム「MIXTAPE」をリリース。9月には初の東京・日本武道館公演を行う。