音楽ナタリー Power Push - 武瑠(SuG)×増田セバスチャン
アートと音楽 2つのクリエイティブが交錯した「KILL KILL」
SuGが11月2日に2ndミニアルバム「SHUDDUP」をリリースする。
「Shut Up(黙れ)」のスラングをタイトルにした本作は、1stミニアルバム「VIRGIN」と対になる作品。 “アンチテーゼ”“アナーキズム”をテーマにしており、10周年を目前にしたSuGのキャリアの中でもっともアグレッシブな作品に仕上がっている。今回音楽ナタリーでは、SuGの中心メンバーである武瑠(Vo)と「SHUDDUP」のリードトラック「KILL KILL」のミュージックビデオで監督を務めた増田セバスチャンの対談を実施。MVのコンセプトや撮影時のエピソード、お互いの交流、クリエイティブに関するスタンスなどについて語り合ってもらった。
取材・文 / 森朋之 撮影 / 上山陽介
歴史上の人物と話してる感じ
──お二人が最初に会ったのはいつ頃ですか?
増田セバスチャン けっこう前から武瑠くんとは原宿でときどき会ってたんですよ。ただ、ちゃんと腰を据えてお話ししたのはトークショーに呼んでもらったときかな。
武瑠 2.5Dのイベントですね(2012年9月に開催された「SuG×2.5D『SuG・武瑠大解剖』」)。
増田 それから武瑠くんの誕生日会に呼んでもらったり、プライベートでも交流するようになった感じです。
武瑠 2014年にニューヨークに留学したとき、たまたまセバスチャンさんの個展をやってたんですよ。本屋に行ったら「増田セバスチャン特集」をやっていて、「すげえ!」ってなって。
増田 ちょうど、きゃりー(ぱみゅぱみゅ)のライブがあったタイミングだね。
武瑠 あ、そうです。僕も観させてもらいました。
──武瑠さんが“アーティスト・増田セバスチャン”と接点を持ったのは何がきっかけだったんですか?
武瑠 セバスチャンさんがやっているお店「6%DOKIDOKI」に行ったのが最初ですね。2007年にインディーズで「I SCREAM PARTY」というミニアルバムを出したんですけど、そのときに初めてアートワークなどを自分でディレクションしたんです。スタイリングも自分でやることになって、その素材を「6%DOKIDOKI」に買いに行ったんですよ。その頃「KERA」というファッション誌でモデルをやってたんですけど、誌面にセバスチャンさんもよく登場していて。「話してみたい」という気持ちもありましたね。
増田 そういう感じで来てくれるバンドの人も多いですね。ショップを始めてから、もう21年目なんですけど。
武瑠 え、もうそんなに経つんですか?
増田 1995年にオープンしたからね。
武瑠 そうか。僕は90年代の音楽やカルチャーにすごく興味があるんですけど、その頃のことを調べてると「増田セバスチャン」という名前がいろんなところに出てきて。自分からすると、歴史上の人物と話してるような感じなんです。
増田 そんなことないよ(笑)。
「生まれてくる時代を間違えたね」
──90年代半ば、ファッションの世界でもインディーズのブランドが次々と生まれていた時期ですよね。
増田 そうですね。原宿のホコ天(歩行者天国)に日本全国からオリジナルのファッションを見せたい人たちが集まってたんですよ。大阪から週1で自転車で通ってる人もいた。
武瑠 すごいですね。
増田 写真で残ってるのはカッコいいファッションが多いんですけど、とんでもないファッションの人もたくさんいて。ヒョットコのお面を全身に付けてるだけとか。
武瑠 ハハハハハ!
増田 僕はファッションのショップを作ったつもりじゃなかったんだけど、 そういうホコ天に集まってる人たちが店に来てくれるようになって。そこからみんなでクラブに遊びに行ったりもしてましたね。
──ファッションと音楽の距離が今よりも近かった時代ですよね。武瑠さんはSuGでまさにファッションと音楽を融合したクリエーションを続けているわけで、増田さんとの共通点もすごくありそうですね。
武瑠 うん、そう思います。
増田 武瑠くんにもよく言ってるんですよね、「生まれてくる時代を間違えたね」って。年齢は離れているんだけど同世代みたいな感覚があって、自分からすると“いい弟分”みたいな感じなんですよ。話していると、世代を超えてガッとつながれる瞬間がある。
武瑠 さっきも言いましたけど、僕が90年代のカルチャーに影響されているからかもしれませんね。大槻ケンヂさんの本を読んでバンドブームの頃のこととか、「ナイロン100℃」みたいな劇団のことも知って。僕がバンドを選んだのは、そういう影響もあると思うんです。自分の世代だとすでに“歌ってみた”とかVOCALOIDもあったので、バンドを選ぶギリギリの年代だったんですよね。もうちょっとあとだと、1人でクリエーションしてネットにアップするというのが主流になっていくから。
増田 なるほど。
武瑠 セバスチャンさんの自伝(「家系図カッター」)にもすごく影響を受けてます。コンプレックスを熱量に変換する感じとか、ちょっと背伸びしてクラブに遊びにいくときのドキドキ感とか、すごくシンパシーを感じて。ここ1、2年はいろいろと悩んだり考えたりすることも多かったから、このタイミングで一緒にMVを作れたのは本当にいいタイミングだったと思います。
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- SuG ミニアルバム「SHUDDUP」/ 2016年11月2日発売 / ポニーキャニオン
- LIMITED EDITION / [CD+DVD] 3000円 / PCCA-04440
- STANDARD EDITION /[CD] 2000円 / PCCA-04441
CD収録曲
- ANARCHY IN THE REAL
- KILL KILL
- FLY WYVERNS
- WORLD FAMOUS
- BLOODY MARY
- ZIG ZAG
- SCREAM IT LOUDER
LIMITED EDITION DVD収録内容
- 「KILL KILL」Music Video
- 「KILL KILL」Music Video -Band Ver.-
- 「KILL KILL」Music Video -Shooting OFFSHOT-
- 「絶対にビビってはいけない心霊ビルディング」
SuG「VersuS 2016 EXTRA」
- 2016年11月12日(土)
- 大阪府 松下IMPホール ※極悪SuG
- 2016年11月13日(日)
- 大阪府 松下IMPホール ※極彩SuG
- 2016年11月19日(土)
- 福岡県 DRUM SON ※極悪SuG
- 2016年11月20日(日)
- 熊本県 熊本B.9 V2 ※極彩SuG
- 2016年11月22日(火)
- 愛知県 ElectricLadyLand ※極悪SuG
- 2016年11月23日(水・祝)
- 愛知県 ElectricLadyLand ※極彩SuG
- 2016年11月26日(土)
- 東京都 品川インターシティホール ※極悪SuG
- 2016年11月27日(日)
- 東京都 品川インターシティホール ※極彩SuG
- 2016年12月3日(土)
- 宮城県 仙台MACANA ※極悪SuG
- 2016年12月4日(日)
- 山形県 山形ミュージック昭和Session ※極彩SuG
- 2016年12月16日(金)
- 広島県 CAVE-BE ※極悪SuG
- 2016年12月17日(土)
- 岡山県 IMAGE ※極彩SuG
- 2016年12月22日(木)
- 新潟県 CLUB RIVERST ※極悪SuG
- 2016年12月23日(金・祝)
- 長野県 ALECX ※極彩SuG
- 2016年12月26日(月)
- 京都府 京都MOJO ※極悪SuG
- 2016年12月27日(火)
- 兵庫県 神戸VARIT. ※極彩SuG
SuG VersuS 2016 EXTRA FINAL
「COUNTDOWN」
- 2016年12月30日(金)
- 東京都 豊洲PIT
※極彩SuGと極悪SuGによるツーマンライブ
SuG(サグ)
2006年に結成された5人組ロックバンド。現在のメンバーは武瑠(Vo)、masato(G)、yuji(G)、Chiyu(B)、shinpei(Dr)。バンド名はスラング「Thug」に由来し、「周りの意見を気にせずに自分たちの思った通りに進む人たち」や「悪友」という意味を持つ。結成当初より「HEAVY POSITIVE ROCK」というコンセプトを掲げ、前向きなメッセージを乗せたキャッチーな楽曲で人気を博す。2010年1月、シングル「gr8 story」でメジャーデビュー。メンバー全員が作曲を行い、作詞とそれに基づいたミュージックビデオ、衣装などのアートワーク全般を武瑠が手がける。2012年10月に突然の活動休止を発表し、同年12月29日の東京・国立代々木競技場第二体育館でのライブをもってバンド活動を休止。その後はメンバーそれぞれ独自の音楽活動を続けていたが、2013年12月に国立代々木競技場第二体育館で復活ライブを開催した。2015年3月にはアルバム「BLACK」をリリース。さらに2016年3月に1stミニアルバム「VIRGIN」を、11月に2ndミニアルバム「SHUDDUP」を発表した。