音楽ナタリー Power Push - Sug
メンバー5人が振り返る“teenAge dream”
10代の頃は「働くの憂鬱だな」って
──「teenAge dream」には“限界を突破して、自分のやりたいことを貫け”というメッセージが歌詞に込められています。SuGの皆さんは10代の頃の夢が叶っていると思いますが……。
武瑠 大きな方向性で言えば、そうですね。具体的な目標は全然叶っていないですけど。
shinpei ざっくりと“音楽活動を続けられている”ということでは叶ってるのかもしれないですけどね。それはもちろんうれしいことだと思っています。
yuji え、みんな10代の頃から音楽をやることを夢見てたの?
──yujiさん、違うんですか?
yuji 俺はなかったですね、そういうのは。中学高校時代はアホだったから、とにかく「働きたくない」っていうのが一番で。
一同 ははははは!(笑)
yuji ずっと「働くのって憂鬱だな」って思いながら過ごしてましたからね、10代の頃は。将来やりたいことも何もなくて。
shinpei 単に働きたくなかった、と。
──それって就職したくないってことですよね?
yuji そうですね(笑)。でも、そう思ってる10代ってけっこう多いんじゃないかな。
shinpei 社会に出なくちゃいけないときが迫ってる。やばい!って。
yuji うん(笑)。だから、10代のときから「音楽をやろう」っていう気持ちがあるって、それだけでスゴイと思いますね。
shinpei 周りの環境も関係してると思うけどね。
Chiyu それはデカいよね。
──周囲にプロのミュージシャンを目指してる人がいれば全然違いますよね。
yuji ただ、俺は自分のことを「何者でもない」って思ってましたね。だって「自分は特別な存在かもしれない」という気持ちだったり、ちょっとした勘違いがないと(笑)、夢も描けないじゃないですか。
Chiyu 確かに。俺もちょっと似ていて、10代のときは「大学に行きたくない」っていうだけだったんですよ。高校の先生に「お前、進路どうするんだ?」って聞かれたときも「俺のことはほっといて大丈夫」って言ったし。先生も「そうか、わかった」って言って、そのままでしたけどね(笑)。
shinpei すごいな(笑)。
Chiyu その頃は同級生とバンドをやってて、卒業アルバムに「ライブ来てね」みたいなことも書いてたんですよね。だからバンドをやろうとは思っていたんだけど、本気になったのは東京に出るって決めてからです。
shinpei バンドのために上京するわけだからね。
Chiyu そうそう。わざわざ東京に来てバンドをやるんだから、コピーバンドだとおかしいし(笑)。
yuji 俺らは上京するっていう節目がなかったからなあ。
masato 関東だからね。僕は音楽をやりたいって思ってましたね。
yuji え、マジで?
masato うん(笑)。高校生のときはバンドが組めなかったんですよ。だから「まずはバンドをやろう」という気持ちが強くて。
shinpei “バンやろ”(雑誌「BANDやろうぜ」の略称)的な(笑)。でも、確かにバンド組むのって大変ですからね。あと、バンドを組んだ時点で満足するっていうこともわりと多いと思う。
Chiyu うん、そうやな。
shinpei バンドを組んで、スタジオに1回か2回入っただけとか。
masato ライブまでたどり着いたら終わりとかね。
音楽は一番苦手なことだった
──バンドを続けていくんだ、プロとしてやっていくんだと本気で思っているメンバーをそろえるのって、確かに大変ですよね。武瑠さんは高校時代からクリエイティブなことに意識が向かっていたんですよね?
yuji 映画撮ったりしてたんでしょ?
武瑠 shinpeiと一緒にやってたバンドのミュージックビデオだけどね。
shinpei ライブハウスで上映したよね。
Chiyu すげえ。
武瑠 よくやったと思いますよ(笑)。編集のこととかわからないから、知り合いの映画監督に相談して……。
──ホントに興味深いですよね、武瑠さんの人生は。基本的には当時やっていたことをレベルアップしてきた感覚なんですか?
武瑠 そうですね。16歳くらいのときに、思い付いたことはほとんどやってみたんですよ。映画とか小説とか。
yuji 行動力の塊だな。俺、その頃はドラクエ(ドラゴンクエスト)のレベル上げやってたよ。
──(笑)。普通の高校生はそうですよね。
武瑠 その頃にいろんな人と知り合ったんですけど、その中にバンドをやってた女の子がいて、下北沢にライブを観に行ったりして。自分がバンドをやろうと決めたのは17歳のときだから、ちょっと遅かったんです。
──いろいろな表現手段がある中で、音楽を選んだのはどうして?
武瑠 一番苦手なことだったからですね。言葉を書くのは得意でしたけど、音楽のことはわからなかったから、得意なことと苦手なことを一緒にやる感じも面白くて。曲を作ろうとかは、まったく考えてなかったですね。楽器も何もできないのに作れるわけないと思っていたし、「誰かが作ってくれるんじゃないかな」くらいに考えていたので。
──バンドを始めてから、武瑠さんの中で変化した部分はありますか?
武瑠 倫理観が出てきたというか、「コレをやったら、バンドができなくなるな」みたいなことを思うようになりましたね。
yuji それまでは失うものが何もなかったんだろうね。
shinpei 子供ってそうだよね。背負うものがないから悪いこともやっちゃうし、怒られても全然平気っていう。守るものがあれば、無茶しなくなるというか。
──武瑠さんの場合はMVやビジュアルワークなども手がけていて。自由にやりたいことができる環境ですよね?
武瑠 最初はそうでもなかったですよ。いろんな“枠”があったし、「それは言っちゃいけない」みたいなこともけっこうあって。
yuji まあ、ヴィジュアル系のシーンだったからね。ウンコもしないイメージだから(笑)。
shinpei masatoだけは今もしないけどね(笑)。
masato イチゴを出します(笑)。
武瑠 それ、ただの消化不良じゃん(笑)。最近はファンもだいぶ変わってきましたけどね。以前は仕事でちょっと女の子と絡むだけでいろいろ言われたけど、今はそういうことは全然ないですから。
shinpei そういう意味では、だいぶヴィジュアル系という固定観念は外れてきたよね。カップルでライブに来てくれる人も増えたし。
武瑠 イチャついてるカップルに対するクレームが俺のところにきたりね。
Chiyu そんなの知らんがな(笑)。
込めたのは活休中の気持ち
──shinpeiさんの作曲による「Luv it!!」についても聞かせてください。SuGのポップな側面がストレートに表れたナンバーですが、曲を作ったのはいつ頃ですか?
shinpei 活休の前だから、もう3年くらい前かな?
Chiyu うん、そうちゃう?
shinpei だから、曲調もその頃の色が強いんですよ。そのときに「☆ギミギミ☆」みたいな曲を書こうと思って。ポップでキャッチーな路線ですね。
──以前からのファンにもなじみのある曲調ですよね。
shinpei そうですね。実は「アニメにハマるだろうな」と思ってストックしておいたんですよ。今回「デュエル・マスターズ」の話をいただいたので、じゃあこの曲をシングルとしてリリースしようと。活動再開後は、前よりも大人っぽくなっているというか、ラウドな要素が強い曲が増えていたから、そのあたりのバランスは考えましたけどね。
──歌詞に関しては?
武瑠 曲を作ったときにワンコーラスだけ書いていたので、今回はそこに歌詞を書き足しました。2年くらい経ってるから、難しかったですけどね。
──“すべて無駄ではなかった”という思いも感じられる歌詞ですよね。
武瑠 そこは活休中の気持ちですね。もともとは「Luv it!! Luv it!!」というフレーズを思い付いて、そこから広げていったんですけど。
──いろいろとシリアスな状況を乗り越えた制作だったみたいですけど、結果的には現在のSuGをリアルに感じられるシングルになったと思います。この後の展開も考えてるんですよね?
武瑠 スタッフに提案はしてますけど、まだどうなるかわからないですね。ただ、長期間のツアー中の制作はきついなって(笑)。また“VersuS”(昨年10月に千葉・舞浜アンフィシアターで開催されたライブイベント「VersuS 極彩SuG vs 極悪SuG」)もやりたいと思ってるし、いろいろ考えているところですね、今は。
- ニューシングル「teenAge dream / Luv it!!」2015年7月15日発売 / ポニーキャニオン
- 初回限定盤 [CD+DVD]1890円 / PCCA-4242
- 通常盤 [CD]1300円 / PCCA-4243
CD収録曲
- teenAge dream
- Luv it!!
- 無条件幸福論 -Rebirth version-(初回限定盤のみ)
- タイトル未定(通常盤のみ)
初回限定盤DVD収録内容
- teenAge dream -Music Video-
- teenAge dream -Music Video Shooting OFFSHOT-
Sug(サグ)
2006年に結成された5人組ロックバンド。現在のメンバーは武瑠(Vo)、masato(G)、yuji(G)、Chiyu(B)、shinpei(Dr)。バンド名はスラング「Thug」に由来し、「周りの意見を気にせずに自分たちの思った通りに進む人たち」や「悪友」という意味を持つ。結成当初より「HEAVY POSITIVE ROCK」というコンセプトを掲げ、前向きなメッセージを乗せたキャッチーな楽曲で人気を博す。2010年1月、シングル「gr8 story」でメジャーデビュー。メンバー全員が作曲を行い、作詞とそれに基づいたミュージックビデオ、衣装などのアートワーク全般を武瑠が手がける。2012年10月に突然の活動休止を発表し、同年12月29日の東京・国立代々木競技場第二体育館でのライブをもってバンド活動を休止。その後はメンバーそれぞれ独自の音楽活動を続けていたが、2013年9月に東京・原宿でサプライズライブを行い活動再開を宣言。同年12月に国立代々木競技場第二体育館で復活ライブを行った。2014年に入ると2月に「MISSING」、7月に「B.A.B.Y.」、11月に「CRY OUT」とシングルを3作立て続けに発表。同年8月には多ジャンルにわたるアーティストをゲストに迎えた主催イベント「渋谷 SuG Fes 2014 夏」を3日間実施した。2015年3月にニューアルバム「BLACK」をリリース。さらに同年7月には両A面シングル「teenAge dream / Luv it!!」を発表する。