音楽ナタリー Power Push - Sug
メンバー5人が振り返る“teenAge dream”
2015年3月に約3年ぶりのオリジナルアルバム「BLACK」を発表し“Heavy Positive Rock”というバンドのコンセプトをさらに進化させたSuGが、両A面シングル「teenAge dream / Luv it!!」を7月15日にリリースする。ヘヴィロックとダンスミュージックを絶妙なバランスで融合させたサウンドと“限界を超えて、自分のやりたいことを貫け”というメッセージがひとつになった「teenAge dream」、メジャーデビュー当初のSuGを想起させるポップチューン「Luv it!!」の2曲からは、このバンドの原点とさらなる発展がまっすぐに伝わってくる。
今回はメンバー全員にインタビューを実施。「BLACK」を引っ提げたツアーの手応えからニューシングルの制作過程まで広く語ってもらった。
取材・文 / 森朋之 撮影 / 小坂茂雄
初めて「発売延期するかも」と思った
──まずはアルバム「BLACK」を引っさげての全国ツアーについて聞かせてください。ツアーファイナルは7月26日の東京・渋谷公会堂公演ですが、現時点での手応えはどうですか?
yuji(G) ツアーが始まる前に東京・clubasiaで公開ゲネプロをやったんですよ。「BLACK」は難しい曲が多いから、それをやっておいてよかったなって思いますね。
Chiyu(B) ホントだよね。
──clubasiaのライブ映像は今作「teenAge dream / Luv it!!」の初回限定盤のDVDに収録されてますね。「BLACK」は音楽的な進化を感じさせるアルバムでしたが、その分、より高い演奏テクニックが求められる楽曲が多い印象もありました。
shinpei(Dr) 「BLACK」の曲は一筋縄ではいかないので、コンディションによってミスることもありますけど、ちょっとずつ慣れてきました。それにライブのノリはすごくいいんですよ。メンバー個々も新曲になじんできてるし、ツアー後半に向けて、バンドとしてのまとまりを高めていけたらいいなと。
masato(G) うん。確かにツアー前は「このフレーズを弾きながら動けるかな?」って心配もあったんですが、今はステージでの自由度もかなり上がってきてるし。ファンのみんなも今は自然に盛り上がってくれてますからね。曲自体も進化してると思います。
Chiyu ツアーは新旧の曲を混ぜたセトリなんですけど、新しい曲も楽しんでくれてるし、昔の曲のタイトルを言うとそこで盛り上がったりもして。すごくライブ感を感じられるツアーになってますね。
──武瑠さんはどうですか?
武瑠(Vo) うーん……。今までで最高に客観視できてないツアーかな。とにかく必死ですね、ついていくのに。自分としては“その日にしか見せられないものを見せよう”ということを意識していて、楽しませるとか、エンタメの方向には向いてないんです。事前の練習が足りてないっていうのもあったし……。
──2月に扁桃腺摘出手術を受けてますからね。
shinpei 武瑠くんが入院しているときに演奏隊は「BLACK」ツアーのリハに入ってたんです。武瑠くんは後から合流したから、どうしても時間が足りなかったと思うし、そこは大変だろうなって。
武瑠 声の調子が戻るまで思ったより時間がかかったんですよ。これほど長期的なツアーも初めてだったし、誕生日ライブ(5月12日に東京・TSUTAYA O-WESTで行われたライブイベント「武瑠聖誕祭『birthday SCREAM party!! 2015』」)もあって。けっこうシビアなことが続いていたし、自分との闘いですね、今回のツアーは。
──さらにシングルの制作も重なって。
武瑠 そうなんですよ。これまでも音源の制作がギリギリのスケジュールになることはわりと多かったんですけど、今回は初めて「発売延期するかも」と思いましたね。なんとか間に合ってよかったです。
shinpei アレンジもやり直したしね。一度決まりかけたんだけど、そこから「もう一度、根本的に見直そう」ということになって。
masato 結局、オケも「ここで録り切らないと間に合わない」っていうスケジュールになったんですよ。
今までのSuGにはなかったリズム
──そのギリギリのせめぎ合いも、いい緊張感につながっていたのかもしれませんね。「teenAge dream」からも「Luv it!!」からも、バンドのテンションの高さを感じました。
武瑠 まず「Luv it!!」のタイアップ(テレビ東京系アニメ「デュエル・マスターズ VSR」オープニングテーマ)が決まってから、もう1曲入れてダブルA面にしようということになったんです。「teenAge dream」に関しては初期衝動というテーマがあったんですが、アレンジに関して(アレンジャーのTom-H@ckに)かなり細かく指定したんです。この曲のテーマ、世界観をしっかり汲んで作ってくれたと思うし、音の部分でかなり助けられましたね。
Chiyu うん。練習の時間がないっていうのはネックでしたけどね。レコーディングのときも、パソコンのデモのデータを見ながら、自分の弾くフレーズを確認している状態だったので。完成形がどうなるかわからない状態だったんですよ。いつもとは逆の“ギター、ベース、ドラム”の順番でレコーディングしたのも初めてだったし、不思議な感覚でした。
shinpei 新しいこともけっこうやってるんですよね。基本は四つ打ちなんですけど、今までのSuGの楽曲にはなかったリズムも入っていて。武瑠くんが作ったデモの段階からあったアレンジなんですけど、そこからテンポが速くなって、演奏するのも大変になって。でも、結果的にはその速さが衝動や激しさ、エモーショナルな感じにつながってるんじゃないかな、と。
yuji そうかもね。実は昨日、初めてバンドで「teenAge dream」をやってみたんですよ。レコーディングのときよりも確実になじんでましたね。
Chiyu うん、間違いない。
yuji ただテンポが速くて体力を使うから、2回以上は続けて演奏できないと思います。まあ、ライブで2回続けて演奏することはないので(笑)。
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- ニューシングル「teenAge dream / Luv it!!」2015年7月15日発売 / ポニーキャニオン
- 初回限定盤 [CD+DVD]1890円 / PCCA-4242
- 通常盤 [CD]1300円 / PCCA-4243
CD収録曲
- teenAge dream
- Luv it!!
- 無条件幸福論 -Rebirth version-(初回限定盤のみ)
- タイトル未定(通常盤のみ)
初回限定盤DVD収録内容
- teenAge dream -Music Video-
- teenAge dream -Music Video Shooting OFFSHOT-
Sug(サグ)
2006年に結成された5人組ロックバンド。現在のメンバーは武瑠(Vo)、masato(G)、yuji(G)、Chiyu(B)、shinpei(Dr)。バンド名はスラング「Thug」に由来し、「周りの意見を気にせずに自分たちの思った通りに進む人たち」や「悪友」という意味を持つ。結成当初より「HEAVY POSITIVE ROCK」というコンセプトを掲げ、前向きなメッセージを乗せたキャッチーな楽曲で人気を博す。2010年1月、シングル「gr8 story」でメジャーデビュー。メンバー全員が作曲を行い、作詞とそれに基づいたミュージックビデオ、衣装などのアートワーク全般を武瑠が手がける。2012年10月に突然の活動休止を発表し、同年12月29日の東京・国立代々木競技場第二体育館でのライブをもってバンド活動を休止。その後はメンバーそれぞれ独自の音楽活動を続けていたが、2013年9月に東京・原宿でサプライズライブを行い活動再開を宣言。同年12月に国立代々木競技場第二体育館で復活ライブを行った。2014年に入ると2月に「MISSING」、7月に「B.A.B.Y.」、11月に「CRY OUT」とシングルを3作立て続けに発表。同年8月には多ジャンルにわたるアーティストをゲストに迎えた主催イベント「渋谷 SuG Fes 2014 夏」を3日間実施した。2015年3月にニューアルバム「BLACK」をリリース。さらに同年7月には両A面シングル「teenAge dream / Luv it!!」を発表する。