ナタリー PowerPush - SuG
マネージャー証言&年表で振り返るメジャー3年間の軌跡
ベスト盤は12月29日のライブの反響で曲を増やした
──そして今回のベストアルバム「BEST 2010-2012」についてです。リリースについて発表されたときと比べて、収録曲が一部変更になってますが?
曲が増えたんです。CDのDISC 1に8曲目の「美空」、初回限定盤のDISC 2の16曲目に「ときどきすてきなこのせかい」が追加されて。これは12月29日のライブでの反響を考慮して、入れることにしたんです(参照:SuG活動休止前ラストライブで「絶対戻ってくるから!」)。
──そうだったんですね。確かにあの日のライブですごく印象に残っている2曲ですし。
曲順についても、もともとシングルをリリース順に並べようとしたんですけどやめて。メンバーが「聴きやすいように変えよう」と提案して、こういう曲順になったんです。聴きやすいですよね。
──さっき言ってたライブでの喜怒哀楽感じゃないですけど、その流れっていうのがちゃんと形になってますし。
そう、ライブっぽく聴けるんじゃないですかね。あと初回限定盤にはDVDが2枚も付いてますから。
──これ、内容がすごいですよね。
12月にPV集を出そうって話はもともと上がってたんですよ。でも活動休止になってしまったので、ここに入れようかと。本当はいろんな人に観てもらいたいから単体で発売したかったんですけどね。それと公式ブートレグ。これはすごいですよ。
──これこそおまけにするにはもったいない内容です。
出すタイミングがここしかなかったんで、メンバーに提案したら意外と乗ってくれて。すごく熱烈なファンとかコレクターとか、こういうの好きだと思いますよ。結成後初ライブから初ワンマンライブのMC、shinpeiが加入したときの映像とか。shinpei加入以降の映像は自分や周りのスタッフが撮ってるんです。事務所用に三脚立てて撮った映像なんかもあったりで、本当にブートレグっぽいという(笑)。
ナタリーの特集とももクロとの競演が転機
──昨年9月のシングル「sweeToxic」を聴いて「Lollipop Kingdom」の次のアルバムがどうなるのか楽しみにしてただけに、今回の活動休止はとても残念でした。
「Lollipop Kingdom」が出たときには、もう次のアルバムの話は出てきていて。曲作りについても話し合っていたんで、活動休止は本当に自分の中ではイレギュラーだったんですよね。小説「Lollipop Kingdom」のイベントのときに、次のアルバムの話も軽くしてるんですよ。ファンの人は覚えてるかどうかわかないですけど。だから、たぶん復活したらそのストーリーをもとに作品を作るんだろうなと思ってます(笑)。
──周りの評価も高まってきた時期だったし、本当にもったいないなと。
「Lollipop Kingdom」を出してから周りの評価も変わったし、今まで出たことのなかった雑誌にも出られるようになって。例えばナタリーさんにインタビューが載るようになったのも、大きな変化だと思います。
──そうですね、初めてSuGの特集を掲載したのもちょうど「Lollipop Kingdom」のタイミングでしたし(関連記事:ナタリー - [Power Push] SuG「Lollipop Kingdom」インタビュー)。
「sweeToxic」のときはデザイナーさんやクリエイターさんと対談したり(参照:SuGの武瑠、異業種クリエイターと3時間トークイベント)、アイドルと対談したり(参照:ナタリー - [Power Push] SU-METAL(BABYMETAL)×武瑠(SuG)対談)。「Lollipop Kingdom」が出る前も、ニッポン放送のイベントでももクロさんやクリープハイプさんと対バンしましたし(参照:ももクロ、SuG、クリープハイプが渋公で“オイシイ”競演)。昨年の春に、ナタリーさんで特集が組まれたのと、ニッポン放送のイベントでももクロさんと競演したことが、ほかのメディアが興味を持ってくれる転機だったんです。「何このバンド?」みたいに(笑)。ももクロさんと競演したおかげでBABYMETALさんにつながっていったし、クリープハイプさんと一緒にやれたから違うジャンルの人たちとも対バンができた。それこそサブカル系の雑誌にも出たし、武瑠は一般女性誌にも出られるようになった。「sweeToxic」が発売される直前の業界内の盛り上がり方はハンパなかったんですよ。ただ業界内で評価の高いバンドって、大抵売れないというジンクスですけどね(笑)。
──あはははは(笑)。
だからちょっと複雑な気持ちでした。
ある条件をクリアできないと活動再開はない
──SuGはこれまでにも活動休止の危機というのはあったんですか?
実はメジャーデビューした2010年8月、初めてC.C.Lemonホール(現・渋谷公会堂)でライブをやる前に一度解散危機があって。で、いろいろあってそこを乗り越えたんですけど、「Lollipop Kingdom」でやりたいことをやったあと、メンバーと事務所とでいろいろ話し合ったんですけど、ちょっと彼らがやりたいことと事務所としてやってほしいことがうまく噛み合わなくて、だったらお互い別々にやったほうがいいんじゃないかという話になったんです。別に揉めてはいないんですよ。
──そこはライブ後のメンバーの皆さんを見てもわかりましたし、前向きな意思が伝わってきました。
実際話し合いでは解散の話も出たんですけど、踏みとどまって活動休止にして。その期間は半年なのか1年なのかもっと先かはわかんないですけど、その間にメンバーみんないろんなことをやってレベルを上げてから活動再開しようと。ただ復活にはいろいろ条件があるらしくて、武瑠の中には3つ4つあるらしいんですけど、そのうちの1つだけは絶対に言わないんです。本人にしかわからないその条件をクリアできないと活動再開はないのかなと。
──まずはこのベストアルバムを聴いて、彼らの復活を気長に待つしかないと。
そうですね。あくまで活動休止ですので。5人ともひと回り大きく成長して戻ってきてくれるはずです。
- ベストアルバム「BEST 2010-2012」 / 2013年3月6日発売 / ポニーキャニオン
- 完全限定生産盤/3939BOX [2CD+2DVD+ブックレット] / 8800円 / PCCA-03805
- 完全限定生産盤/3939BOX
- 通常盤 [CD] / 3000円 /PCCA-03806
- 通常盤
DISC 1収録曲(通常盤、3939BOX共通)
- LOVE SCREAM PARTY (Rebirth Version)
- R.P.G. ~Rockin' Playing Game
- gr8 story
- ☆ギミギミ☆
- Crazy Bunny Coaster
- Vi-Vi-Vi (Rebirth Version)
- 無条件幸福論
- 美空
- Howling Magic
- Pastel Horror Yum Yum Show
- sweeToxic
- mad$hip
- Toy Soldier
- 小悪魔Sparkling
- 不完全Beautyfool Days
- dot. 0
- 39GalaxyZ (album mix)
DISC 2収録曲(3939BOXのみ)
- don't stop da music
- #9 garbage
- ID fudge factor
- fat inside horror
- SWEET COUNT DOWN
- きらきら
- 夏音 -kanon-
- milk tune.
- 契約彼女、生贄彼氏
- Five Starz ~五枚目俳優~
- 16bit HERO3
- G☆E☆T☆G
- Boom Boom Neat
- キニシィヤンキーズ
- NO OUT NO LIFE
- ときどきすてきなこのせかい
3939BOX付属DVD収録内容
「SuG公式ブートレグ!?」
- 過去ツアー時の記録用に収録したライブ映像
- 未発表ドキュメント映像
「ミュージッククリップ集」全16曲(約60分)
SuG(さぐ)
2006年に結成された5人組ロックバンド。現在のメンバーは武瑠(Vo)、masato(G)、yuji(G)、Chiyu(B)、shinpei(Dr)。バンド名はスラング「Thug」に由来し、「周りの意見を気にせずに自分たちの思ったとおりに進む人たち」「悪友」という意味を持つ。結成当初より「HEAVY POSITIVE ROCK」というコンセプトを掲げ、前向きなメッセージを乗せたキャッチーな楽曲で人気を博す。2010年1月、シングル「gr8 story」でメジャーデビュー。メンバー全員が作曲を行い、作詞とそれに基づいた世界観、PV、衣装などのアートワーク全般を武瑠が手がける。また、武瑠は俳優として2009年春公開の映画「ビートロック☆ラブ」に出演。2010年3月には自身のファッションブランド「million $ orchestra」を立ち上げ、同年12月発売の女性ファッション誌「KERA」では表紙を飾った。さらに2012年1月には初の著書「TRiP」も刊行し話題を集めた。同年4月にメジャー3rdアルバム「Lollipop Kingdom」を発売。同作に伴う全国ツアーではアルバムを曲順通りに演奏し、ファンを驚かせた。9月にニューシングル「sweeToxic」をリリースするも、翌10月に突然の活動休止を発表。同年12月末の国立代々木競技場第二体育館でのライブをもってバンド活動を休止したほか、所属事務所PS COMPANYから離籍した。2013年3月に初のベストアルバム「BEST 2010-2013」をリリース。