ナタリー PowerPush - SuG
脱V系!? 新曲はよりポップでマニアックに進化
全体をちょっとずつ化学反応させてプラスにしていく作り方
──もし「Lollipop Kingdom」に「sweeToxic」が入ってたとしたら、多分今みたいなアレンジにならずに「crispy.」(アルバム「Lollipop Kingdom」収録曲)みたいに完全にソウル側に寄ったアレンジになってたと思うんですよ。だけど今回はより面白いことをやってやろうという意図を感じるし、それが無理なくできている。そういう意味ではさらに一歩上に行けたってことなんでしょうね。
先輩方に聴いてもらったら「信じられないくらいに音楽性がバラバラでゴチャゴチャしてるけど、やりたいことが見えてるから成り立ってる」って言ってもらえて、「あ、そのとおりだな」って。なぜ重いサウンドが必要だったのか、なんでこういうアニメみたいな要素が必要だったのかが自分の中ではっきりとわかっているから、ちゃんと成立させることができてるんです。それがもし「最近スクリレックスにハマってるから、ちょっとダブステップの要素を入れてみよう」みたいな感じだったら、もっとよくわからないものになってたでしょうし。実は今回、PVを撮影してから重ねた音もあって。1コーラス目のサビが終わって1回無音になりますよね。そこからリズムが入る直前の鎖がチャリって動く音とか、女性が目覚めてハッて言う声とかは後からかぶせてます。元々選曲会では1コーラス終わった後にギターがジャーンと適当に伸ばして終わらせてたんですけど、「あ、このファンクっぽいギター1本残して音が全部なくなって、また復活したら有線とかで聴いてハッとするかな」と思って。
──まさに僕もそう思いました。
で、ただハッとするだけじゃなくて何か付随する意味がもっと出せることはないだろうかと考えて。そうしたら監禁されてる女の子がブラックアウトしてハッと気付くところが、あの音とリンクすると面白いなと思ったんです。「じゃあ監禁だから音は何が一番ハマるかな? あ、縛られてる鎖……南京錠がチャリって鳴るようにしよう」と。そういうふうに全体をちょっとずつ化学反応させてプラスにしていく作り方ですね。
「こういう面も見せてもいいかな?」って思えるようになった
──PVの話が出ましたけど、なんとなく全体の流れがちょっと洋楽的というか、海外のヒップホップアーティストのPVに近いなと思いました。
ヒップホップってリズムがずっと一緒だから、ああいうギミックで崩すしかないですよね。いわゆるブレイクダウンをして色付けするしかないから。確かにそこらへんからの影響は結構あるかも。
──そういう遊びの要素があるからこそ、2曲目の「fat inside horror」が逆にすごくストレートに響くという。その対比の部分やバランスっていうのも、特に今回のシングルは絶妙だなと思いました。
やりたいことをいっぱいやってこれたからこそ、「こういう面も見せてもいいかな?」って思えるようになってきましたね。「fat inside horror」のPVは(6月17日の)中野サンプラザのゲネプロで撮ったんですけど、監督不在、スタイリストなし、完全に自分たちだけで撮ったんです。でもおまけPVとは思えないクオリティには仕上がったなと。それは自分にとって大きな自信になりましたね。メンバーに対してもある種尊敬みたいな気持ちも芽生えて。バンドとして大きな自信につながったと思います。
ニューシングル「sweeToxic」 / 2012年9月19日発売 / PONY CANYON
- 「sweeToxic」初回限定盤A [CD+DVD] / 1800円 / PCCA-03671
- 「sweeToxic」初回限定盤B [CD+DVD] / 1800円 / PCCA-03672
- 「sweeToxic」通常盤 [CD] / 1200円 / PCCA-03673
初回盤CD収録曲
- sweeToxic
- fat inside horror
初回盤A DVD収録曲
- sweeToxic -MV-
- MV撮影ドキュメント -前編-
初回盤B DVD収録曲
- fat inside horror -MV-
- MV撮影ドキュメント -後編-
通常盤 CD収録曲
- sweeToxic
- fat inside horror
- LOVE SCREAM PARTY (Rebirth version)
SuG(さぐ)
2006年に結成された5人組ロックバンド。現在のメンバーは武瑠(Vo)、masato(G)、yuji(G)、Chiyu(B)、shinpei(Dr)。バンド名はスラング「Thug」に由来し、「周りの意見を気にせずに自分たちの思ったとおりに進む人たち」「悪友」という意味を持つ。結成当初より「HEAVY POSIVIVE ROCK」というコンセプトを掲げ、前向きなメッセージを乗せたキャッチーな楽曲で人気を博す。2010年1月、シングル「gr8 story」でメジャーデビュー。メンバー全員が作曲を行い、作詞とそれに基づいた世界観、PV、衣装などのアートワーク全般を武瑠が手がける。また、武瑠は俳優として2009年春公開の映画「ビートロック☆ラブ」に出演。2010年3月には自身のファッションブランド「million $ orchestra」を立ち上げ、同年12月発売の女性ファッション誌「KERA」では表紙を飾った。さらに2012年1月には初の著書「TRiP」も刊行し話題を集めた。同年4月にメジャー3rdアルバム「Lollipop Kingdom」を発売。同作に伴う全国ツアーではアルバムを曲順どおりに演奏し、ファンを驚かせた。9月にニューシングル「sweeToxic」をリリース。