STU48がニューシングル「独り言で語るくらいなら」をリリースした。
STU48にとって通算6枚目のシングルとなる今作では、1期生の石田千穂が初めてセンターに抜擢された。広島県出身の18歳である石田は2019年にAKB48の56thシングル「サステナブル」の選抜メンバーに選ばれたのち、昨年1月にソロコンサートを開催。その後12月に1st写真集「檸檬の季節」を発売するなど、順調にトップアイドルへの階段を登っている。ニューシングルの表題曲「独り言で語るくらいなら」はサビで3拍子になる展開が特徴の壮大なナンバーで、スマートフォン、SNSでのコミュニケーションが増えたこの時代に行動することの大切さを訴えた歌詞が、石田の穏やかながらも強い芯を持った人物像にマッチしている。
音楽ナタリーでは石田と彼女の同期でSTU48のキャプテンである今村美月、2期研究生の高雄さやか、原田清花の4人にインタビュー。新センター石田のパーソナリティや、「独り言で語るくらいなら」の聴きどころについて語ってもらった。
取材・文 / 近藤隼人 撮影 / 前田立
センター石田千穂が持つギャップ
──今回のシングル「独り言で語るくらいなら」では石田千穂さんが初めてセンターに抜擢されました。現在の心境はいかがですか?
石田千穂 シングルの表題曲でセンターを務めることは私にとってずっと大きな目標だったので、それを叶えられてすごくうれしいです。でもそのことに浮かれず、責任感を持って今まで以上にグループのことを考えて活動してきたいと思っています。
──「まさか自分が」という驚きもありました?
石田 そうですね。うれしい気持ちもありつつ、「私がセンターで大丈夫かな」という不安もありました。
──昨年1月のソロコンサートでは「今まで言葉にするのが怖かった『AKB48の選抜に入りたい』とか『STU48のセンターになりたい』という夢も言えるようになりました」と語っていましたが、センターになりたいという気持ちは加入当初から胸に秘めていたんですか?
石田 いや、そういうわけでもなくて。最初の頃、私は選抜メンバーにも入ってなかったんですが、ファンの方が応援してくださったおかげで徐々に選んでいただけること、前列のポジションに立たせていただく機会が多くなってきたんです。そんな中で皆さんと一緒に上を目指したいという気持ちが芽生えてきて、センターを目標にするようになりました。
──石田さんにはほんわかしたやさしいオーラがありますが、ファンの影響で熱い気持ちが生まれていったんですね。同期でキャプテンの今村美月さん、後輩の高雄さんと原田さんの目には、石田さんはどのように映っていますか?
今村美月 千穂ちゃんは楽屋ではっちゃけていて、日によるけど、どちらかと言うといっぱいしゃべっているほうで。薮下楓ちゃんとかと一緒にげらげら笑ってますね。それでいてしっかりした芯を持っているし、自分で口に出した目標に向かって努力していて、カッコいいです。ふわふわしているように見えて心は強いと思います。
高雄さやか 千穂さんは課外活動ユニットのCharming Tripでリーダーを務めていて、その姿から内に秘めた負けず嫌いなところが垣間見えます。見た目とのギャップが魅力的ですし、新しいことに挑戦していく姿勢を尊敬しています。あと、いつも優しく接してくれるんです。
──先輩後輩関係なく、2期研究生とも頻繁にコミュニケーションを?
高雄 楽屋で急にお尻を触ってくることもあります。「えっ!」って驚くと、「今、触るチャンスだったから」と返されたり(笑)。ステージ上でも楽屋でも自分らしさ、千穂さんらしさを崩さないですね。
石田 握手会や楽屋では「イエイ!」って感じではっちゃけていて(笑)、握手会に初めて来た方にびっくりされることが多いですね。すごくギャップがあるって。裏表があるというわけではなく、私としては全部が素なんですけど。
原田清花 私はSTU48に加入する前から千穂さんが推しメンなんですが、自分もメンバーになって近くで見ていて気付いたのは、憧れていたイメージのままというか、いつどんなときも千穂さんは千穂さんということなんです。周りを自分の色に染める力みたいなものがあって、千穂さんがいたらどんな場所でもいい空気が流れるんですよ。
──原田さんが石田さん推しになったきっかけはなんだったんですか?
原田 千穂さんのことを知ったきっかけはInstagramで、そこからお顔がかわいいところや、ステージ上でのキラキラした感じに魅了されました。
──一緒に活動していて新たに発見したところはありますか?
原田 ニューシングルの「独り言で語るくらいなら」は、千穂さんにすごくぴったりな曲だと思ってるんですよ。千穂さんの芯の強いところや信念が曲に表れているようで。同じメンバーとして近くで見ていて、実際にそういう強くてカッコいい部分を知ることが多いですね。
“笑顔モンスター”原田清花
──高雄さんと原田さんは前作「思い出せる恋をしよう」で表題曲の“2期研究生歌唱ver.”に参加していましたが、選抜メンバーに選ばれるのは今回が初めてですね。
原田 選抜の発表があった日は個人的に凹んでいた時期で。舞台公演(SEPTプロデュースによるSTU48号での劇場公演「Selfish amity's」)でうまくいかなくて、「ああ、自分はダメだな」と思っていたタイミングだったので、喜びよりも不安が大きかったんです。「私じゃ選抜メンバーは務まらないんじゃないか、認めてもらえないんじゃないか」といろいろ考えたんですけど、私を応援してくださっている方は喜んでくれるだろうし、少しでも認めてもらえるようにがんばろうと思うようになりました。
──今はもう覚悟を決めて、不安より前向きな気持ちのほうが大きいですか?
原田 はい。ギリギリ(笑)。
高雄 私は選抜発表の日がちょうど誕生日だったんですけど、選抜入りしたことを聞いたときはなんだか震えが止まらなくて。もちろんうれしい気持ちはありつつ、私も不安で、ファンの皆さんやほかの2期研究生のメンバーにどう思われるかなと気になりました。でも今は選んでいただけたことに感謝して、今まで以上にがんばらなきゃという気持ちですし、私ががんばる姿を見せることによって2期研究生みんなを引っ張っていけたらいいなと思っています。
──石田さんや今村さんにとって、2期研究生の2人は同じ選抜メンバーとして頼もしい存在になっていますか?
石田 2期研究生は加入したときから全員頼もしい印象ですし、アイドルを楽しみながらがんばっている姿勢を感じます。なので、一緒に選抜メンバーで活動できるのがうれしかったですね。
今村 もう加入から1年以上経っているので、変に上下関係があるわけではなく、先輩と後輩というそれぞれの立場はありながらも、みんな仲よくしています。2期研究生は個性が強い子が多くて、全員に違う個性があってすごいんです。あと吸収する力というか、成長するスピードも速いので「Selfish amity's」公演や課外活動ユニットでの活動を通して刺激をもらってます。
──高雄さんは音楽ナタリーの前回のインタビュー(参照:STU48「思い出せる恋をしよう」インタビュー)にも登場していただきましたが、原田さんは今回が初登場ということで、どういうキャラクターの持ち主なのか、改めて皆さんから紹介していただいてもいいですか?
石田 さやかりんは……ちょっと人見知りだよね?
原田 はい(笑)。
石田 人見知りなのに、急に距離を詰めてくれることがあって。ステージが始まる前に私のところに来て、「パワーをください」と言って手をつないできたことがあるんです。周りの人を虜にする生まれながらの才能を持っている人っているじゃないですか。そういう人なんだと思います。かわいいです(笑)。
──原田さんはもともと石田さん推しだったとのことですが、自分が後輩の憧れの対象になるのはどういう気持ちなんでしょう?
石田 ……うれしいです(笑)。なんだか恥ずかしい気持ちですね。2期研究生より先にドラフト3期生が入ってきたんですけど、あまり後輩感がなかったですし、STU48はAKB48グループで一番若いグループなので、自分が先輩という立場になったことがなかったんですよ。いざ本物の後輩ができたら、シャキっとしなきゃという気持ちになりました。
──先輩としての自覚がしっかりと芽生えたわけですね。同期の高雄さんにとって、原田さんはどんな存在ですか?
高雄 さやかりんは自分に自信がなくて少し殻に閉じこもりがちで、支えたくなるような雰囲気があるんですよ。でも私が落ち込んでしまったときは逆に支えてもらうこともあって、お互いに助け合えている関係性です。
今村 よく「自分なんて」と言っている印象が強いんですけど、すごくがんばり屋さんなんです。「Selfish amity's」公演のときも台本を覚えるのが速かったし、絵が上手という特技もあるので、もっと自分に自信を持ってほしいですね。ふわふわしているようでSHOWROOMではハキハキしゃべってたり、コメントを読んでファンの方をいじったりしていて、もっと自然体なところを見たいです。
高雄 前に比べたらだんだんと素の部分が出てきたと思います。ホントはすごく面白くて、素も魅力的な子なんですよ。
──外見的な部分だと、身長の高さ、スタイルのよさもグループの中で際立ってますよね。
石田 そうなんです! ステージ映えするというか。私はCharming Trip、さやかりんはlittle Charming Tripという課外活動ユニットで活動しているんですけど、レッスンの時間があまりなくてみんなが不安そうな表情を浮かべている中、さやかりんはリハーサルからずっと笑顔だったんですよ。その笑顔に助けられる人がたくさんいるんだろうなと思いました。
高雄 マネージャーさんに“笑顔モンスター”というあだ名を付けられてました(笑)。
原田 いい意味のあだ名だと信じてます(笑)。
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