STU48|念願のオープン迎えた船上劇場より愛を込めて

卒業していくメンバーへの思いと重なる

──ここからは7月31日にリリースされる3rdシングル「大好きな人」について話を聞かせてください。表題曲は“大好きな人”を見送るという内容の曲ですが、単に別れを歌った恋愛ソングではなく、どこか壮大な雰囲気を持つ歌ですね。最初に聴いたときの印象はいかがでしたか?

石田 「切ないっ!」って思いました(笑)。初めて夏に出すシングルなので、ワイワイした曲になるのかなと想像していて。最初にメロディだけを聴いたときもそういうにぎやかな歌なのかなと思ったんですが、歌詞を見たらすごく切なくて、MV撮影終わりにお風呂で曲を聴いていたらポロポロと涙が出るくらい感動しました。恋愛的な別れだけを歌っているのではなく、卒業していくメンバーへの心情と重なる部分があるんです。

福田朱里

瀧野 メジャーデビュー曲の「暗闇」は歌詞の中の言葉の数が多かったんですけど、「大好きな人」は逆に音を伸ばす部分が多くて。私は初めて歌詞を見たとき、「文字が少ないっ!」と思いました(笑)。その分、1つひとつの音に感情を込められる曲だと思います。

──音の数が多いのと少ないのではどっちが歌いやすいですか?

瀧野 うーん、その中間くらいですかね(笑)。

福田 あと「大好きな人」はイントロの音がすごくきれいで聴き惚れてしまうというか、希望があふれる感じがすごく好きで。ファンの方からも「音がきれいな曲で耳あたりがよくて、何回も聴きました」という声をいただきました。歌詞はもちろん、曲としても素敵な歌だと思います。

──2ndシングルの表題曲「風を待つ」はナイアガラサウンドを彷彿とさせる楽曲でしたし、楽曲の音作りの面はSTU48が持つ特徴の1つなのかもしれないですね。今村さんは「大好きな人」についてどのような印象を持っていますか?

今村 「大好き」とか「しあわせになれ!」とか、伝わりやすい歌詞が多いと思うんですけど、その中に「でも」という接続詞が挟まっていたり、「ずっと思っていたより もっと好きだった」という感情的な表現があったり、単純な歌詞の中にも多くの意味が込められている曲だと思います。切ないんですけど、最後まで聴くとさわやかな気持ちになれるというか、後味がいい曲だなって。

ファンに支えられていることを再発見した

──「大好きな人」のMVは完成した船上劇場を舞台にした映像になっています。映像の中に登場するエキストラは、応募して集まったファンの方たちだそうですね。

瀧野 2日間で約500人の方に参加していただきました。サビでメンバーが順番に踊っていく振りがあって、その延長となる部分をエキストラの方たちに踊っていただいて。撮影中、私たちはエキストラの方の前にいたので全体の景色は見えてなかったんですが、あとで映像を観たら皆さんすごくきれいに踊っていて感動しました。その日はかなり暑かったんですけど、気温だけでなくみんなの気持ちが高まっていたのかなと。私たちはファンの方に支えていただいて活動できているんだなと再発見するMVになりました。

──参加した人の数が多い分、撮影は大変だったんじゃないですか?

石田 エキストラの方々が素晴らしくて、撮影で踊る回数は今までのMVと変わらないくらいでした。皆さんその日に振り付けを覚えたそうなんですけど、完璧でしたね。

──雨により、屋上デッキでのダンスシーンは一部船内での撮影に変更になったそうですね。

福田 はい。劇場内のシーンではファンの方が色を統一したペンライトを振ってくださって。ホントに劇場公演をやっているような雰囲気で、普段の表情というか、私たちの生き生きとした表情を引き出してくれました。相乗効果が生まれて、STU48のよさが伝わる映像になったと思います。

──振り付けは「暗闇(Live ver.)」を手がけたCRE8BOY(クリエイトボーイ)の方々が担当したとのことですが、ダンスの特徴はどういうところにありますか?

今村美月

今村 「大好きな人」ではSTU48の全メンバーが選抜入りしているので、全員で魅せるダンスに仕上がっているんです。STU48でおなじみの敬礼ポーズとか、細かい部分におしゃれが混ぜ込まれていて大好きな振りです。

──難易度的にはどうですか?

瀧野 2番のカノン(1つの振りを数拍ずつずらす踊り)で踊るところは、一回頭で考えないと隣のメンバーにつられちゃうんですよ。慣れるまでにちょっと時間がかかりましたね。

今村 あとCRE8BOYさんに、「いつものアイドルの表情じゃダメ」って注意されました。

瀧野 切ない表情というか、踊るにあたって「大好きな人を港に送りに行ったり、引き止めに行ったりするとき、どういう表情や走り方をしますか?」というような細かい描写を指導いただきました。

──MVの冒頭には瀧野さんが涙を流すシーンもありますね。

瀧野 私は普段泣いている姿を人に見せたくないんです。1人で泣いたり、動画配信をしているときに感極まってもグッと堪えたりすることが多いので、ちょっと恥ずかしかったですね。

──瀧野さんは今回のシングルで3作連続でのセンターを務めていますが、グループの中心に立つことについて心境に変化はありましたか?

瀧野 最初の頃は、一番前に立たせていただくからにはすべてが一番じゃないといけないというプレッシャーを勝手に感じて悩んでいたんですけど、STU48は個性豊かなメンバーが多いので、誰がセンターに立ってもいいグループだと思っていて。その中でセンターに選んでいただくからには、今回も一生懸命がんばろうという気持ちです。

──肩に力が入りすぎているというわけではなく。

瀧野 そうですね。プレッシャーはそこまで感じなくなりました。