手がしびれた有観客ライブ
──12月17日に「STRAIGHTENER20201217」というタイトルのワンマンライブが開催されます。アルバム「Applause」の発売直後のタイミングで、来年にはアルバムを携えたツアー「Applause TOUR」が計画されている中で、12月のライブはどういう位置付けのライブになるんでしょうか?
ホリエ 実はこの日程でこのライブハウスを1年くらい前から押さえていて。当初はアルバムを作り終わってリリースパーティ的な1日にしよう、くらいの考えだったんです。ただ今年に入って思うようにライブをすることができなくなってしまい、この1日をどう使おうかみんなで考えて。前回がスタジオライブの配信だったから、今度はライブハウスからの配信をやりたいよね、という話になったんです。曲目はもちろん、演奏のスタイル、空気感などいろんな面で「TITLE COMEBACK SHOW」とはまったく異なるライブになると思います。お客さんにも入ってもらう予定ですし、自分のプレイに100%向き合うような感じにはならないだろうから。
大山 9月に中野サンプラザホールで「THE SOLAR BUDOKAN」に出させてもらったんですけど、このときひさびさにお客さんを目の前にして演奏したんです。そうしたら、なんでかわからないけど手がしびれたんですよ。
──スタジオライブのときにはなかった感覚だったんですか?
大山 はい。ライブの感覚を体が思い出して、急に血が巡ったのかな。今までのライブではそんなことなかったんですけど、1曲目でいきなり手がしびれて「ライブやってる!」という実感がありました。
ホリエ 緊張なのか感動なのかわからないけど、ライブをやっていると毛穴が開く瞬間みたいなのがあるんですよね。それはやっぱり、お客さんを目の前にしていないとない感覚だと思う。
──ライブの開催はアルバムリリース直後なので、もちろん新曲も披露されると思います。「Applause」の曲はストレイテナーのライブにどのような影響を及ぼすんでしょうか?
ホリエ 実は現時点ではどの曲をやるのかまだ詰めてなくて、事前にYouTubeでトークの生配信番組をやるのでそこでリクエストを募ろうかなと思っているくらい(笑)。もちろん「Applause」の曲もやりますが、全部ここで出しちゃうのはもったいない気もしていて。それに今回のアルバムはあまりライブのことを考えずに曲を作ってレコーディングをしたので、スタジオアルバム的なよさはすごく出ているんですが、その分曲ごとのキャラクターがそれぞれに違って、ライブにどう組み込むかは苦戦しそうで……。
大山 僕としては早く曲を決めてもらいたいですね。ギターはバッチリなんですが、ギターを弾きながらコーラスを取るのが難しくて。
ホリエ 今回のコーラス、難しいよね。「叫ぶ星」とかよく弾きながら歌えるよなって思う。
大山 今日セットリスト決めてくれないかな? 曲を絞って練習しないと間に合わないから(笑)。
この日を忘れないように
──「STRAIGHTENER20201217」というライブタイトル、ものすごくシンプルですよね。なぜこのタイトルに?
ホリエ スタジオライブでの配信を除けば、今年唯一のワンマンライブというのが大きいですね。まず「2020年」というのを入れたいというのが前提にあって、こういう1年だったからこの日を忘れないようにしたいなと思って「STRAIGHTENER20201217」にしました。
大山 いつどこでライブをしたかって、すぐ忘れちゃうからね。タイトルにしておけば思い出す必要はないから。
ホリエ COMPLEXの解散ライブのタイトルが「19901108」なんですよね。このタイトルって何年経ってもスッと言える。だったら僕らもこの日を忘れないようにしようと思って。
──ライブが行われる渋谷CLUB QUATTROはストレイテナーにとって非常になじみのある会場だと思います。
ホリエ もしかしたらストレイテナーが一番ライブをしている会場が渋谷クアトロかもしれないぐらい、何度も立ってきたステージなんですよ。それと僕は長崎から上京して初めて東京のライブを観に行ったのが渋谷クアトロだったから、個人的な思い入れが強くて。東京に出てきて最初の目標にしていたライブハウスでもあるんです。
大山 まずはこのハコをいっぱいにするのを目標にしているバンドは多かったよね。それと渋谷クアトロはステージに立ったバンドがカッコよく見えるイメージがある。ロック的に憧れるいいハコなんだよな。
ホリエ 大きい会場だと毎回プレッシャーを感じるんだけど、渋谷クアトロはアクセスもいいし、フラっと会場入りできるのも魅力的かな。肩肘張らずに立てるよさはあると思う。
家にいて“ぬくいアイテム”
──ライブをするにあたって販売されるグッズのデザインをホリエさんが手がけたと伺いました。Tシャツ、靴下、ライブパスという3点の販売ですが、なぜ靴下を?
ホリエ 実は靴下を作ろうというところから今回のグッズ展開の構想が始まったんです。日付をライブタイトルにすると決めた時点で、デジタルな感じのフォントにしたいと思って。このフォントを生かすデザインのものを考えていたときに、靴下がいいんじゃないかなと思い付いたんです。皆さん家にいる時間が増えたわけだから、ライブタオルみたいなのは違うかなというのと、家にいて“ぬくいアイテム”だったら靴下だろうと。
──「Applause」の中に1曲、クリスマスソングが入っていますよね。それも含めて、靴下というのは季節感のあるアイテムなのかなと思いました。
ホリエ それに、靴下って履くときにテンションが上がるんですよ。オフからオンに切り替えるスイッチみたいな感覚もある。
大山 履くと脛の部分にロゴが出るんだね。これいいな。
ホリエ カッコいいよね。単純に自分が欲しいアイテムを作ったらこうなりました。
離れていれば制限はなくなる
──最後にライブに向けての意気込みをお願いします。
大山 スタジオライブのときに気付いた人もいるかもしれないんですが、メンバーの足元に敷かれている絨毯が、僕のものだけ超小さかったんです。
ホリエ (手元のタブレットでライブ写真を確認して)え、小さ! 全然知らなかった(笑)。
大山 まさに一歩も動けなくて。スタジオライブだったので動く必要もそんなになかったんですけど。ライブハウスでやるからにはもっと自由に動き回れるようにステージングもしっかりしていると思うので、楽しみですね。
ホリエ ステージングで言うと、スタジオライブではイヤモニだったんですよ。僕はイヤモニが苦手で普段のライブではしていないので、そういう意味でもライブハウスでのライブは楽しみかな。
大山 やっぱりライブハウスでライブをするのがバンドだから。
──最後にホリエさん、お願いします。
ホリエ 配信のいいところはどの地域にいても同じタイミングでライブを楽しめることだと思うので、会場に集まった人も含めて、場所というレイヤーを超えた一体感みたいなものをこのライブで出したいですね。人が集まると制限が発生してしまうけど、配信ライブでそれぞれが違う場所にいれば、制限はなくなるんですよ。近所迷惑や怪我に気を付ければ、それこそ自由にライブを楽しむことができる。なので、皆さんそれぞれの楽しみ方でライブを観てほしいです。