ストレイテナーにとって“大きな曲”
──ベストアルバムには投票で上位にランクインした曲のほかに、メンバーの皆さんが選んだ楽曲も収録されています。ホリエさんは「From Noon Till Dawn(feat.Tabu Zombie&Kunikazu Tanaka)」を、シンペイさんは「Man-like Creatures」を選んでいますが、この理由は?
ホリエ 「From Noon Till Dawn」は「勇者ヨシヒコと悪霊の鍵」というドラマのために書いた曲で、僕らだけじゃなくてほかの作り手の意識が乗っかっている曲なんですよね。ただバンドのためだけに曲を書くのとは違うモチベーションで作れたし、あとにも先にもホーン隊を入れた曲は「From Noon Till Dawn」しかないし。
ナカヤマ 実は僕、開票イベントが行われる前から「Man-like Creatures」を選ぼうって決めてたんですよ。おそらく上位25位には入ってこないだろうと思っていたので。
ホリエ 「Man-like Creatures」はストレイテナーにとってすごく“大きな曲”で、僕は「こんな曲を作れたこのバンド、すごい」って今でも思っているんです。武道館のときは意図的に僕が推してたからランクインしてたけど、今回は25位には入ってこなかった。
ナカヤマ でも30位だったんだよね。今回のベスト盤って「side DAY」「side NIGHT」合わせて計30曲が収録されるアルバムだから、「Man-like Creatures」を入れる必然性もあると思って。胸を張ってこの曲を選べました。
──日向(秀和 / B)さんが「KINGMAKER」を選ばなかったのが意外でした。開票イベントでもかなり「KINGMAKER」を推していたので(参照:「みんなのベストです」ストレイテナー、ベスト盤開票イベントで秘蔵エピソード語る)。
ホリエ 「KINGMAKER」はベースのテクニックをフルに聴かせる曲だから、ひなっち(日向)のお気に入りの曲ではあるんですけど、ストレイテナーのこれまでの歩みと真っ当に向き合ったときに彼が選んだ曲は「The World Record」だったんですよね。「The World Record」は「Behind The Scene」(2014年10月発売のアルバム)の中でもひと際異彩を放っている曲だし、この頃から速いビートで盛り上げていくんじゃなくて、ダイナミックなミドルテンポの曲でフロアを沸かせることにトライしていて。それを大きく示した1曲でもあるんです。
──もう1曲、大山(純 / G)さんが選んだ「Sunny Suicide」の選曲理由は聞いていますか?
ホリエ 具体的には聞いてないんですけど「Sunny Suicide」は元ネタをOJ(大山)が持ってきた曲で、そこにメロディを乗せてアレンジしながら完成させた曲なんです。実は僕らは4人になるまで既存のコード進行にメロディを乗せるって作り方をしたことがなかったんですけど、「Sunny Suicide」はおそらくOJの予想を上回る形に仕上がったので、思い入れが強かったのかなと思っています。ライブでやり続けてきた曲でもありますし、そりゃあ選ぶよなって。
ミドルテンポで押し通した「Braver」
──今回のベスト盤には1曲だけ新曲が収録されています。「side NIGHT」の1曲目に収められている新曲「Braver」は、ストレイテナーが初めてアニメタイアップを獲得した曲でもあります(参照:アニメ「アンゴルモア元寇合戦記」OPテーマをストレイテナー、EDテーマをSHE'Sが担当)。
ホリエ 初のアニメ主題歌ですからすごくうれしかったし、原作を読ませてもらって「これは作りがいがあるな」と思ったんです。実は原作を読む前から「Braver」という曲のアイデアはあったんですけど、「アンゴルモア元寇合戦記」が史実に基づいた戦記物というジャンルであることだったり、作品の舞台が僕らの故郷の長崎県であることを受けて、詞やアレンジは新たに考えて作り上げた曲です。今だから作れた曲だと思うし、「何かのために曲を書く」という醍醐味を改めて感じた曲でもありますね。
ナカヤマ やっぱり自分たちの曲がアニメのオープニングで流れたときは胸が熱くなりました。最近のアニメって、作品によっては第1話の最後までオープニングが流れないことが多いんですけど、「アンゴルモア元寇合戦記」は1話のド頭からしっかり「Braver」が流れて。もちろん自分たちの曲ではあるんだけど、絵が付いて曲が流れると、いつもとちょっと違う感覚になるんだよね。
ホリエ オープニングでは筆文字の縦書きで「ストレイテナー」って出てくるんですけど、そういうセンスも含めて全部がよかった。期待以上の映像でした。
──「Braver」はアニメソングのオープニングによくあるアップテンポな曲ではないですよね。
ホリエ 実はアニメサイドからは「アップテンポで」というオーダーをいただいていたんですよ。ただ僕の中にあった「Braver」のアイデアがドンピシャだったので、「テンポはこれぐらいですけど、熱い拳を握りしめたくなるような曲にするんで」とゴリ押しをして。
──先ほど「The World Record」の話で伺った「ダイナミックなミドルテンポの曲でフロアを沸かせる」という曲の方向性は、「Braver」にも共通しているように感じました。
ホリエ そうですね。ミドルテンポだけどしっかり盛り上がる曲になったと思います。フェスではすでに披露していて、感触はかなりよくて。ワンマンライブでどういう感じになるのか、フェスのお祭り感なしでもこの曲で盛り上がるのかはまだわからないので楽しみですね。アニメのほうではDメロを入れるために思い切ってイントロを省いてみたんですけど、原曲バージョンのイントロに入ってるクラップとスタンプはメンバー4人とローディの5人で録りました。
ナカヤマ こういう音作りをするのは珍しいから、けっこう楽しかったね。
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周年でしかやれない形でバンドの集大成を見せる
- ストレイテナー
「BEST of U -side DAY-」 - 2018年10月17日発売 / Virgin Music
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初回限定盤 [CD+DVD]
3996円 / TYCT-69130 -
通常盤 [CD]
2916円 / TYCT-60121
- CD収録曲
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- DAY TO DAY
- DISCOGRAPHY
- PLAY THE STAR GUITAR
- From Noon Till Dawn(feat.Tabu Zombie&Kunikazu Tanaka)
- Ark
- Toneless Twilight
- 泳ぐ鳥
- TRAIN
- シンクロ
- SIX DAY WONDER
- WHITE ROOM BLACK STAR
- 羊の群れは丘を登る
- REMINDER
- Farewell Dear Deadman
- 彩雲
- 初回限定盤DVD収録内容
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CD収録曲のライブ映像を収録
- ストレイテナー
「BEST of U -side NIGHT-」 - 2018年10月17日発売 / Virgin Music
-
初回限定盤 [CD+DVD]
3996円 / TYCT-69131 -
通常盤 [CD]
2916円 / TYCT-60122
- CD収録曲
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- Braver
- The World Record
- SAD AND BEAUTIFUL WORLD
- Melodic Storm
- Sunny Suicide
- シーグラス
- TENDER
- KILLER TUNE
- Man-like Creatures
- シンデレラソング
- Lightning
- AGAINST THE WALL
- 冬の太陽
- ネクサス
- ROCKSTEADY
- 初回限定盤DVD収録内容
-
CD収録曲のライブ映像を収録
- ストレイテナー
- 1998年にホリエアツシ(Vo, G, Piano)とナカヤマシンペイ(Dr)の2人で結成。2003年のメジャーデビューのタイミングで日向秀和(B)が加入。さらに2008年には元ART-SCHOOLの大山純(G)が加わり、4人編成に。2009年2月には4人編成となってから初めてのフルアルバム「Nexus」を発表し、同年5月にアルバムを携えてのツアーファイナルとして初の日本武道館公演を開催した。ホリエはソロプロジェクト・entとして、日向はNothing's Carved In Stone、EOR、killing Boyのバンドメンバーとしても活動するなど、各メンバーがさまざまなバンドやプロジェクトで活躍している。バンド結成20周年のアニバーサリーイヤーとなる2018年には4月にニューシングル「The Future Is Now / タイムリープ」を、5月にニューアルバム「Future Soundtrack」を発表した。同年10月にはファン投票によって選ばれた楽曲などが収録されるベストアルバム「BEST of U -side DAY-」「BEST of U -side NIGHT-」を同時リリースし、全国23カ所を回る全国ツアー「My Name is Straightener TOUR」をスタートさせた。2019年1月には千葉・幕張イベントホールでワンマンライブ「21st ANNIVERSARY ROCK BAND」を開催する。