何をやってもストレイテナーの音になる
──大山さんが加入したことでホリエさんの曲作りはどう変化しましたか?
ホリエ OJが入ったことによって自由度が増して、枷が外れた感じはありましたね。「何をやってもストレイテナーの音になるな」って感覚が強くなったのは4人になってからかな。3人の頃って「こういう曲をやりたいんだ」って思って作ると、参考にしたものに寄りすぎてしまってたんですよ。
日向 自分の想像できる範囲の中で曲が完成してたよね。
ホリエ うん。アンサンブルの中でも曲がどんどんできるようになったよね。ちょっと変化球的なメロディやコード進行を持ってきても、4人で音を合わせていくとハマるんですよ。僕自身、とりあえず作ったけど完成形が見えていなかったアイデアが、4人でアンサンブルをしてみるとすぐにビジョンが見えてきたりする。すごく心強いですね。
──細かい変化で言うと、3人時代の日向さんのベースと4人になってからの日向さんのベースは少しアプローチが変わったと感じています。
日向 なんて言うんですかね、逆進化を遂げています(笑)。3人時代の僕って「オルタナティブでいなきゃいけない」って意識が強くて。どこか無理をして攻めたアプローチをしがちだったんですよ。でも今は自分のナチュラルなところに戻ってきてる感覚があって、すごく気持ちよくベースを弾けていますね。
ナカヤマ この間の「テナマニ」のときは大変だったよね(参照:ストレイテナーがマニアに捧げた一夜、レア曲連発の「テナマニ」)。
日向 過去の自分のアレンジが大変すぎちゃって、それを再現するのがけっこう大変で(笑)。今は本当に自分の持っているものだけをナチュラルに出すことで曲が成立してますから、ストレイテナーと共にいい歳の重ね方をしてきたなと思います。
「バンドやっててよかったな」と思える1枚
──ストレイテナーの20年のキャリアの中で、それぞれ特に思い入れのある1枚はなんですか?
ホリエ 難しいですね。「テナマニ」のような企画のおかげで最近、昔の曲にもちゃんと向き合っているからこそ、どれが一番と言われると……。
日向 レア曲まで弾けるようになっちゃったからね。今だったらもうなんでも演奏できちゃう。
大山 僕が選ぶとどうしてもここ10年の作品になってしまうんですけど、僕は「CREATURES」(2010年3月発売のメジャー6thアルバム)が一番好きですね。
ホリエ 「CREATURES」って出した当初はちょっと地味な感じで、人気がそこまで出なかったアルバムなんです。でも最近このアルバムの曲をやるとすごく反応がいいんですよ。
日向 ちょっと「LINEAR」に似てるかもね。挑戦的な内容だったし。
大山 「CLONE」「Toneless Twilight」は好きな曲だし、「Sunny Suicide」、「Man-like Creatures」も入ってる。すごいアルバムだな。
ホリエ ついこの間「CREATURES」ツアーのDVD(2010年10月発売日のライブDVD「The Parade of Creatures」を観たんだけど、当時しか演っていない「Diamond Phillips」とかすごくカッコいいんだよね。
日向 「MEMORIES」もいい曲だよね。
大山 全部思い入れが強い曲ですね。
ホリエ 僕はミニアルバムですけど「Resplendent」がけっこう好きですね。ミニアルバムってレコード業界的には売れないアイテムらしいんですよ。だからこそやりたいことを自由にやってるし、半分くらいはやけくそで作ってます(笑)。
一同 (笑)。
日向 「シンデレラソング」のイントロを作るとき、「どういうふうにしたい?」ってホリエくんに聞いたら、「気が狂ったようにしてくれ」って言われたからね(笑)。
大山 何も決めないまま「せーの」とか言っていきなりセッションを始めるんですよ。「待って待って」みたいな(笑)。
日向 それであのイントロができました。でも、やけくそだからこそいいものができたんじゃないかな。
ホリエ なるほど。そうかもしれないね。
──日向さんは一番思い入れの強い音源を挙げるとすれば、どれでしょうか?
日向 やっぱり最新作の「Future Soundtrack」かなあ。
ナカヤマ 俺も一緒。
日向 「COLD DISC」(2016年5月発売のメジャー9thアルバム)を作ったときにかなり達成感があって、個人的には「これ以上の作品はできないかもな」って思ってたんです。でも今回「Future Soundtrack」を作ってみて、ホリエくんの出してきたメロディに対して、どれだけうまくフィットさせていくかっていうところが今まで以上にうまくいったんですよね。「バンドやっててよかったな」と思える1枚になりました。
ナカヤマ 4人になってからの5枚を比べると、本当にどれも甲乙付けられなくて、一番新しいのがやっぱり自信があるって言うしかないんですよね。ボジョレー・ヌーボーのうたい文句みたいになっちゃって申し訳ないけど。
日向 わかる。
ナカヤマ 「史上最高とうたわれていた前作を凌ぐ1枚」みたいな(笑)。
ホリエ もちろん僕らは最新作が一番いいものだと思って出してますから。今一番聴いてもらいたいアルバムは間違いなく「Future Soundtrack」です。
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ストレイテナー バイオグラフィ
2008~2018年
- ストレイテナー「Future Soundtrack」
- 2018年5月23日発売 / Virgin Music
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初回限定盤 [CD+DVD]
5184円 / TYCT-69128 -
通常盤 [CD]
3240円 / TYCT-60117
- CD収録曲
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- Future Dance
- タイムリープ
- After Season
- Boy Friend
- 灯り(ストレイテナー×秦 基博)
- もうすぐきみの名前を呼ぶ
- The Future Is Now
- Superman Song
- Last Stargazer
- 月に読む手紙
- Our Land
- 初回限定盤DVD収録内容
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ONE-MAN LIVE テナモバ presents 'STRAIGHTENER MANIA' 2018.02.20 at STUDIO COAST
- REBIRTH
- Stilt
- STAINED ANDROID
- Dead Head Beat
- AFTER THE CALM
- WHITE ROOM BLACK STAR
- 星の夢
- BLACK DYED
- KINGMAKER
- LOVE RECORD
- 放物線
- TRIBUTE
- BERSERKER TUNE
- ストレイテナー
- 1998年にホリエアツシ(Vo, G, Piano)とナカヤマシンペイ(Dr)の2人で結成。2003年のメジャーデビューのタイミングで日向秀和(B)が加入。さらに2008年には元ART-SCHOOLの大山純(G)が加わり、4人編成に。2009年2月には4人編成となってから初めてのフルアルバム「Nexus」を発表し、同年5月にアルバムを携えてのツアーファイナルとして初の日本武道館公演を開催した。ホリエはソロプロジェクト・entとして、日向はNothing's Carved In Stone、EOR、killing Boyのバンドメンバーとしても活動するなど、各メンバーがさまざまなバンドやプロジェクトで活躍している。2016年5月にアルバム「COLD DISC」を発表。同年6月より計26カ所の会場を回る全国ツアー「Step Into My World TOUR」を開催し、ツアーのライブ映像を収めたライブBlu-ray / DVDを2017年3月にリリースした。バンド結成20周年のアニバーサリーイヤーとなる2018年には4月にニューシングル「The Future Is Now / タイムリープ」を、5月にニューアルバム「Future Soundtrack」を発表した。
2018年9月18日更新