4人が自由にしながら成立するバンド
──先ほど日向さんが「ストレイテナーの雰囲気は緩い」と話していましたが、大山さんはバンドの空気感をどう感じていますか?
大山 4人が4人ともけっこう自由な感じがするんですよね。バンドによくある、絶対的なリーダーの指示によって動いている感じでは全然なくて。もちろんリーダーはあっくん(ホリエ)なんですけど、彼の指示で僕らが動くわけではなく、みんなが自由にしながらもちゃんとバンドとして成立しているのがストレイテナーなんです。曲はほとんどあっくんが作っているわけだから、ちょっと不思議でもあるんですけど。
日向 うん。テナーはかなり自由。おそらくイメージしてるサウンドの方向性が同じだからじゃないかな。もちろん、僕ら4人はいろんな趣味嗜好があるわけですから、それぞれのフィルターを通してアウトプットをするわけですけど、最終的な目的地はちゃんと同じ認識で見てる。だからバラバラにならないような気がします。
ホリエ 4人とも1人のアーティストに憧れ続けるタイプじゃないのが大きい気がします。「誰か」ではなく、「音楽そのもの」が好きだから、メンバー間で音楽の話をすることは多いですね。「古い曲なんだけど、こういうのいいよね」とか「こういうことがやってみたい」とか。
日向 僕ら全員の根っこに共通してある音楽のルーツもデカいかもね。
ホリエ 僕ら4人ともThe Rolling StonesとかRamonesとか、いわゆる「ロックミュージシャン」らしいルーツをルーツにするタイプじゃないんです。どっちかと言うと、1990年代頃のミックスされたカルチャーが好きなんですよね。
日向 あと不思議とダンスミュージックに寄っていくところはテナーの特徴かもしれないですね。今の時代にも合っていると思いますし、僕が個人的に得意なジャンルに落とし込めるっていうのは快感ですね。
「もう若手じゃねえな」
──前回の取材のときにホリエさん、シンペイさん、日向さんは3人の活動時期を「バンドの青春時代だった」と語っていました。大山さんが加入して10年が経ちますが、4人の活動時期はどんな時代だったと思いますか?
ホリエ ストレイテナーというバンドは、この10年ですごく変化してきたと思うんですよ。
日向 4人になってから今まで、あっという間だったからね。
ナカヤマ 「OJが入ってからがもう一番長いんだよ」って言われると驚くよね。それくらい体感時間が短い。
ホリエ 音楽的に言うと僕が目指していたサウンドを、この4人で鳴らせるようになった実感がありますね。「LINEAR」(2007年3月発売のメジャー4thアルバム)のときは実験としていろんな音楽を作ってたけど、今は楽しみながらいろんな曲を演奏できるようになった。
日向 なんだろうね。俺たち今は楽しむ時代になってるのかね。
ナカヤマ サラリーマンとかもさ、三十代から仕事が楽しくなるみたいに言うじゃん。アレに近いかもね。なんだろう、“課長時代”とかかな(笑)。
一同 (笑)。
──OJさんはバンドに加入してから10年が経って、どんな時間を過ごせたと感じていますか?
大山 とにかく必死だったんですよ。それで入ったばっかりのときは周りが見えていなかったような気もするんですが、10年経って、今はやっと余裕を持って広い視野で物事が見れるようになったと思います。
日向 OJにとっては“余裕時代”ってことか。
大山 余裕が生まれたって言うのとはまたちょっと違うんですよね。入ったばかりのときは「みんなに追い付かなきゃって」思ってたからずっと張りつめた感じで。それがずっと続いていたから、張りつめた感じでいるのが普通になったと言うか。
ホリエ 確かに、最初の頃は特にがんばろうとしてた感じはありましたね。
ナカヤマ OJは「入ったからにはバンドをさらに人気にしなきゃ」って気負ってたところがあったよ。「メンバーが増えて最初は人気が落ちるものだと思ってるから大丈夫だよ」って言った記憶があるもん。こういうときに受け入れる人、受け入れない人が出てくるのは当然だと思ってますから。
日向 僕は「どう思われようとも、ちゃんと音楽がしっかりしてればいいや」って考え方をしてたから、自分がテナーに入ったときもOJが入ったときも、周りの反応はそこまで気にしていなかったんです。
大山 幕張メッセ公演のDVD(2007年9月発売のライブDVD「LINEAR MOTOR CITY」)とかを観てたからね。入ってすぐのライブがそういう感じじゃなかったから、「あれ? これは俺のせいなのか?」って思っちゃうんだよ。
ホリエ OJが入ったときくらいから「もう若手じゃねえな」って言い始めてたんだよね。
日向 そうそう。ちょっと価値観が変わってきた時期。
ホリエ OJをバンドに誘ったことともつながってくるんですけど、僕らが音楽の在り方、ロックの在り方を改めて考えるようになったのが10年前くらいなんです。
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何をやってもストレイテナーの音になる
- ストレイテナー「Future Soundtrack」
- 2018年5月23日発売 / Virgin Music
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初回限定盤 [CD+DVD]
5184円 / TYCT-69128 -
通常盤 [CD]
3240円 / TYCT-60117
- CD収録曲
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- Future Dance
- タイムリープ
- After Season
- Boy Friend
- 灯り(ストレイテナー×秦 基博)
- もうすぐきみの名前を呼ぶ
- The Future Is Now
- Superman Song
- Last Stargazer
- 月に読む手紙
- Our Land
- 初回限定盤DVD収録内容
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ONE-MAN LIVE テナモバ presents 'STRAIGHTENER MANIA' 2018.02.20 at STUDIO COAST
- REBIRTH
- Stilt
- STAINED ANDROID
- Dead Head Beat
- AFTER THE CALM
- WHITE ROOM BLACK STAR
- 星の夢
- BLACK DYED
- KINGMAKER
- LOVE RECORD
- 放物線
- TRIBUTE
- BERSERKER TUNE
- ストレイテナー
- 1998年にホリエアツシ(Vo, G, Piano)とナカヤマシンペイ(Dr)の2人で結成。2003年のメジャーデビューのタイミングで日向秀和(B)が加入。さらに2008年には元ART-SCHOOLの大山純(G)が加わり、4人編成に。2009年2月には4人編成となってから初めてのフルアルバム「Nexus」を発表し、同年5月にアルバムを携えてのツアーファイナルとして初の日本武道館公演を開催した。ホリエはソロプロジェクト・entとして、日向はNothing's Carved In Stone、EOR、killing Boyのバンドメンバーとしても活動するなど、各メンバーがさまざまなバンドやプロジェクトで活躍している。2016年5月にアルバム「COLD DISC」を発表。同年6月より計26カ所の会場を回る全国ツアー「Step Into My World TOUR」を開催し、ツアーのライブ映像を収めたライブBlu-ray / DVDを2017年3月にリリースした。バンド結成20周年のアニバーサリーイヤーとなる2018年には4月にニューシングル「The Future Is Now / タイムリープ」を、5月にニューアルバム「Future Soundtrack」を発表した。
2018年9月18日更新