必ず最後にはアゲてきたストレイテナーがそれを止めた

──今作の見どころというか、特にお薦めの1曲はどれですか？

ナカヤマ　俺は「MARCH」。いい曲ですから。

日向　愛知公演でホリエくんの友達に「解散するんじゃないか」と思わせた曲ですね。

ホリエ　実は2011年のステラボール公演で最後にやった曲も「MARCH」なんです。だから最初はステラボールで「MARCH」をやろうか考えていたんですけど、1度愛知でやってみたら友達に「解散すんじゃないか」って言われたから一旦ちょっと保留にして。

日向　引っ込めたよね。ホントはいいことなんだけど、なぜか反省しちゃった。

ホリエ　ドラマチックを通り越してメランコリックになっちゃった。

──満を持してツアーファイナルの最後で演奏したんですね。

ホリエ　実は人見記念講堂のアンコールってアッパーな曲をやってないんですよ。これってけっこう大胆なことで、必ず最後にはアゲてきたストレイテナーがそれを止めたっていう。

ナカヤマ　盛り上げるより「MARCH」のほうが満足度が高いって確信があった。

日向　ホールっていうこともあったしね。

──大山さんはどうですか？

大山　「Goodnight, Liar Bird」ですね。この曲で鍵盤を弾くんですけど、俺はなんでこんなフレーズを作ってしまったんだろうって何度も思いました。

ホリエ　レコーディングのとき、「ギターで考えていたフレーズを鍵盤で弾いたらどうかな」ってOJが言い出したんだけど、自分では弾けないってことになって僕に預けかけたんですよ。でも「これをちゃんと鍵盤で弾いて、ライブでもやったらいいんじゃないの？」って提案して、ライブでやることになったんです。

日向　すごい大変だったよね。練習してね。

ホリエ　ハマったのは最終日だけかもしれない。途中でさじ投げた公演があったもんね。

一同　（笑）。

ホリエ　でも最終日はよかったよね。今回のツアーの1つの見せ場だったと思います。

会場によって正解の曲が変わる

──日向さんの推しの1曲はどれですか？

日向　先ほど話題に出た「FREE」ですね。昔やってた頃の「FREE」と、今の「FREE」を比べてすごく成長したなっていう実感があって。昔は勢いだけで演奏していたものが、今はちゃんと歌として聴かせることのできる「FREE」になったなと思いました。イントロは僕1人なんですけど、ちゃんとテンポ計を見てテンポが乱れないように気を付けています。

ホリエ　ひさびさに「FREE」をやったんですけど、土地によってお客さんのリアクションも違ったんですよ。

ナカヤマ　あるね。どのアルバムの曲が盛り上がるかは、土地によって違う。「あ、ここは『LINEAR』なんだ」とか、「ここはまだ『Dear Deadman』なんだ」みたいな。

──面白いですね。

ナカヤマ　会場によって正解が変わるっていうのは、演奏してるほうも面白いですね。

──ホリエさんお薦めの1曲は？

ホリエ　「Alternative Dancer」とかかな。

日向　CDとはイントロの感じを変えてるんですよ。最初ホリエくんの歌メロを入れて少し盛り上げてから演奏に入る、みたいな。

ナカヤマ　夏頃から始めたやつね。

日向　あれすごいカッコいいっす。盛り上がるし。

──今作の映像では巨大なミラーボールが回るのも見どころですよね。

ホリエ　めちゃくちゃでかいミラーボールを回してもらって。ストレイテナーとしては今までにない曲調だし、映像も見応えがあるので注目してほしいですね。僕ら4人中3人が人見記念講堂の曲をお薦めしちゃったんですけど、まずはステラボールのライブ映像から見てほしいって気持ちがあるんですよね。ライブハウスでのストレイテナー、やっぱりカッコいいなって自分でも思ったので。

日向　そりゃあライブハウスのほうが回数重ねてるからね。本領発揮というか。

ホリエ　ステラボール公演の映像を観て、モチベーションを上げてから人見記念講堂の映像を観るとより楽しめると思って。収録順に楽しんでもらいたいですね。

「ホリエアツシわかってんなあ」

──映像作品とは別に、2月23日発売のマンガ「シャープさんとタニタくんRT」特装版に付属という形でテーマソング「月に読む手紙」がリリースされました。ストレイテナーとしては珍しいコラボの形ですよね（参照：シャープさん＆タニタくんがストレイテナーとコラボするまで）。

ホリエ　何かの作品のために曲を作るっていうことに対してそんなに回数を重ねてきていないから、新鮮な気持ちで取り組みました。Twitterの“中の人”同士が、お互いの日常を気にかけているっていうマンガの優しい空気感をどう曲にするか、「キュン」とする方向に持っていくにはどうしたらいいかってことを考えました。

ナカヤマ　曲を聴いて「ホリエアツシわかってんなあ」って思いました。「シャープさんとタニタくんRT」のようなマンガを読む女子たちの気持ちをよくわかってる。

──コラボをするきっかけになったのは、タニタの公式Twitter（@TANITAofficial）が「ストレイテナーが好き」と公言したことがきっかけなんですよね。

ナカヤマ　はい。それで僕がTwitterでつながって、こうしてテーマソングを担当することに。

日向　いい曲になったよね。

ホリエ　日常感があって淡々としてるんだけど、ちょっとした“プレシャス感”みたいな味も出したくて。淡々としすぎるかなって心配してたんですけど、仕上がってみたらキュンとする感じになってよかったです。

日向　アレンジはちょっと迷ったんです。すごくイナたくするか、ダンサブルにするか、2通りあったんですけど、結果ダンサブルなほうを選びました。

大山　僕もイナたくするしかないかなってすごく考えたんですけど、自分の根っこにイナたさはないなってことに途中で気付いて。結局自分っぽいことをやるのが一番なんじゃねえかってところに戻って、アレンジに取り組みました。

ホリエ　みんなアレンジではちょっと迷った感じがするんだけど、最終的には自分たちらしいことをやることに落ち着いたって感じですね。

ナカヤマ　でもいまだに不思議な感じだな。だって基本的にはCD屋に並ばないで、本屋に置かれるわけでしょ？

──一部のCDショップでは売られるかもしれませんが、基本的にはマンガとして売られるので本屋ですね。

ホリエ　版元さんが気合を入れてくれて、特典のムービーにも出させてもらっているんです。僕らにとっても貴重な体験だったので、いろんな人の手にわたってほしいですね。