Survive Said The Prophetがニューアルバム「WABI SABI」を8月2日にリリースした。

今作で彼らは「Lost in Time」ではCrossfaithのKoie（Vo）を、「Listening」ではテレビアニメ「機動戦士ガンダムユニコーン RE:0096」のオープニングテーマ「Into the Sky」で注目を集めたシンガーTielleをそれぞれフィーチャリングゲストに迎え、バンドの新たな一面を見せている。そこで音楽ナタリーでは、Yosh（Vo）とKoieの対談を実施。2人にコラボの感想や海外レコーディングの裏話などを話してもらった。

取材・文 / 小林千絵　インタビュー撮影 / 草場雄介

Koieの声が聞こえた

──さっそくですが「Lost in Time」にKoieさんがフィーチャリングゲストに参加することになった経緯を教えてください。

Yosh（Survive Said The Prophet）　僕は通常曲を作るときに、けっこう声とかメロディとかが“聞こえてくる”ことが多いんですけど、この曲では頭のフレーズでKoieの声が聞こえたんです。でもいくら仲がいいとは言え「声が聞こえてるから（一緒に）やってほしい」とは言えないなと思っていて（笑）。ただ普段から飲んでいるときに曲を聴いてもらうことが多いんですけど、この曲も飲んだときに聴いてもらって。それで「ええやん」って言ってくれたから、その瞬間に「Koieの声が聞こえて……」ってお願いしました（笑）。そしたら「ええやん、やろうよ！」ってウエルカムな感じの返事をくれて。そこから話が進んでいきました。

Koie（Crossfaith）　俺も普段から「誘ってや」って言ってたんで、「声が聞こえた」なんて言われたらやらんわけにはいかんみたいな感じで。プロポーズかと（笑）。「ほんま言い方がうまいなあ」と思いつつも、Yoshとは友達である前にいち音楽仲間なんで、そう言ってもらえて単純にすごいうれしかったっすね。

Yosh　デモの状態を聴いてもらっていたので、リリックとか譜割りはKoieに任せて一緒に作っていった感じでした。一緒にやる以上、彼のクリエイティブを壊すことは絶対したくないと思っていたので。

Koie　新しいパートを追加したり。レコーディングの日に「こういうふうに考えてるんだけど、1回試してみようや」みたいな感じで、いろいろアイデアを出させてもらいました。俺がやるからには俺の色を残したいし、「俺の声が必要」って言ってもらえた以上、それを残せないとあんまり意味がないなって思ってたんで。

Yosh　Koieのシャウトはワールドワイドに受け入れられる声だなと。うちのバンドではYudai（B, Scream）がシャウトを担当してるんですけど、Koieの感情の入れ方はYudaiとはまた違うよさがあるなと。シャウトって怒りの感情だと思われがちだけど、それだけじゃないのがわかるシャウトだと思う。聴いている人にも実はシャウトは幅が広いんだっていうことを気付いてもらえたらいいなと思いますね。

Koieはヒーロー

──お二人は同い年で、プライベートでも仲がいいとのことですが、知り合ったのはいつごろですか？

Koie　5、6年前かな？

Yosh　うんうん。Underoathが来日してツアー回ってるときに、Crossfaithが出てて。そのオープニングアクトのバンドの通訳で俺も一緒にツアーに付いて行ったんですけど、知り合う前から勝手にCrossfaithをヒーロー視してたから「Crossfaithだ！ 話すぞ！」と思ってて。けど、実際会ったら怖くてすぐに話せなかったんですよね（笑）。

Koie　そのあたりからちょいちょい会うようになって、Yoshがサバプロを始めてからちゃんと話すようになったよな。それまではなかなかクセの強い人間だったので「コイツ、なんなんやろ」って思って近付くことはなくて。でもしゃべってみたら「あれ、いいヤツやん！」みたいな（笑）。

Yosh　気付いたら仲よくなってたって感じだよね？

Koie　うん。話してるうちに「同い年やん」って気付いて、「これ聴いて」が始まった。それが1年くらい経ったら「お前の声が聞こえてきた」だからね（笑）。

──Yoshさんは先ほど、「出会う前からCrossfaithがヒーローだった」と言っていましたが、Crossfaithの存在はどこで知ったんですか？

Yosh　僕はフロリダのフルセイル大学に通ってたんですけど。

Koie　フルセイルに行ってたんや！

Yosh　そうそうそう。レコーディングの勉強してて。僕はその頃、全然日本の音楽に興味がなくて「USナンバーワン！」みたいな感じだったんですけど、クラスメイトが「今、日本でメタルとかメタルコアがキテるんだよ、知ってる？」ってCrossfaithのCDを貸してくれたんです。それからライブ映像もYouTubeで見せてくれて。日本にこういうウエスタンなバンドが出てくると思わなかったからびっくりしました。圧倒されてYouTubeに上がってる動画を片っ端から観て、「日本に帰ったら絶対ライブ観に行こう」と思ってましたね。で、帰ってきてライブ観たけど近寄れず……。

Koie　あはは（笑）。

Yosh　でもその日観たステージでのオーラは忘れられないですね。本当に嫉妬しました。「ジェラシーってこうやって生まれるんだ」ってわかってしまうくらい。もう本当にヒーローでした。あと僕が一番やりたいと思ってた「音楽で世界に行く」っていうのを、同世代で叶えていることに対するショックもありましたね。