1人の時間が好き
──そういうお互いについての話はこれまでされてなかったんですか?
バカリズム したことないですね。
テイ お互いシャイなんで。最近ようやく電話番号を聞いて(笑)。
バカリズム 今回も歌録り以外ほとんどメールのやりとりでしたね。
テイ 今はMETAFIVEのアルバムもメールベースで作れちゃったりするんで。
バカリズム じゃあレコーディング中はまったく会わないんですか?
テイ 会長(高橋幸宏)とLEO今井くんの歌入れの日だけは、僕らはやることないけどなんとなく集まって雑談してます。小山田(圭吾)くんも最近サウナに目覚めたみたいで、2人でサウナの話をして。
バカリズム サウナの話(笑)。
テイ METAFIVEも音楽の話はほとんどしないですね。これ絶対会長好きだなって思うデヴィッド・ボウイの40年前のライブ盤がしれっと出てるのを見つけても、リンクをメールして「会長これ聴きました?」「あ、サンキュー」で終わる感じ。バカリさんは仲いい人同士でお笑いの情報のやりとりします? これ観たよとか。
バカリズム しないですね。僕がちょっと特殊なのかもしれないですけど、仕事が終わるとすぐ自分の作業場に戻って何かしらやらなきゃいけないから、プライベートで誰かとごはんに行くことすらなくて。たまに時間があるときに後輩に声をかけても、バイトを理由に断られたり。
テイ 「今日シフトなので」って(笑)。
バカリズム で、めんどくさいから家で食べる感じです。
テイ まりんもだけど、僕ら共通して1人の時間が好きなんでしょうね。バンドやってる人って、みんなと一緒にいるのが楽しそうじゃないですか。ライブ後の打ち上げだったり。1人の時間の使い方ができる人とできない人とで、大きく分かれる気がする。
バカリズム バンドやってる人はライブが楽しいって言うじゃないですか。僕は自分のライブをやってて楽しいと思ったことは1回もないんですよ。とにかく大変だから。もちろん終わったあとの達成感はあるんですけど、やってる最中「ああ、幸せだな」とか感じる余裕がないから、うらやましいんです。
テイ 年1回のライブが終わっても、すぐに次のことを考えてるんじゃないですか?
バカリズム 考えます考えます。ネタを作り続けないと感覚が止まっちゃう気がして。
テイ 音楽業界の場合、デビューしたての頃はプロデューサーに「こういう方向で売っていくから」みたいなことを言われるわけです。周りのスタッフも年上だし、いっぱいツアーさせられて、その疲れも取れないまま「次のシングル、タイアップ決まってるから来週までに曲書いてこい」みたいな。
バカリズム ははは! ありそうですね。
テイ 僕はたまたま、Dee-Liteのデビューアルバムからセルフプロデュースで売れちゃったんで、最初から自分がプロデューサーだったんです。近年、僕が2年に1枚くらいの間隔でソロアルバムを作っているのも、別にレコード会社から作れって言われてないですから。
──今回、1970年代から80年代にかけて日本の先鋭的な音楽を生み出した名門レーベル・BETTER DAYSからのリリースだったのは、どういうきっかけだったんですか?
テイ 坂本龍一さんを10年間担当されていた顔見知りのディレクターから今年に入って「テイさん、お時間ありますか」って連絡をいただいたんです。近年、自分のソロは自主制作でやりたいタイミングで作って、完成したら流通の人と打ち合わせする感じなんですけど。その方にバカリさんとやった1回目の録音、今回のアルバムに入っていない「トイレ」という曲を何も言わずに聴かせて。これをSRATMとして出そうと思っているんですって言ったら、その場で「うちで出させてください」って。それが約30年ぶりに再始動するBETTER DAYSだったんです。新生BETTER DAYSの第1弾がTHE BEATNIKS(高橋幸宏+鈴木慶一)で、次がSRATMという流れもいいなと思いました。
目指すはハリウッド
──では最後に、今後のSRATMの展望についてお聞かせください。
テイ 次、「4」があるなら、4人組にしなきゃいけないですね。まりんが抜けて女の子2人入るとかいいかな(笑)。冗談はさておき、「Dakitime」のMVを作ってくれたCAVIARの中村剛監督とも話したんだけど、真面目な話、今パッケージでMV集を出したところで結局YouTubeで全部見れちゃうわけだし、だったら新しいリリースの形を考えたほうがいい。僕らは3人とも裏方的なところがあるので、うまくやれる場所があると思うんです。名指しで言っちゃうと、NetflixとかAmazon Prime Video、LINE、YouTubeみたいにお金がありそうなところと組んで番組を作るとかね。
バカリズム お金がありそうなところ(笑)。先立つものがまずないと。
テイ 例えば、DJというテーマで僕の曲がかかるシチュエーションを考えるのも面白いと思うんです。バカリさん脚本の「架空DJ日記」とかね(笑)。僕は過去の自分の音源の権利は全部持っているから、「Dakitime」とか「Technova」とか、自由にBGMとして使える。すでにある僕のMVに、新たなストーリーを加えて。
──それ、すごく面白そうですね!
テイ サブスクリプションだから、「あっ、テイ・トウワのドラマがあるんだ、バカリさんが脚本なんだ」ってことで気軽に見てもらえると思うんです。海外DJの映画、面白いのけっこうあるんです。Netflixで見たSteve Aokiのドキュメンタリー(「スティーヴ・アオキ:I'll Sleep When I'm Dead」)とか大笑いしたし。てことで、次に目指すのはハリウッド!
バカリズム マジですか!? ハリウッド行けるんだったら全然書きますよ!(笑)
- Sweet Robots Against The Machine「3」
- 2018年7月18日発売 / BETTER DAYS
-
[CD]
3240円 / COCB-54263 -
- 収録曲
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- フューチャリズム(Futurism)
- ダキタイム(Dakitime)
- サセル体操(Gymnastics to make)
- 覚えてはいけない九九(Do not remember 99)
- アニマル(Animal)
- 非常識クイズ(Insane quiz)
- 捨てられない街角(Boxes)
- レイディオ(RADIO)
- 集会(Assembly)
- かわいい(Kawaii)
-
[アナログ2枚組]
5940円 / COJA-9335 -
- 収録曲
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DISC 1
A面- フューチャリズム(Futurism)
- ダキタイム(Dakitime)
- サセル体操(Gymnastics to make)
- 覚えてはいけない九九(Do not remember 99)
- アニマル(Animal)
B面
- 非常識クイズ(Insane quiz)
- 捨てられない街角(Boxes)
- レイディオ(RADIO)
- 集会(Assembly)
- かわいい(Kawaii)
DISC 2
A面- Futurism(Inst.)
- Dakitime(Inst.)
B面
- Do not remember 99(Inst.)
- Insane quiz(Inst.)
- Assembly(Inst.)
- Sweet Robots Against The Machine(スウィートロボッツアゲインストザマシーン)
- テイ・トウワの変名プロジェクト。1997年に砂原良徳、清水靖晃、Stretch Armstrongらを迎えて1stアルバム「Sweet Robots Against the Machine」を、2002年には砂原、細野晴臣 セニョールココナッツと共に2ndアルバム「TOWA TEI」を発表した。2018年7月に、砂原、バカリズムを迎えて16年ぶりのアルバム「3」をリリース。