SPYAIR|デビューからの紆余曲折の10年間、そして11年目以降の未来を4人が語る

今っぽさとSPYAIRの伝統芸を混ぜた
「Born To Be Loud」

──ベストアルバムの1曲目に収録されている新曲「Born To Be Loud」についても聞かせてください。シンセの音色、R&B的なトラックなど、今のポップスの要素が取り入れられた楽曲ですね。

UZ 今っぽさとSPYAIRの伝統芸をバランスよく混ぜられたらなと。ベストアルバムのリード曲なので、新しい部分も見せたかったし、かといって過去をないがしろにするのも違いますからね。

──アップデートしたSPYAIRらしさを示したかった、と。

UZ はい。人がどう感じるかはわからないけど、まずは自分が「一歩進んだ」と思えないと。SPYAIRはトレンドに左右されるバンドではないけど、流行ってるものを無視するのもよくないので。

2021年8月リリースのベストアルバム「BEST OF THE BEST」通常盤ジャケット。

IKE ベストアルバムのDISC 1は、「All I Need」を除いて、新しい順に並べてるんですよ。一番新しい楽曲は「轍~Wadachi~」なんだけど、1曲目にベストのための新曲が入ってることで、さらに聴き応えのある作品になったと思います。「Born To Be Loud」は冒頭が軽いタッチで、音数も少なめなんだけど、サビは「SPYAIRやってます!」という感じになってて。まさに新曲、新しい形のSPYAIRだなって。

KENTA うん。UZ、MOMIKENのタッグ自体もひさびさだし、ファンも喜んでると思います。

──ここ最近は、KENTAさん、MOMIKENさんが作曲した楽曲がシングルになってましたからね。

KENTA そうなんですよ。UZ以外のメンバーが作曲するのは新しい試みだったんですけど、ベストアルバムのタイミングで、本来のタッグが戻ってきて。「これが聴きたかった」という人も多いんじゃないかな。

IKE でしょうね(笑)。MOMIKEN、KENTAの曲ももちろんだけど、これまでSPYAIRの曲をずっと作り続けてきたUZの曲は安心感があるというか、SPYAIRという器にきれいにハマるんだろうね。

──「いつの間にか 10年も過ぎてたのか」で始まる歌詞も、めちゃくちゃわかりやすくて。

MOMIKEN そうですよね(笑)。「Born To Be Loud」の歌詞は、スマートな言葉遊びをしたかったんです。英語と日本語を交えて、文法的におかしくても、歌詞として成り立ってればいいという感じで。なので導入で「どういう曲なのか」をハッキリさせておきたかったんですよね。

IKE 最初の歌詞で全部わかるし「はい、大丈夫です」っていう(笑)。賢いですよね、この人は。

MOMIKEN (笑)。自分の中で、いい歌詞とよくない歌詞の線引きがあって。歌詞カードを見なくても、一聴してどういう曲かわかるのが、いい歌詞だと思うんですよね。

──SPYAIRの歌詞、確かにすごく聴き取りやすいですね。

IKE 歌詞と声がいいんでしょうね(笑)。俺もはっきり言葉が聞こえるように意識して歌ってるので。

ほかのもので埋められないためにライブを続ける

──「Born To Be Loud」の最後のフレーズでは「To Be Alive」と歌われています。SPYAIRはこの先も進んでいくわけですが、次はどんなビジョンを掲げているんですか?

IKE 今はご時世に合わせないといけない部分もあるし、無理にビジョンを掲げることはないですね。

KENTA 今まで普通にやってたことを続けるのも難しいからね。

IKE それをもとに戻す作業をやらないとね。……あ、ごめん、目標ありました(笑)。

──以前のような活動に戻ることが目標?

IKE はい。情勢が変化し続けてるから、わからない部分もあるんだけど、自分としては「一緒に歌える空間を取り戻したい」というのが目標ですね。みんなと一緒に歌いたいし、とにかくみんなの声が聞きたいですね。

KENTA ホントだよね。以前の形を取り戻すのが、こんなにムズいとは……。

IKE もし戻ったら、欲張らず、それを続けていけたらいいなと。欲深さがなくなりましたね(笑)。

UZ 欲はないね(笑)。SPYAIRは生で動いてきたバンドなんですよ。曲を書いて、恵まれた環境でレコーディングして、アルバムを出して、ツアーを回って。やっぱりそれをずっとやりたいんですよ。

MOMIKEN うん。

UZ 自分で作った曲を演奏するのって楽しいんですよ、正直(笑)。アルバム「UNITE」のツアーのときにそのことを改めて実感したし、これを継続したいなと。ガッと集中しすぎて、つぶれてしまったら意味がない。いいペースで、みんな笑顔で続けていけるのが一番かなと。

KENTA それが一番欲深いのかもね(笑)。

UZ まあ、3年後はどう思ってるかわからないけど(笑)、今はそれが大事なのかなと。

──まずは9月からスタートする全国ツアーですね。

MOMIKEN この状況でツアーを行うって、攻めてますよね。

IKE めっちゃ攻めてるよ(笑)。

MOMIKEN コロナの前は当たり前だったんですけど、ツアーがなければお客さんはその時間が空いてしまうし、しばらく経てば、ほかのもので埋めてしまうと思うんですよ。そのままの状態が続くと、俺らのことなんか忘れて、音楽自体もいらなくなるかもなって。音楽が好きな人も、ネット配信で見ればいいだろうし。

UZ リアルだね。

MOMIKEN だからこそ、ライブを続けないといけないと思うんですよね。

IKE うん。音源とライブの2軸を続けていかないと。バンドとして普通のことをちゃんとやり続けようと思います。

2021年7月に開催された「JUST LIKE THIS 2021」の様子。

ライブ情報

SPYAIR RE:10th Anniversary HALL TOUR 2021
  • 2021年9月23日(木・祝)埼玉県 羽生市産業文化ホール
  • 2021年9月26日(日)千葉県 森のホール21
  • 2021年10月2日(土)岡山県 倉敷市民会館
  • 2021年10月10日(日)香川県 サンポートホール高松
  • 2021年10月24日(日)大阪府 大阪国際会議場 メインホール
    (※開催延期 / 振替公演日程調整中)
  • 2021年10月31日(日)宮城県 東京エレクトロンホール宮城
  • 2021年11月6日(土)北海道 札幌市教育文化会館
  • 2021年11月12日(金)新潟県 新潟テルサ
  • 2021年12月4日(土)兵庫県 神戸国際会館 こくさいホール
  • 2021年12月10日(金)福岡県 福岡サンパレス
  • 2021年12月12日(日)静岡県 静岡市民文化会館 大ホール
  • 2021年12月19日(日)東京都 東京ガーデンシアター
  • 2021年12月25日(土)愛知県 名古屋国際会議場センチュリーホール
  • 2021年12月26日(日)愛知県 名古屋国際会議場センチュリーホール
SPYAIR(スパイエアー)
SPYAIR
2005年に愛知県で結成された、IKE(Vo)、UZ(G, Programming)、MOMIKEN(B)、KENTA(Dr)の4人からなるバンド。地元名古屋の野外ライブでキャリアを重ね、2010年8月にシングル「LIAR」でメジャーデビュー。数多くのアニメとのタイアップ曲を発表し、2012年12月には初の日本武道館ワンマンを成功のうちに収めた。2014年5月にIKEの喉のトラブルにより活動を停止するが、同年12月に東京・Zepp DiverCity (TOKYO)にて行ったワンマンライブで本格的に活動を再開。以降はアリーナおよびホールツアーのほか、山梨・富士急ハイランドコニファーフォレストで野外ワンマン「JUST LIKE THIS」を毎年開催するなど、精力的にライブを行っている。2018年には初のワールドツアーも行った。2020年には結成15周年、メジャーデビュー10周年を迎え、2021年1月にアニメ映画「銀魂 THE FINAL」主題歌を含む新作CD「轍~Wadachi~」をリリース。3月にニューアルバム「UNITE」を発表し、8月にベストアルバム「BEST OF THE BEST」、ミュージックビデオ集「BEST OF THE BEST CLIPS」を同時リリースした。