ナタリー PowerPush - SPYAIR
覚悟と決意の3rdアルバム「MILLION」
SPYAIRがシングル「サクラミツツキ」「虹」「現状ディストラクション」を含む3rdアルバムを完成させた。タイトルはずばり「MILLION」。メジャーデビューからの3年間の集大成と位置付けられた本作は、「ミリオンセールスになってもおかしくないアルバムになったと思う」(UZ談)という充実作となった。
メンバーの脱退を経て、ロックバンドとしてのアイデンティティを改めて示したSPYAIR。このインタビューにおけるメンバーの言葉からも、本作の充実ぶりを感じてもらえるはずだ。
取材・文 / 森朋之
「次のアルバムは“MILLION”だから」
──3rdアルバムがついに完成しました。まさに勝負のアルバムだと思いますが、まずは「MILLION」というすごいタイトルについて聞かせてもらえますか?
IKE(Vo) (笑)。あ、そこに食い付いちゃいました?
──はい(笑)。最高だと思います。
UZ(G, Programming) いいっすよね。
IKE いろんな気持ちがフツフツしてくるというか。
UZ このタイトル、俺がメンバーに刷り込むように言ってたんですよ。「次のアルバムは“MILLION”だから」って。
KENTA(Dr) 半年間、ずっと聞いてましたから(笑)。去年の10月にUZがアルバムの設計図を作ってきたんですよ。そのときすでに「タイトルは“MILLION”」って書いてあって。
──そこを目指すということですよね?
UZ そうですね。いろんな取り方があると思うんですけど、まずはこういうバカなことを声に出して言いたいっていう。ミリオンヒットしてもおかしくないような作品を作りたいと思って設計図を作ったし、実際にアルバムが完成して、タイトルを変えなかったのも「ミリオンになるような音楽だ」って信じてるからであって。
IKE 自信がなかったから「スマッシュヒット」っていうタイトルにしたかもね(笑)。
UZ (笑)。満足できるアルバムができたんだから、でっかく掲げないと。多少バカにされてもね。レーベルの社長からは「品がない」って言われてるけど。
IKE 品がないのは自分たちでもわかってます(笑)。
設計図作りから始まった制作
──1stアルバム(2011年9月リリースの「Rockin' the World」)、2ndアルバム(2012年9月リリースの「Just Do It」)のときも制作前に設計図を作ってたんですか?
UZ ここまでしっかり作ったのは、このアルバムが初めてです。今までは頭の中で思い描いて、「こういうアルバムにしたい」って想像しながら作ってたんですよ。2ndのときはレコーディングの後半でいい曲ができてきて、それを入れていくうちに、アルバム全体としてはちょっと重くなりすぎちゃったかなという反省があって。今回は最初から「しっかりバランスを取ろう」と思っていたし、1曲目から11曲まで「どんな曲を入れるか」っていうのを決めてたんです。だからブレはなかったですね。
──もちろん、その設計図はメンバーにも見せたんですよね?
UZ ……見せたらしいですよ。
IKE え、覚えてないの?
KENTA この下のスタジオ(所属レコード会社の地下にあるスタジオ)に集まるときに、「設計図作ってたから、ちょっと遅れる」って連絡してきたよね?
UZ あ、そうだ(笑)。
MOMIKEN(B) 歌詞についても「こういう内容にしたい」って書いてあって。
──歌詞の方向性まで決めてたんですか。
UZ そうですね。
MOMIKEN それがあったから、今回は歌詞もすごく書きやすかったんですよ。今までは「1つのメッセージしか言ってない」とか「言ってることがバラバラ」みたいなこともあったんですけど、最初に設計図があったから「この曲ではこれを書こう」っていう方向性がハッキリしていて。あと、UZが「集大成にしたい」って言ってたんですよね。1枚目、2枚目を経て、「これが現時点のSPYAIRのベストだ」って思えるアルバムを作るっていう。その話もすごくしっくりきて。
UZ ここで1回やり切りたいというか、デビューしてからの3年間を1枚のアルバムに詰め込んで、しっかりカタチに残したいと思ったんですよね。だから今回は、新しいことに挑戦するというより、今までやってきたことをさらに研ぎ澄ませる感じだったんです。クリエイターとしては「新しいことをやりたい」という欲求もあるんですけど──そうしないと刺激がないですから──そこは割り切って、これまでのSPYAIRをしっかり完成させよう、と。
4人になってパワーが増した
──「これがSPYAIRだ」と言い切れる作品を作らなくちゃいけないタイミングだったのかもしれないですね。
UZ そうですね。20代最後のアルバムっていうのもあったし、いろいろと節目を感じる時期で。
──もちろん、メンバーが4人になったのも関係してますよね?
UZ うーん……。音楽的にはそんなに関係ないんですけどね。
IKE それよりも活動的なことだよね。
UZ そう。俺ら、コミックバンドに見られがちだったから。
──え、そんなことないでしょ?
UZ いや、ありましたよ。
IKE 俺らが感じてるんだから、やっぱりあったんですよ、それは。
UZ 正直、悩ましかったですね。こっちはすげえ真剣にやってるのに。
IKE 今は違いますけどね。4人になってパワーが増したという感覚もあるし、活動においても制作においても、満足できる状況が作れてるので。しっかり音楽と向き合えているという自信もあるし。
- ニューアルバム「MILLION」/ 2013年8月7日発売 / Sony Music Associated Records
- 初回限定盤A[CD+DVD] 3500円 / AICL-2557~8
- 初回限定盤B[CD2枚組] 3300円 / AICL-2559~60
- 通常盤[CD] 2800円 / AICL-2561
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CD収録曲
- OVERLOAD
- Turning Point
- 現状ディストラクション
- サクラミツツキ
- Winding Road
- Are You Champion? Yeah!! I'm Champion!!
- STAND UP
- Supersonic
- 雨上がりに咲く花
- 虹
- 16 And Life
初回限定盤A DVD
- WENDY ~It's You~(MUSIC VIDEO)
- サクラミツツキ(MUSIC VIDEO)
- 虹(MUSIC VIDEO)
- 現状ディストラクション(MUSIC VIDEO)
- OVERLOAD(LIVE)
- ジャパニケーション(LIVE)
- 0 GAME(LIVE)
- サクラミツツキ(LIVE)
初回限定盤B CD
- STAR
- WENDY ~It's You~
- Blowin'
- Rock This Way(SEAMO×SPYAIR)
- 0 GAME(80KIDZ Remix)
- I miss you(Acoustic ver)
SPYAIR(すぱいえあー)
IKE(Vo)、UZ(G, Programming)、MOMIKEN(B)、KENTA(Dr)の4人からなるバンド。全員が愛知出身で、2005年に結成される。地元名古屋の野外ライブでキャリアを重ね、デビュー前の2010年6月に行った100本目の野外ライブでは2000人の観客を集める。同年8月、ソニー・ミュージックアソシエイテッドレコーズからメジャーデビューシングル「LIAR」をリリース。その後も4枚のシングルを発表し、並行して精力的なライブ活動を展開する。2011年9月に1stフルアルバム「Rockin' the World」をリリース。同年10月には日比谷野外大音楽堂で初のワンマンライブを敢行した。2012年6月にリリースした映画「アメイジング・スパイダーマン」日本版テーマソング「0 GAME」が話題となる。同年12月18日には初の日本武道館ワンマンライブを開催。チケットは完売し、このライブをもってDJ ENZEL☆が脱退した。2013年3月、4人体制で初となるシングル「サクラミツツキ」を、7月3日に映画「劇場版銀魂 完結篇 万事屋よ永遠なれ」の主題歌「現状ディストラクション」を発表。8月に3rdアルバム「MILLION」をリリースする。