8月16日に千葉・幕張メッセでオールナイトイベント「Spotify on Stage in MIDNIGHT SONIC」が開催される。

「Spotify on Stage in MIDNIGHT SONIC」は世界の利用者数が2億3200万人を超える音楽ストリーミングサービス・Spotifyと、今年発足20周年を迎える音楽フェス「SUMMER SONIC」のコラボレーションにより開催される“新時代のライブステージ”。「SUMMER SONIC 2019」初日の深夜に行われ、SEKAI NO OWARI 、MGMT、R3HAB、NCT 127、amazarashi、スキマスイッチ、TK from 凛として時雨といった各国のアーティストが競演を繰り広げる。本特集では2017年にアジアでスタートした「Spotify on Stage」の歩みを紹介するほか、イベント開催に向けスポティファイジャパン玉木一郎社長によるコメントを掲載する。

文 / 近藤隼人

「Spotify on Stage」とは

「Spotify on Stage」は、Spotifyがインドネシアでサービスを開始した翌2017年に8月にジャカルタで初開催されたライブイベント。世界中のあらゆる国やジャンルの音楽を取りそろえているSpotifyは、現地インドネシアの音楽のみならず、欧米でも成功を収めているBLACKPINKやBTSといったK-POPをはじめとするアジアの音楽、欧米の最新ヒットや次世代アーティストの楽曲まで、多様な音楽文化をプレイリストを通じて紹介し、新たな音楽の楽しみ方をインドネシアのリスナーにも提供してきた。その可能性をオフラインでも直接肌で感じられるよう企画されたのがこのイベントだ。

1万人規模で観客を収容できるジャカルタ国際展示場「JIExpo」を会場に、13歳以上のSpotifyユーザーは誰でも応募できる入場無料のイベントとして行われた第1回では、インドネシアを含むアジアのさまざまなアーティストが競演。サービス開始後すぐにSpotifyが多くの音楽リスナーの心を掴み、プレイリストで新たな音楽と出会う楽しみ方が広く浸透していたこともあり、多くの来場者がお目当てのアーティストも初めて知るアーティストも同じように楽しむ一体感のあるイベントとなった。唯一の日本人アーティストとしてトップバッターを務めた覆面ユニット・AmPmのステージでも、Spotifyを通じ海外で爆発的な人気を獲得したデビュー曲「Best Part of Us」で盛大なシンガロングが発生するなど大いに盛り上がりを見せた。彼らは以前の音楽ナタリーのインタビューで当時のことを「僕らスーパースターなのかと思いましたよ」と振り返っていた（参照：Spotify特集｜AmPmインタビュー）。

「Spotify on Stage」はこの初回の大成功を受け、翌2018年にはジャカルタに加え、同年新たにSpotifyがサービスを開始したタイの首都・バンコクでも実施された。国やジャンルを超えて注目のアーティストが多数出演し、プレイリスト文化を広めてきたSpotifyならではのユニークな構成を楽しめるライブイベントとしてアジア圏ですっかり定着しつつある。そして初開催から3年目の今年、Spotifyと同様に世界の音楽シーンを日本のリスナーに紹介し続けてきた、今年発足20周年を迎える日本を代表する音楽フェス「SUMMER SONIC」とのコラボレーションにより、「Spotify on Stage」は海を越え、ついに日本にやってくることとなった。ストリーミングとライブでそれぞれ新しい音楽の楽しみ方を提示してきたSpotifyとサマソニの組み合わせは、多くの観客にこれまで知らなかった音楽との素敵な出会いをもたらすことだろう。

注目の「Spotify on Stage in MIDNIGHT SONIC」には、日本からSEKAI NO OWARI、amazarashi、スキマスイッチ、TK from 凛として時雨といった国内のみならず海外でも活躍する4組が参加。SEKAI NO OWARIはEnd of the World名義で世界展開しており、先月にはClean Banditとのコラボ曲「Lost」をリリースしたほか、SEKAI NO OWARIとしてもシンガポールのスタジオでレコーディングした音源集「Spotify Sessions」を国内外のリスナーに向けて配信した。amazarashiは海外リスナーへ向けた英語版のYouTube公式チャンネルを開設しており、スキマスイッチは海外でもライブを行った経験がある。またTK from 凛として時雨はテレビアニメ「東京喰種トーキョーグール」のオープニングテーマを担当したことで海外での知名度が高まり、「unravel」は配信開始から1年半で3000万再生を突破した。オールナイトで行われるこのイベントで彼らがどのようなステージを見せるのか、会場に足を運ぶ人は楽しみにしておこう。

「Spotify on Stage in MIDNIGHT SONIC」の見どころは？

今回出演頂くラインナップはファンの皆様から見ると意外な組み合わせに見えるのでないでしょうか？　amazarashiは米国でのリスナーが国内を越えているなど、そのリリックやビジュアル表現手法はすでに海外のファンにも興味を持たれており、一方MGMTは日本の今の国内アーティストにも大きな影響を与え、時を経て今またシーンに戻ってきた姿を多くの人が待ち焦がれています。スキマスイッチは「奏（かなで）」がSpotify国内トップ50に長きに渡ってチャートインし続けながら海外のファンも着実に増えているアーティストで、SEKAI NO OWARIはEnd of the WorldとしてのClean Banditとのコラボを始め世界市場を見据えた音楽への姿勢がスポティファイの考えとも非常にマッチしています。TK from 凛として時雨は「東京喰種」をきっかけにやはり米国を中心に音楽ファンの心を捉えていますし、NCT 127は第1回の「Spotify On Stage」にも出演してくれており、この2年間でのさらなる成長をアジアのファンも含めて見ていただける機会です。そしてトリを務めるR3HABは言うまでもなく世界を代表するDJの1人であり、日本の音楽とも縁の深いアーティストです。

実は今回出演いただくこれらのアーティストの多くは10代などの若年層にファンが多く、今回のように10代のファンが来ることができない深夜イベントというのは彼らにとっては新しいファンとの出会いの場でもあるのです。また一見するとバラバラに見えるラインナップは、まさにSpotifyのプレイリストそのものの体験を表現しており、今回のアーティストに共通に流れる「楽曲のクオリティ」という意味でもお互いのファンが新たな音楽との出会いを楽しめる場になると期待しています。

「SUMMER SONIC」をパートナーにする理由は？

今年20周年を迎える「サマソニ」は、最先端の海外音楽シーンをいち早く国内に紹介してきた立役者であり、ジャンルを問わないその野心的な構成は、音楽の多様性が進む今の時代をいち早く先取りし、音楽ファンの心を捉えてきたと思っています。一方、Spotifyはユーザーの好みやニーズを学習し、パーソナライズされた音楽体験を通じて世界中で音楽ファンの裾野を広げることに貢献してきました。お互いの価値感については共通点が多く、実際に「サマソニ」とはこれまでにもプレイリストを通じた連携を図り、音楽ファンが事前に気分を高め、フェスに参加し、事後余韻に浸るという総合的な音楽体験を楽しめるよう取り組んできました。「サマソニ」の節目となる今年、よりスケールインパクトのある形でコラボレーションできることになりました。

Spotifyが今後担う役割は？

Spotifyが日本でサービス開始して間もなく3年になります。当時は馴染みのなかった“ストリーミング”というコンセプトもこの間に確実に浸透してきました。ストリーミングが音楽の聴き方として当たり前になっていくその先には、日本のアーティストが世界に出ることを支援しながら、海外のアーティストを日本のファンをつなぐことです。音楽の垣根を下げることで、日本の音楽の素晴らしさが世界の音楽市場にも必ず伝わっていくと確信しています。