スピラ・スピカ|メジャーデビュー5周年、幹葉が1人になっても歌う意味 (2/2)

カッコよくないところ、弱いところ

──デビュー記念日の8月8日には新曲「私の物語」がリリースされました。デビューからの日々、これからへの決意が込められた楽曲ですね。

はい。制作したのは2022年の10月くらいかな。12月のワンマンライブで披露する新しい曲が欲しいと思って、重永さんに作曲をお願いしました。どの曲も大事なんですけど、ソロプロジェクトになって最初の曲だし、しっかり思いを込めた曲にしたかったんですよね。そのときの私のリアルな気持ち、カッコよくないところ、弱いところも歌いたかったし、一方で希望が広がっていく感じにもしたくて。そんなことを重永さんに伝えたら、素晴らしい曲を作ってくださいました。ただ、歌詞にかなり時間がかかってしまったんです。

スピラ・スピカ
スピラ・スピカ

──歌いたいことはハッキリしていたけど、なかなか言葉にできなかった?

そうですね。最初はかなり回りくどい書き方をしてたんですけど、「これじゃ伝わらないな」と思って、何回も書き直して。スタッフの皆さんにも相談して、最終的にすごくストレートな歌詞になりました。歌詞を書くときに、改めてこれまでの曲を聴き直してみたんですよ。シングルのカップリングも含めて、全部。恋愛の曲、楽しい曲、ふざけてる曲、いろいろあるんですけど、ストレートな応援歌がスピラ・スピカの一番の強みじゃないかなと思って。「スタートダッシュ」もそう。この曲は高橋久美子さんと一緒に歌詞を書いたんですけど、「立ち上がれ、傷付いても進んで行け」という気持ちが強く込められていて、スピラ・スピカを象徴する曲だなと。

──なるほど。

「スタートダッシュ」のサビに、「背中に羽はなくっても 未来の僕がきっと待っているから 進め」というフレーズがあって。私は夢見がちなところがあって、「いつか羽が生えて、飛べるんじゃないかな」って思ってたんですよ。でも、やっぱり私には羽なんか生えなかったし、ただがむしゃらに走ってきて……だからそれをそのまま「私の物語」の歌詞(「初めからそうだよ 羽なんて持ってなかった だからただひたすらに走ってきた」)にしたんです。羽はなかったけど、ファンのみんな、海外でスピラ・スピカの曲を聴いてくれる人たちや、スタッフの皆さんやアニメやラジオ、ほかにもさまざまなことを通して知り合えた方々、みんなの気持ちがあるから走れるし、それはいつか羽になっていくんじゃないかなって。そういうことを感じた5年間だったんですよね。

スピラ・スピカ

──素晴らしい。それにしても「私の物語」の歌詞はリアルだし、正直ですよね。「もう諦めた方が楽になれるのかな」というフレーズもあって。

そういう歌詞は今まで書いたことがなかったんですけど、この曲には入れたかったんです。こうやって話しててもウルウルしてきちゃうんだけど……。ただ、この3年間は同じようなことを感じた人も多いと思うんです。コロナ禍で夢とかやりたいことをあきらめた人もいるだろうし、一方で新しい目標が見つかった人もいるんじゃないかなって。スピラ・スピカを応援してくれてる人たちにも「夢を追いかけてもいいんだよ」と伝えたかったし、これからスピラ・スピカを知ってくれる皆さんの背中も押してあげられるような曲になったと思います。

──去年12月の初ワンマンで「私の物語」を歌ったときの手応えはどうでした?

スクリーンに過去の映像と写真、歌詞を映しながら歌わせてもらったんですけど、ライブ後に「すごくいい曲だった」という言葉をたくさんもらえて。「いつリリースするんですか?」という声もいただいていたので、5周年というタイミングでリリースできてうれしい限りです。レコーディングは今年の3月くらいだったんですけど、先にライブで披露していたので、ファンのみんなの表情を思い浮かべながら歌うことができて。より強く気持ちを込められたと思ってます。

──ミュージックビデオにも春のツアーの映像が詰め込まれていて。

はい。初披露のときは、盛り上がるというより真剣に聴いてくれる人が多かったんだけど、ツアーを回っていくうちに、徐々にこの曲が育ってきた感覚があって。今ではみんなが自然と手拍子をしてくれて、こうやってみんなの歌になっていくんだなと感じました。

全部、音楽に生かす

──「私の物語」リリース後には、大阪と神奈川でワンマンイベント「スピラ・スピカ 5th Anniversary Event -88minutes Talk&Live-」の開催が決定しています。この先のスピラ・スピカ、どうしていきたいと思っていますか?

“こうしたい”と決めずに、今はなんでもやりたくて。もちろん私が一番大事にしているのは歌だけど、朗読劇(「Act Session vol.2『Re: -the beginning of the end-』」)に参加させていただいたり、「なすなかにしのゲームキングダム」(BS11で放送中のバラエティ番組)でゲストの皆さんと一緒にゲームをやったりもしていて。スピラ・スピカの活動と関係ないように見えるかもしれないけど、そういう場で学んだものは全部、音楽に生かせると思ってるんですよ。すべての活動の根本には「ずっと歌っていきたい」という思いがあって、そのためにもいろんなことに挑戦したいと思ってます。あとはやっぱりライブですね。10月には念願のプラネタリウムでのライブ、その後もライブハウスでのイベントも企画しています。ライブをもっともっとやりたいです。

──ソロプロジェクトになったことで、音楽性の幅も広がりそうですよね。

そうなったらいいなと思ってます。「どんなに暗い道でも、希望の光で導く」というテーマを軸にしながら、みんなをハッとさせたり、ワクワクさせたりできるような音楽を届けていきたいです。とにかく楽しいことをいっぱいやりたいですね。コロナ禍は我慢することも多かったと思うし、「スピラ・スピカのライブに来たら、すべて忘れてはっちゃけられる!」という空間を作りたくて。

──期待してます! それにしても幹葉さん、たくさんの人たちに愛されてますよね。

本当にありがたいです。ファンの皆さん、スタッフの方々、アーティスト仲間もそうですけど、早くもっともっと恩返しできるようにがんばります。

スピラ・スピカ

ライブ情報

スピラ・スピカ Planetarium Live -Twinkle star-

2023年10月21日(土)東京都 コニカミノルタプラネタリア TOKYO(DOME1)
[1st]OPEN 15:30 / START 16:00
[2nd]OPEN 17:30 / START 18:00

スピラ・スピカ入門編プレイリスト

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プロフィール

スピラ・スピカ

幹葉(Vo)によるソロプロジェクト。2013年にスノーマンというバンド名で活動を開始し、2018年1月にスピラ・スピカに改名。8月にテレビアニメ「ガンダムビルドダイバーズ」第2クールエンディング曲の「スタートダッシュ」でメジャーデビューを果たす。その後も「みだらな青ちゃんは勉強ができない」「通常攻撃が全体攻撃で二回攻撃のお母さんは好きですか?」「戦翼のシグルドリーヴァ」といったアニメ作品のテーマ曲を担当。2022年2月にテレビアニメ「その着せ替え人形は恋をする」のオープニングテーマを表題曲とした9thシングル「燦々デイズ」をリリースした。2022年8月に寺西裕二(G)、ますだ(B) が卒業。同年9月より幹葉のソロプロジェクトとして活動している。